スターティアホールディングスのKPIや業績推移を紹介

2022.09.05
スターティアホールディングスのKPIや業績推移を紹介

企業の事業状況を正しく把握するために各社で多様なKPIが用いられていますが、用いられるKPIは業種や業界によってさまざまです。他社のKPIを参考に自社のKPIを設定したいという方のために、今回スターティアホールディングスが公開しているKPIについて詳しく紹介します。

スターティアホールディングスの事業内容や近年の業績、さらに公開されている情報の中から重要視されているKPIやその活用について説明しているので、ぜひ最後までご覧ください。

スターティアホールディングスの会社概要

会社名スターティアホールディングス株式会社
所在地本社東京都新宿区西新宿2-3-1 新宿モノリス19階
代表本郷 秀之
設立1996年2月21日
資本金824,315千円

スターティアホールディングスの事業内容

まず、スターティアホールディングスの事業内容を俯瞰して見てみましょう。主に下記2つの領域で事業を展開しています。

  1. デジタルマーケティングSaaS事業
  2. ITインフラ事業

これらの事業に加えて、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)と障がい者雇用に関する事業を行っているので、詳しく見てみましょう。

デジタルマーケティングSaaS事業

主に中小企業を対象として、デジタルマーケティングに関するクラウドアプリケーションの開発や販売を行っており、価値の高いサービスや製品を販売する事業者(顧客)とそれを利用したいユーザーをつなぐプラットフォームを提供しています。

あらゆるものがデジタル化され、webやSNSにはさまざまなクオリティの膨大な情報が溢れている現在において、消費者が「良いもの」を販売する事業者と出会うことは容易ではありません。中小企業や小規模な事業者ではなおさらでしょう。

スターティアの「Cloud CIRCUS」というクラウドツール群では、これらの事業者に向けてデジタルマーケティング用コンテンツの作成や管理・データ分析までを可能にしています。

また、顧客企業のコンテンツマーケティングやSEOなどのコンサルティングを行っており、成果につなげる戦略や対応をサポートしています。さらに、SNSの活用や広告コンサルティング、マーケティングオートメーションツール「BowNow」の導入・運用サポートなども行っています。

ITインフラ事業

働き方改革や社会情勢の変化によって、企業を取り巻く環境や仕事への意識は近年劇的に変化しています。中でもDX化の流れは早く、コロナ禍におけるリモートワーク環境の整備など、特に中小企業の部門に掛かる負荷は膨大なものになりました。

このような環境の中で中小企業が継続的に成長するのは非常に困難です。そのため、スターティアのITインフラ事業は、企業のオフィス環境整備や業務効率化、コスト削減、セキュリティリスク管理など、既存の組織だけでは実行することが難しい施策をサポートしています。

提供するサービスは多岐に渡りますが、例としては、リモートワークのニーズに対応するネットワーク構築や保守などの環境整備、AWSやMicrosoft365などクラウドサービスの導入や奉行シリーズ・奉行クラウドを利用した会計システムの導入、さらにはオフィスの移転や効果的なデザインのサポートなどがあります。

その他事業

スターティアホールディングスでは、上記で紹介した事業以外にも複数の事業を展開しているので、ここではそれらの事業について見ていきましょう。その他の事業としては、CVC事業、障がい者雇用事業の2つが挙げられます。

CVC事業

コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)事業は、シンガポールに拠点を置き、東南アジアにおけるスタートアップ企業への投資を行っています。現地の魅力的なスタートアップへの投資と日本市場への橋渡しを担い、成長できる機会を提供することで、企業価値向上をサポートしている事業です。

障がい者雇用事業

スターティアグループは、障がい者雇用を目的に特例子会社「スターティアウィル」を設立しています。スターティアグループの支援と共に障がい者雇用を始めたい、もしくは強化したい企業に対するコンサルティング業務などを展開しているのが、障がい者雇用事業です。

スターティアホールディングスの市場規模

スターティアホールディングスのデジタルマーケティングSaaS事業で展開している「Cloud CIRCUS」は、累計導入実績31,000以上です。MAツール国内シェアNo.1を獲得するほどの人気サービスで、メーカー、商社、情報、不動産など、幅広い業界で使用されています。

