予実管理におけるダッシュボードとは?必要な理由や導入方法を紹介!
企業が経営目標を達成するためには、目標までの達成状況をリアルタイムに把握し、進捗に問題があれば素早く課題を特定して改善施策を実行しなければなりません。
改善施策を実行するために欠かせないのが、進捗把握を行うための予実管理です。
多くのデータを取り扱う予実管理では、予実管理システムの活用が便利で、大容量のデータでもスムーズな処理が実現可能になります。
そして、予実管理システムの使いやすさを決める要素の一つがダッシュボードです。
現状をリアルタイムに把握し、企業が意思決定を迅速に行うためにはダッシュボードが重要となるため、予実管理システムはダッシュボードにも注目して選ぶ必要があります。
この記事では、予実管理におけるダッシュボードの基本情報や必要な理由、導入方法を紹介します。
予実管理におけるダッシュボードとは
予実管理におけるダッシュボードとは、予実管理に必要な複数のデータや情報をひとつの画面内で可視化するツールのことです。
そもそも、ダッシュボードとは車のダッシュボードが由来となっています。
車のダッシュボードには「ガソリンの残量」「時速」「警告灯」などの情報が表示され、車の状態が一目で分かるようになっています。
予実管理におけるダッシュボードでは、「会社の業績」「収支」「目標の進捗状況」などが表示され、一目で企業の経営状態を把握できます。
また、車のダッシュボードが車種によって異なるように、予実管理におけるダッシュボードもさまざまな種類があります。
そのため、予実管理のダッシュボードは、表示できる情報の種類や見やすさ、使いやすさなどを重視視しながら選ぶことがポイントです。
予実管理にダッシュボードが必要な理由
現状の把握ができる
予実管理にダッシュボードが必要な理由は、現状の把握を行うためです。
ダッシュボードには売上や利益などの重要な情報が表示されるため、リアルタイムに事業の状況がパッと見てつかめます。
例えば、ダッシュボードで当初の売上予想と実際の売上をグラフで並べて表示した場合、実際の売上が予想を下回っていれば施策が上手くいってないと把握できるでしょう。
事業の状況をリアルタイムに把握するためにも、ダッシュボードは欠かせません。
異常値が早く知れる
予実管理のダッシュボードは異常値を早く知るためにも必要です。
異常値とは「これまで順調に推移していた売上が急速に落ちた」のように、目標と実績に乖離が生じたときの数値を指します。
異常値が出たら速やかにその原因を確認することが重要であり、異常値に気づかなかったり放置したりすると、後々大きな問題に発展する可能性もあるでしょう。
予実管理のダッシュボードでは目標と実績の管理をリアルタイムに行うことができるため、異常値が発生したときにいち早く知ることができます。
特に部門を超えてダッシュボードを共有できる予実管理システムなら、現場から経営層まで幅広くリアルタイムに異常値の把握が可能です。
予実差異の原因を特定する
予実管理のダッシュボードは、予実差異の原因を特定するためにも必要です。
ダッシュボードで異常値を検知した場合は、原因を特定して対策しなければいけません。異常値が発生する場合、「リソース不足」「景気の問題」「競合他社」など、何らかの原因があるのが一般的です。
原因を特定するためには、計画立案時と何が異なっているのか、その主な理由は何で特定や推定できるかを検討する必要があり、その際にダッシュボードに表示されるデータや情報が参考になります。
また、原因特定にはKPI(経営目標を達成するための途中目標)も考慮しながら分析しなければなりません。そのため、KPIを管理できるダッシュボードならより細かな分析ができるでしょう。
特定が不十分であると、その後の施策も的を外したものになる可能性があるため、徹底して特定作業を行う必要があります。
経営判断を迅速に行える
経営判断を迅速に行うためにも、予実管理のダッシュボードは必要です。
例えば、ダッシュボードで異常値を検知した場合に、原因を特定して早急に軌道修正するための施策を行う必要があります。
施策で十分な効果が期待できない場合は撤退という選択肢も出てきますが、いずれにしても判断が遅くなればなるほど損失も大きくなるため、迅速な経営判断が重要です。
企業の状態をリアルタイムに表すダッシュボードを確認することで、経営陣を含む意思決定者はスピーディーな意思決定が可能になります。
予実管理にダッシュボードを導入する方法
予実管理にダッシュボードを導入する方法には、自作やテンプレート、予実管理システムを使う方法があります。ここでは、それぞれの方法を解説します。
自社で作成する
予実管理のダッシュボードは、ExcelやGoogleスプレッドシートを使い自社で作成できます。
例えば、Excelに売上高や売上原価、売上総利益、経常利益、営業外費用、営業外収益などの項目を入力し、現状の数値と前年同月の数値を入力して差額や予算比の算定式を追加します。
仮に、売上や営業利益、経常利益が予算より実績の方が高い数値になった場合や、去年に比べて数値が改善されていれば経営状況は良好と判断できるでしょう。
