KPIテンプレートとは?!種類や有用性、最適なKPI管理の方法を紹介!
KPIを設定すると、やるべきタスクや業務プロセスが明確になり目標達成に近づきます。
また、設定したKPIを定期的に見直すことで進捗把握がしやすくなり、「このままだと目標達成できない」という場合もすぐに軌道修正できるでしょう。
KPIの管理方法としてテンプレートを使う方法がありますが、「具体的なやり方がわからない」「どのようにKPI管理ファイルを作るかわからない」と悩む方も多いのではないでしょうか。
この記事では、KPI管理で使えるおすすめのテンプレートや使い方を紹介します。
KPIテンプレートとは
KPIテンプレートとは、KPIの管理がしやすいように計算式の埋め込まれた表計算ソフトのファイルのことです。
KPIテンプレートを用いることによってKPI管理がしやすくなり、「目標達成までに何が足りないのか」「どの施策に重点を置いたらいいのか」などが把握できます。
KPIテンプレートは自作するか、インターネットで公開されているものをダウンロードして使用することも可能です。
ここでは、実際のKPIテンプレートを用いて使い方や見方を紹介します。
KPIテンプレートのダウンロード
こちらはツリー状のKPIテンプレートです。売上に対し、以下のKPIが設定されています。
- 成約単価
- 成約率
- 成約数
- 商談数
- テレアポ
- Web問い合わせ
- アポ率
- テレアポ数
- CVR
- セッション数
このKPIテンプレートでは成約単価や成約率が変わらないことを前提に、成約数をどれだけ増やせばKGIが達成できるかの計算ができます。
成約数を増やすために必要なKPIとして商談数があり、商談数を増やすためのKPIとしてはテレアポ経由の商談数とWeb問い合わせ経由の商談数などです。
さらに、テレアポ経由の商談数のKPIとしてアポ率とテレアポ数を設定し、Web問い合わせ経由の商談数のKPIとしてCVRやセッション数を設定しています。
KPIテンプレートの使い方
続いては、先ほど紹介したKPIテンプレートを実際に使用する方法を紹介します。
まずは、先ほどのKPIテンプレートに入力されているデータが去年のデータを用いたものだと仮定し、改めてチェックしてみましょう。
仮に今年の売上目標(KGI)を400万円に設定した場合、成約単価が2万円であるため、成約数は200を達成しなければなりません。
成約数を200に増やすためには商談数を増やす必要があり、そのためにはアポ率、テレアポ数、CVR、セッション数のいずれかを増やさなければなりません。
まずはテレアポ数について確認してみましょう。
テレアポ数を40,000→57,667まで増やすと、成約数200を達成できることになります。次はセッション数について見ましょう。
セッション数を300,000→889,000まで増やすと、成約数200を達成できることになります。
もちろん、セッション数を増やすのではなくお問い合わせフォームの質を高めてCVRを高めることや、テレアポスタッフの接客レベルを高めてアポ率を高めることも売上を増やす施策として有効です。
また、KPIテンプレートはKGIの目標値の設定に役立てることもできます。
例えば、Webサイトのリニューアルを行ったことで、年内のセッション数を1,000,000と見込んだとします。
以下のようにセッション数の数値をKPIテンプレートにそのまま入力し、自動計算された売上4,200,000円もKGIの目標値を決める際の参考の一つになるでしょう。
このようにKPIテンプレートを用いることによって、最終目標=KGIを達成するために必要なKPIとその目標値が可視化され、何をすべきかが分かるメリットがあります。
KPIテンプレートの種類
KPIテンプレートの中でも多く使用されているものに、KPIツリーテンプレートとKPIダッシュボードテンプレートがあります。
ここでは、それぞれの特徴を紹介します。
KPIツリーテンプレート
KPIツリーテンプレートは、先ほど紹介したテンプレートのようにKGIとKPIをツリー形式にまとめたものです。
KPIテンプレートを見ても分かるように、一般的には1つのKGIを達成するためには複数のKPIが存在いしており、各KPIの下層にもKPIが存在しています。
KPIツリーテンプレートを用いることで複数の指標の関係性を一目で理解できることや、KPIの要素を選定する際に漏れやダブりのチェックも可能です。
KPIツリーテンプレートは、KPIの設定や管理を行う際に役立ちます。
KPIダッシュボードテンプレート
KPIダッシュボードテンプレートは、プロジェクトや製品などのパフォーマンスを継続的に計測するためのツールです。
パフォーマンスの進捗状況の追跡を容易にする棒グラフや円グラフ、ヒストグラムなどにより、週次や月次の目標に対する差異を追跡することもできます。
担当者は膨大なデータに基づく情報をまとめ、動的で読みやすい形式で管理を行うことが可能です。
KPIダッシュボードを最初から作ると時間がかかりますが、テンプレートを使用することで作成の手間を省くことができます。