また、Cloud CIRCUSには代表的なツールが複数あり、それぞれの市場で大きな影響を与えてるほどの人気です。

例えば、「BowNow」はMAツール国内シェアNo.1の圧倒的に使いやすいMAツールで、導入実績9,400社以上、継続率98.4%を誇っています。「BlueMonkey」は簡単にWebサイトを制作できるCMSで、国産有料CMS 国内シェア3位、導入実績1,900社以上、継続率99.6%という実績を誇っています。

このように、スターティアホールディングスでは、さまざまな分野で市場規模を拡大させているのです。

スターティアホールディングスの業績推移

2018年3月期2019年3月期2020年3月期2021年3月期2022年3月期
売上高(百万円)11,05811,90712,77813,32416,011
営業利益(百万円)35851773221344
当期純利益(百万円)613323219-130958

引用:決算補足資料 (IRライブラリー)

スターティアホールディングスの売上は、年々増加し続けています。

デジタルマーケティングSaaS事業の売上は、2022年3月期において約28億円で前年同期比で9%の伸びを達成しました。28億円の売上高のうち、ストック売上が約20億円、フロー売上が8億円で約70%をストック売上が占めています。

一方、ITインフラ事業の売上は、2022年3月期において約131億円で前年同期比で23%の伸びを達成しました。売上高のうちストック売上が約59億円、フロー売上が約72億円で比率はほぼ同じです。

一方で、営業利益は2021年から一時減少していますが、これは開発力強化や広告宣伝費の増加など将来に向けた積極投資を行っていることが主な要因となっています。

今後の展開

今後は、デジタルマーケティング事業のブランド力強化と、さらなるサブスクリプションモデルへの転換を進め、新規契約の増加と顧客単価の増加を目指しているようです。一方、ITインフラ事業はM&Aや新商材の提供による顧客層の拡大、クロスセルによる高収益化を図るとしています。ITインフラ事業の厚い顧客基盤を活かして安定的な成長を達成し、他方で積極的なM&Aにより事業の拡大を行う計画です。

引用:中期経営計画

2023年3月期まで上記の方針で積極的な投資を継続し、高収益化成長が期待されます。

スターティアホールディングスのデジタルシフトESG経営

ビジネスは、気候変動や災害、紛争などの世界的な出来事や環境変化に大きく影響を受けます。ESGもその一つであり、企業は再生可能エネルギー活用や省エネの推進などの課題に積極的に取り組む必要性に迫られているのです。

スターティアグループは「デジタルシフトESG経営」を掲げ、継続可能な発展を実現する社会を創造するとしています。デジタルマーケティング事業とITインフラ事業によって誰もが取り組めるデジタルシフトをソリューションとして提供し、自律的で持続的な発展を目指しています。

環境

環境への配慮の観点では、スターティアグループの従業員に対するテレワークの推奨によって、移動によるCO2削減やペーパーレス化を進めています。デジタル化による環境負荷低減に寄与しているのです。社内には、専門のデジタルシフトプロジェクトチームが設立されています。

社会

デジタルマーケティング事業やITインフラ事業による社会のデジタルシフトの推進は、持続可能なビジネス環境の実現に必須です。特に、中小企業がデジタルを活用することによって、より広く顧客にサービスを届けられるため、リソース不足などを改善するサポートを提供しています。

スターティアホールディングスの主なKPI

次に、スターティアホールディングスの事業運営で利用されている主要なKPIについて見てみましょう。SaaS事業の収益を伸ばすためには、顧客の新規獲得と同時に既存顧客を長期的に維持することも重要です。これらを確実に捉えるために重要なKPIが以下の3つです。

  • MRR
  • チャーンレート
  • ユニットエコノミクス

これらについて詳しく見てみましょう。

MRR(Monthly Recurring Revenue:月間経常収益)

引用:2022年3月期決算補足資料

サブスクリプション型のビジネスモデルでは、、毎月定期的に発生する収益を測るMRRが重要な指標として注目されています。また、決算などでは年間の収益を表すARR(Annual Recurring Revenue)が用いられていることも多いです。その算出式は、以下のように表されます。

