業績管理とは?管理すべき内容や進め方を詳しく紹介!

競争が激化する昨今において、ビジネスで成功するためには業績管理が欠かせません。
業績管理は的確な経営判断を行うために重要な業務であり、正確かつ効率的に管理できれば、市場での競争力向上やリソースの最適化、コスト削減などの効果が期待できます。
業績管理を成功させるためには、目的や流れを明確化させる必要があります。この記事では、業績管理の重要性や指標、流れや成功させるためのポイントを詳しく紹介します。
業績管理とは

業績管理とは、企業が目標を設定して業績を正確に理解したうえで分析を行い、目標達成度や課題を明確にし、対策を講じていく取り組みのことです。
企業の業績を向上するためには、目標達成に向けて経営管理や予算管理を行い、企業全体の業務プロセスの効率化が欠かせません、
業績管理は、企業の経営成績を一定期間ごとに評価することで、目標達成に向けた方針の判断に役立ちます。例として、週次決算や月次決算など、短期決算の管理も業績管理といえるでしょう。
短期決算で企業の業績を評価し、最終目標である年度決算に向けて企業の業績がどのような状態かを把握できます。トラブルが発生しても早い段階で対策できるため、早期の軌道修正が可能です。
業績管理の目的や重要性

ここでは、業績管理の目的や重要性について詳しく解説します。
リソースを適切に分配する
業績管理はリソースを適切に分配するために必要です。
ビジネスにおけるリソースとは、人材や物、資金、時間などの経営資源のことで、従業員や設備、資金などが該当します。
リソースは有限であるため、適切な分配・活用が求められ、生産性を向上させることが重要です。
リソースの分配を適当に行ってしまうと、「需要が増えているのに人材が足りない」「設備を増やしたいけど投資できるお金がない」などのトラブルにつながります。
一方、業績管理を行っていれば、利益を出している部門やニーズが高まっている商品・サービスを把握できるため、必要な場所にリソースを分配できるというわけです。
もちろん、リソースを適切に分配するためには現状のリソースを把握しておく必要があります。
人事評価を適切に行う
業績管理は、人事評価を適切に行う際の重要な要素の一つです。
誰がどの案件でどれくらい売上を出したのかなどの成績は、適切に管理していないと正しく把握できません。
また、案件にどれくらいの時間がかかったなど、成績だけでなく業務の効率性なども評価のポイントになるでしょう。
人事評価を適切に行い、頑張りや成果が正しく評価されると従業員のモチベーションアップにもつながります。また、従業員のスキルや特性を把握することで、人材の配置にも役立つでしょう。
一方で、人事評価が適切に行われていないと、従業員のモチベーション低下や不満を引き起こし、それに伴って生産性や効率性が低下する可能性もあります。
経営状況を分析する
業績管理は経営状況を分析するためにも欠かせません。
業績管理を行うことで予算までの進捗管理や状況把握をはじめ、どこに赤字の原因があるかなどの経営状況の可視化につながります。
さらに、経営状況を分析することで結果に基づいた適切な施策が可能です。
例えば、赤字が発生したときに、その原因が「経費にあるのか」「価格設定にあるのか」「売上が足りてないのか」によって対策は異なります。
経費に原因があるなら経費の見直しや削減、価格設定にあるなら値上げやそれに伴う付加価値の追加、売上が足りないなら広告強化など、具体的な施策が見えてくるでしょう。
業績管理を行わず、単に「赤字が発生した」では、原因もわからず赤字を解消するために必要な施策も見えてきません。
経営状況を分析して施策につなげるためにも、その根拠となる業績管理の必要性や重要性は高いといえるでしょう。
業績管理に重要な指標

業績管理を行う際には、KGIとKPIの指標が重要になります。ここでは、それぞれの意味や業績管理における役割について紹介します。
KGI
KGIはKey Goal Indicatorの頭文字の略で、日本語では「重要目標達成指標」と訳されます。
日々のあらゆる業務にはゴールとなる目標が設定されており、その目標を達成することが業績管理の最終目的です。
目標に位置づけられるのがKGIであり、例えば「年間売上金額150%アップ」「業界シェア1位」「市場シェアを3年間で20%増加させる」などの目標が挙げられます。
一方、「諸経費を前年度より10%減らす」のように、売上だけでなく支出を減らすための目標としてKGIを設定することもあります。
KGIは、明確性があり定量的になっていることが重要です。仮に「とにかく売上をアップする」のようなKGIだと、定量的ではなく明確性もないため具体的な施策や方向性が定まりません。
KPI
KPIはKey Performance Indicatorの頭文字の略で、日本語では「重要経営指標」や「重要業績評価指標」と訳されます。
KPIはKGIを達成するための中間目標であり、業績管理で分析・評価する要素の一つです。
例えば、年間売上金額150%アップというKGIを掲げている場合、KPIとして「会員登録者数を1ヵ月以内に100人増やす」「受注数を前月の2倍にする」など、測定可能な指標を設定します。
業績管理ではKPIが達成できたかをチェックし、達成できなかった場合は原因を分析して具体的な改善策の検討を行います。
なお、1つのKGIに対して複数のKPIを設定し、KPIの下位にもそれを達成するためのKPIが順次につなげていくのが一般的です。
その構造が木から枝葉が連なっているように見えることから、「KPIツリー」と呼ばれています。
業績管理の流れ