一方、このような形式のダッシュボードだと部門を超えてリアルタイムに情報共有することは難しく、担当者が入力ミスをすると、予実管理の結果に大きなエラーが生じる可能性もあります。
Excelのテンプレートを使用する
自社で予実管理のダッシュボードを作成することが難しい場合、Excelのテンプレートを使用する方法もあります。
Excelのテンプレートであれば自社でダッシュボードの基礎を作る必要がなく、必要な項目を追加することで簡単に予実管理が可能です。
一方、Excelのテンプレートには関数や数式が設定されており、ちょっとした操作で関数や数式が崩れてしまうと、元通りに修復することが難しいケースもあります。
また、自社で作成する場合と同じく、部門を超えてリアルタイムに情報共有することが難しいデメリットもあります。
予実管理システムを使用する
予実管理システムには、デフォルトでダッシュボードが搭載されています。予実管理システムは予実管理に特化したシステムであり、以下のようなメリットがあります。
- 多部門・多拠点でも共有しながら気軽に運用できる
- 他システムからデータを取り込める
- 大容量データも処理できる
Excelと違って複雑な関数や数式の作成は必要なく、部門を超えて誰もが経営状況をリアルタイムで把握できます。
また、予実管理システムのダッシュボードはすでに完成された状態ですが、必要に応じてカスタマイズすることも可能です。
ただし、どのようなカスタマイズ機能があるかは予実管理システムによって変わります。
ダッシュボード導入時の注意点
予実管理のダッシュボードを導入する場合、どのような点に注意したらよいのでしょうか。ここでは、ダッシュボード導入時の注意点を紹介します。
コストがかかる
予実管理のダッシュボードを導入する際にはコストがかかります。
自社で作成する場合は人的リソースが必要となり、Excelのテンプレートが有料なら購入コストもかかるでしょう。また、予実管理システムを導入する場合は、ランニングコストも発生します。
「できるだけコストを抑えたい」と考える企業も多いと思いますが、ダッシュボードを導入しても自社の目的を達成できなければ意味がありません。
例えば、コストを抑えてダッシュボードを自作して運用しても社内に広がらなかったり、人的ミスが多発したりすると、目的を達成できないどころか効果的な施策の立案ができずに、その後の対策にも影響が出てくる可能性があります。
また、Excelの場合は、関数が崩れたり、最新のデータの所在がわからなかったり、追加修正が煩雑になったりするなど、メンテナンスにおける「隠れコスト」が発生しているケースは多いです。
一方、ランニングコストがかかる予実管理システムを導入しても、それによって自社の課題が明確になり異常値に早期対応できれば、長期的にみると費用対効果は高いといえます。
ダッシュボードはコストの大小よりも、長期的な視点でみた場合の費用対効果で選ぶことが大切です。
ダッシュボードによっては担当者のスキルが求められる
自作ダッシュボードや、関数が複雑なExcelのテンプレートなど、ダッシュボードによっては担当者のスキルが求められることもあります。
担当者にスキルが求められるダッシュボードだと、作業担当者しか手順や状況が把握できない属人化となり、不在時に対応方法がわからなかったり、トラブルが発生したりするリスクが高まるでしょう。
ダッシュボードは属人化することなく、操作に求められるスキルが高くないものを選ぶことがポイントです。
ダッシュボードを導入するなら予実管理システムがおすすめ
予実管理にダッシュボードを導入するなら、予実管理システムがおすすめです。
予実管理システムならダッシュボードがすでに出来上がっている状態であり、誰もが使いやすいように最適化されています。
ダッシュボードは、関数の知識がなくても感覚的にカスタマイズも簡単に行うことが可能です。
また、予実管理システムは業務データを一元管理できることや、分かりやすい操作性を持つため、業務の属人化を防ぐことにもつながります。
入力データも即座に反映されるため、作業スピードの効率化が期待できて、迅速な経営判断がしやすくなるでしょう。
さらに予実管理システムは、セキュリティ対策にも効果的です。
予実管理で取り扱うデータは重要な会社の数値であり資産でもあるため、これらのデータをメールでやりとりすると、誤送信や情報漏洩につながる可能性があります。
その点、情報やデータを部門を超えて共有できる予実管理システムならメールでのやりとりは不要となり、誤送信のリスクを防ぐことができます。
ダッシュボード重視で予実管理システムを選ぶポイント
予実管理システムといっても、機能やダッシュボードの性能はさまざまです。ここでは、ダッシュボードで予実管理システムを選ぶときに重視したいポイントを紹介します。
部門を超えて共有して使用できる
予実管理システムを選ぶ際には、部門を超えてダッシュボードを共有できるかが重要なポイントです。
ダッシュボードを共有できると、事業部や管理部、経営陣など異なる立場の人々が同じ情報を見て事業の状況について共通認識を持つことができます。