  • MRR = 顧客数 × 月間利用料金
  • ARR = MRR × 12 

上図の通り、スターティアホールディングスのデジタルマーケティング事業におけるARRは順調な推移を示しており、毎年前期比30%増加となっています。MRRを見ても、毎月着実に伸びていることが分かるでしょう。

MRRについては、「SaaSの主要KPI【MRR】とは?概要や計算方法を分かりやすく解説」の記事をご参照ください。

チャーンレート

チャーンレート(Churn Rate)は離脱状況を示す指標で、解約率として用いられることも多いです。ビジネスにおいて新規顧客を獲得することはもちろん大切ですが、新規顧客が増えても、既存顧客の離脱率が高ければ安定的な成長は見込めません。そのため、MRRやARRなどと同時に、解約率を同時にモニターする必要があるのです。

スターティアホールディングスは解約率に関する数値を公表していませんが、ARRやMRRが順調に推移している状況を見ると、低い解約率を維持していると推測されます。もしこの数値が高い場合は、ARRの伸びも鈍化あるいは減少するはずなので、その対策に注力する必要があるためです。

チャーンレートについては、「SaaSの主要KPI【チャーンレート】とは?種類や目安を解説」の記事からご覧いただけます。

ユニットエコノミクス

ユニットエコノミクスは「1顧客当たりの経済性・採算性」を示す指標です。この指標を求めるためには、LTV(Life Time Value : 顧客生涯価値)とCAC(Customer Acquisition Cost : 顧客獲得コスト)の2つの指標を測る必要があります。

  • LTV = 平均利用額 × 平均利用年数 × 粗利益率
  • CAC = 顧客獲得コスト / 新規獲得顧客数
  • ユニットエコノミクス = LTV / CAC

LTVは1顧客から得られる生涯収益を表し、CACは新規1顧客を獲得するために費やすコストを表します。ユニットエコノミクスはLTVをCACで割ることで算出可能です。

スターティアホールディングスはユニットエコノミクス自体の数字を公開していませんが、平均利用額や利用年数は増加傾向にあると推測できるため、LTVも増加していると予想できます。

一方、CACについては顧客獲得コストが不明で算出できませんが、新規顧客数が増えるほどCACは小さくなります。現在の投資によって認知度が広がることで、今後も新規顧客の増加傾向は続くと想定できるでしょう。それによって、CACの値は小さくなり、結果としてユニットエコノミクスは大きくなると予想できるのです。

つまり、1顧客当たりの経済性・採算性が向上する可能性が高いといえます。

ユニットエコノミクスについては、「SaaSの主要KPIと【ユニットエコノミクス】とは?計算方法や目安を紹介」の記事で解説しています。

まとめ

さまざまな業界でDx化の推進が叫ばれている中、日本社会で大部分を占める中小企業はその対応に苦労しています。スターティアホールディングスが展開するデジタルマーケティングSaaS事業やITインフラ事業が好調な背景には、確実に社会ニーズを捉え、それに合ったソリューションを提供している結果といえるでしょう。

そして、上述したKPIを用いてビジネスの状況をモニターし、最適な意思決定を行うことで継続的な成長と利益拡大につなげていると判断できます。

監修者

広瀬好伸
株式会社ビーワンカレッジ 代表取締役社長

プロフィール

京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて600社以上の事業に関わる。

公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。
株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKY社外役員。

成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。

講演実績

株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。

論文

『経営指標とKPI の融合による意思決定と行動の全体最適化』(人工知能学会 知識流通ネットワーク研究会)

特許

「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)

アクセラレーションプログラム

OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。

取材実績

日本経済新聞、日経産業新聞、フジサンケイビジネスアイ、週刊ダイヤモンド、Startup Times、KANSAI STARTUP NEWSなど。

著書

『飲食店経営成功バイブル 1店舗から多店舗展開 23の失敗事例から学ぶ「お金」の壁の乗り越え方』(合同フォレスト)

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