業務管理では指標の設定や管理、評価などを行います。ここでは、業績管理の流れを紹介します。
指標の設定
業績管理では、最初にKGIとKPIの設定を行います。
まずは経営計画や前年度の実績、戦略などに基づき、達成したいKGIを設定しましょう。次に設定したKGIから四半期、月、週などの中間測定の周期を定めたKPIをいくつか設定します。
KGIやKPIの設定後は、これらを達成する具体的な計画や施策を定めておくことが大切です。設定した指標は社内で共有し、従業員がいつでも確認できる環境づくりを行いましょう。
従業員が当事者意識を持つことは、KGIやKPIを達成するために重要なポイントになります。また、KGIやKPIは具体的な数値で設定することが基本ですが、必ず実現できる範囲で設定しましょう。
会社の実情と大きくかけ離れた理想が高すぎるKGIやKPIは、「実現できるわけがない」と従業員のモチベーションを低下させる可能性があります。
目標値の設定を間違ってしまうと、その後の管理や評価も上手くいかないため、必要なリソースやスケジュールを勘案したうえで計画を立てましょう。
施策の実行と進捗の管理
指標の設定を行い、施策を行った後はKPIがどれくらい達成できているかを確認します。
定めた周期ごとに実績のデータを収集し、進捗管理を行うことがポイントです。進捗管理の周期は短ければ短いほど、予想外のトラブルが発生した際に早い段階で異常を察知して対策できます。
週次会議や月次会議のタイミングなど、1週間~1ヵ月に1度は進捗管理できる体制を整えましょう。
なお、業績管理では進捗の管理を行う責任者を設定しておく必要もあります。責任者を設定していないとメンバーからの報告が集約できず、適切な管理ができません。
指標の評価
進捗の管理を行った後は、KPIごとに実績値が目標値を達成しているかどうかを評価します。
KPIを定期的に測定する場合は、従業員の誰もが達成度合いを一目で理解できるように評価システムを策定しておくとよいでしょう。
例えば、以下のような評価システムを設定すると、誰もが分かりやすく情報共有もしやすくなります。
- 計画通りに進んでいる
- 計画は下回っているものの、KGIの達成には問題のない範囲
- 計画通りに進んでおらず、このままではKGIが達成できない
仮に設定したKPIが上記の2だと「今後は注意深く監視が必要」となり、3の場合だと「根本的な改善や見直しが必要」です。
このように指標の達成度を評価することで、今後何に重点を置いて施策を行うのか判断できます。
次回の目標に活かす
指標の評価で問題があったKPIは、具体的な対策や軌道修正するための施策はないかなどを検討します。
KPIが未達成だった場合は次のタイミングで達成できる施策を実施しなければならず、達成状況によっては見直しを行います。
大切なことは達成したKPIではなく、達成できなかったKPIを詳しく分析することです。
もちろん、KPIを達成できた背景には従業員の努力もあるため、きちんと評価を行う必要もありますが、できなかった理由を明確にしなければ業務の改善にはつながりません。
- 利益差異の算出:予算策定時の利益額と実際の利益額を比較して検証
- 収益・原価差異の算出:利益差異を収益差異と原価差異に分解して検証
- 自社のフレームワークで算出:自社独自のフレームワークを作成して検証
差異分析は正しいデータに基づいて行うことが鉄則であり、誤ったデータをもとに行っても間違った結論しか生まれません。
そのため、差異分析を行う際には用意するデータの正確性に注意が必要です。
業績管理を成功させるポイント