特定の部門のみがダッシュボードを見られるような状況だと、他の部門と情報を共有する際に、情報の集約や加工が必要となり、組織全体の情報流通スピードの低下にもつながるでしょう。
その点、ダッシュボードを共有すると情報の集約や加工にかかる手間を分散化できるため、組織全体の情報流通スピードの向上につながります。
複数のダッシュボードが使い分けられる
予実管理システムを選ぶ際には、複数のダッシュボードが使い分けられることもポイントです。
他の部門と共通認識を持つためだけに作られたダッシュボードだと、自分の部門の情報やデータを整理したいときに不便さを感じることもあります。
そのような場合に、自分の部門専用のダッシュボードに切り替えられたり、個人用のダッシュボードに切り替えられたりすると便利です。
予実管理システムによってダッシュボードのカスタマイズ性能は異なるため、複数の種類のダッシュボードを使い分けられるものを選ぶことをおすすめします。
データがリアルタイムに更新される
予実管理を選ぶ際には、データがリアルタイムに更新されるかどうかもチェックしましょう。
仮に複数の部門と情報共有している場合にデータの更新が遅れると、どの部門も異常値が発生したときに迅速に気付くことができません。
その結果、初期対応が遅れてしまい、大きな損失が発生する可能性もあります。予実管理システムを選ぶ際には、データが自動的かつリアルタイムに更新されるものがおすすめです。
運用時に時間や作業の手間がかからない
予実管理システムは、運用時に時間や作業の手間がかからないものを選びましょう。
例えば、過去の実績を引き出したいときに「過去のデータはどこから引き出したらいいのか」「過去のデータを探すのに時間がかかる」などの課題が発生することもあります。
このような場合に、過去のノウハウを蓄積しているデータベースがあれば検索していつでも引き出すことができるため、時間や作業の手間がかかりません。
また、「計画と実績」「計画と見込み」などの比較を行いたいときも、予実管理システムに比較できるツールが備わっていれば時間や作業の手間を省くことができます。
予実管理システムによって備わっている機能は異なるため、運用時をイメージしたときに時間や作業の手間を省ける機能が備わっているものを選びましょう。
無料デモに対応している
ダッシュボード重視で予実管理システムを選ぶ際に、無料デモ体験ができる場合は事前に試しておくとよいでしょう。
ダッシュボードは実際に使ってみないと操作性はわかりません。
画面は見やすくても自分で触ってみると使いにくいケースもあったり、難しそうに感じても実際に使ってみると簡単だったりするケースもあります。
複数のダッシュボードを切り替えて使いたいときは、どのように切り替えができるのか、どんな風にカスタマイズできるのかなどもポイントになるでしょう。
予実管理システムを選ぶ際には、無料デモに対応しているものを選び、実際に試してから導入を検討するのがおすすめです。
まとめ
この記事では、予実管理におけるダッシュボードの説明や必要な理由、導入方法を紹介しました。
予実管理にダッシュボードを導入するなら予実管理システムがおすすめです。予実管理システムがあれば属人化を解消し、部門を超えてデータや情報を簡単に共有できます。
予実管理システムにはさまざまな種類がありますが、ダッシュボード重視で選ぶならScale Cloud(スケールクラウド)がおすすめです。
スケールクラウドのダッシュボードは、事業/部門/商品やサービスごとにどのKPIの数値かをプルダウンで選択するだけで自由に誰でも簡単にグラフ化できます。
また、会社/部門/チームで共通認識を持つためのダッシュボードや個人でカスタマイズして利用するダッシュボードなど、複数種類のダッシュボードを分けて管理することも可能です。
データはリアルタイムに自動更新されるため、常に新しい情報やデータを部門を超えて共有できます。無料デモ体験もできるため、ダッシュボードの使い方を事前に実画面で確認してから導入をご検討いただくことも可能です。
予実管理システムの導入を検討している方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
監修者
広瀬好伸
株式会社Scale Cloud 代表取締役社長
プロフィール
京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて800社以上の事業に関わる。
公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKYホールディングス社外役員。
成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。
講演実績
株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。
論文
特許
「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)
アクセラレーションプログラム
OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。