業績管理を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。ここでは、それぞれのポイントを紹介します。
PDCAサイクルを回す
業績管理では、PDCAサイクルを意識しながら回すことが重要です。
PDCAとは、計画を立てて実行した行動を検証し改善していくための継続的な改善手法となります。基本的に業績管理の流れは、以下のPDCAサイクルにそのまま当てはめることができます。
- Plan(計画):目標の設定
- Do(実行):施策の実行と進捗の管理
- Check(評価):実績の評価
- Act(改善):次回の目標に活かす
また、業績管理は継続的なプロセスであるため、定期的なサイクルで上記のステップを繰り返し、組織の成果を向上するための持続的な改善を行う必要があります。
複数のKPIを広く設定する
業績管理ではKPIの設定が必要ですが、複数のKPIをできるだけ広く設定しましょう。
「複数のKPIを設定すると管理が大変では?」と思うかもしれませんが、業績管理で重要となるのは主に達成できなかったKPIの分析や改善です。
極端な話、100個のKPIを設定したからといって、すべてをチェックする必要はなく、その中で問題のあるKPIだけ取り出せば手間はかかりません。
また、多くの指標をモニタリングすることで、企業が抱える潜在的な課題や問題に気づきやすくなるメリットもあります。
部門を超えて情報共有できる体制を作る
業績管理を成功させるためには、部門を超えて情報共有できる体制を作る必要があります。
業績管理の軸となるKGIは会社全体の目標となるため、足並みをそろえるためにも情報共有は欠かせません。
また、KPIによっては他部門との連携が必要になるケースもあるため、部門を超えて情報共有できる体制作りがポイントになります。
部門ごとの情報共有ならExcelでもできますが、部門を超えて効率よく情報共有するなら業績管理できるシステムの導入が欠かせません。
リアルタイムで情報を得られる環境を構築する
業績管理はリアルタイムで情報を得られる環境の構築が必要です。そもそも、リアルタイムが重要である理由は早期に問題を発見し、改善策を考えることができるためです。
例えば、今月の売上目標を200万円と決めていたとします。
10日目の業績をリアルタイムで確認したときに売上が50万円だとすると、今月末の売上の着地見込みは150万円となり目標は達成できません。
この場合、残り20日で数字を改善するためにその時点での問題点を洗い出し施策を実施します。
もしリアルタイムで確認ができず業績が分かるのが1ヵ月先なら、目標売上と比較して達成できたか、できなかっただけで終わってしまい、原因の把握ができずに対策もできなくなるというわけです。
このような問題を解決するためにも、リアルタイムに業績管理できるシステムの導入をおすすめします。
自動的に集計できる環境を構築する
業績管理ではKGIやKPIなどを設定するため、数字を取り扱う機会が多く、自動的に集計できる環境の構築が必要です。
例えば、部門ごとにバラバラで管理しているKPIデータを簡単に集約したり、統合したりするためには多くの作業を必要とします。
取り扱う数字が多くなるほど管理が難しくなり、エラーやトラブルが発生するリスクも高くなるでしょう。数字を集計して一元管理するためには、業績管理ができるシステムの導入が必要です。
誰もが扱えるシステムなら業務を効率化できるだけでなく、属人化防止にもつながります。
業績管理はスケールクラウドがおすすめ!

業績管理を行うためのシステムを導入するなら、Scale Cloudがおすすめです。
Scale Cloudは、KPIごとに計画を立てることで事業ごとに事業計画や予算が自動的に作成できます。また、計画達成に必要なKPIごとの目標を可視化し、「計画に対して進捗が遅れているKPIがどれか」「計画の達成や未達成の原因がどのKPIにあるか」などが一目瞭然にわかります。
さらに、週次でKPIがマネジメントできるため、施策の途中で問題が発生したときもいち早く気づくことが可能。KPIは、ダッシュボードで部門を超えて共有できます。
このように、Scale Cloudには業績管理を効率よく行うためのさまざまな機能が備わっています。
まとめ
この記事では、業績管理の内容や進め方などを紹介しました。
業績管理は企業が目標を設定して分析を行い、目標達成度や課題を明確にし、対策を講じていくための取り組みです。
業績管理はリソースを適切に分配したり、人事評価を適切に行ったり、経営状況を分析するために必要となります。
業績管理を効率よく行うためには、部門を超えて情報共有したり、リアルタイムに業績を把握したり、自動的に集計できる環境などが必要です。
Scale Cloudは、業績管理に必要な数字の集計やデータ分析などを簡単に行うことができます。
また、これまでに積み上げてきたノウハウはテキストでデータベース化できるため、必要なときにいつでも取り出すことが可能です。
無料デモ体験にも対応していますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

監修者
広瀬好伸
株式会社Scale Cloud 代表取締役社長
プロフィール
京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて800社以上の事業に関わる。
公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKYホールディングス社外役員。
成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。
講演実績
株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。
論文
特許
「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)
アクセラレーションプログラム
OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。