KPIテンプレートの有用性
KPIテンプレートはKPI設計や管理に便利です。ここでは、KPIテンプレートの有用性を紹介します。
KPI設計がスムーズにできる
KPIテンプレートを使うことで、KPI設計がスムーズにできるようになり、チームがすべき施策や目標達成までの進捗状況が把握できます。
例えば、口頭で「今期の目標は売上を2倍に増やす」というKGIを掲げたとしても、具体的に何をしたらいいかはわかりません。
しかし、KPIテンプレートにKGIを落とし込み、KGIを達成するために必要なKPIを設定することで具体的な施策が可視化されます。
また、KPIテンプレートをもとに「チームでKGIを達成するためには何が必要なのか?」「どんな影響要因があるか」などのブレーンストーミングもしやすくなるでしょう。
KPI設計が正しくできる
KPIテンプレートを用いることで、KPI設計が間違っていないかどうかを迅速にチェックし、必要に応じて修正できます。
KPIテンプレートは見ただけでKGIとKPIの関係性が一目でわかるようになっており、具体的な目標数値も記載が可能です。
そのため、必要事項を入力したKPIテンプレートを上司にチェックしてもらうことで間違いに気づき、すぐに修正することもできます。
このようにKPIテンプレートを用いることで自身の設計にミスがあっても、上司やチームのメンバーに指摘してもらいやすくなります。
KPI管理が簡単に始められる
KPIテンプレートを用いるメリットは、KPI管理が簡単に始められることです。
KPIテンプレートにはあらかじめ必要な項目が設定されているため、必要な数値や情報を入力するだけでKPI管理を始めることができます。
KPIを設定して管理を行うことにより、行動指針や評価目標が明確となり、日々の業務をより効率的に遂行できるようになるでしょう。
また、KPIテンプレートの多くは導入コストが安く、ランニングコストもかからないため、少ないコスト負担で始めることができます。
KPIテンプレートの注意点
KPIテンプレートを用いることでKPI管理がスムーズになりますが、一方で実際に使用する場合は注意点もいくつかあります。
ここでは、KPIテンプレートの注意点を紹介します。
部門間でリアルタイムに共有ができない
KPIテンプレートを用いてKPI管理を行う場合の注意点は、部門間でリアルタイムに情報の共有ができないことです。
一般的なKPIテンプレートは表計算ソフトで作られたファイルであり、クラウド機能が搭載されているわけではありません。そのため、KPIに変更が生じた際にはデータを修正し、直したファイルをチームで改めて共有する必要があります。
KPIを共有している人数が多ければ多いほど伝達にも時間がかかり、情報の不一致によって業務が円滑に進まない可能性もあるでしょう。
属人化しやすい
KPIテンプレートを用いてKPI管理を行う場合、属人化しやすい点にも注意が必要です。
特にテンプレートの項目が多く、複雑な関数が用いられていると使いこなせる人は限られてきます。
このケースだと、項目の変更を行う場合も関数などの専門的な知識が必要となるため、責任者が不在だと迅速に対応ができません。
KPIツリーテンプレートのようにKGIとKPIを入力するのみのテンプレートであれば、比較的扱いやすく属人化の可能性は低いといえるでしょう。
しかし、KPIの項目を増やしたり、減らしたりすると関数が崩れてしまうこともあり、規模によってはKPI管理が属人化する可能性もあります。
データの学習ができない
KPIテンプレートはファイルを保管していくことでデータの蓄積はできても、それをもとに自動分析や自動予測する機能などはありません。
過去のデータを用いて参考にする場合は、保管しているファイルを取り出し、その都度加工をする必要があります。
また、データが蓄積していくと容量が重たくなるため、企業で事務用途に導入しているパソコンによっては処理に時間がかかることもあるでしょう。
複数人で同時に作業ができない
KPIテンプレートを使ってKPI管理をする場合、複数人で同時に作業や編集ができないため、何かを入力するなら入力者の作業が終わるまで待つ必要があります。
また、他の人が入力して編集したファイルを開いた際に、編集内容に疑問点や分からないことがあったときにも改めて確認しなければなりません。
KPI管理に携わる人が増えると、それだけ1つ1つの工程に時間がかかることになります。
レポートの作成機能等はない
KPIテンプレートはファイルを画像やPDFに変換することはできても、自動でレポートを作成する機能はありません。
そのため、計画に対する実績の達成度が低いKPIや高いKPIなどを分析し、レポートを作りたい場合も手作業で行う必要があります。
KPIテンプレートはKPI管理や可視化ができても、データを活用できる機能が搭載されているわけではないため注意しましょう。
KPIテンプレートとKPI管理ツールの違い
KPI管理の方法として、KPIテンプレート以外にもKPI管理ツールを使用する方法もあります。ここでは、KPIテンプレートとKPI管理ツールの違いやKPI管理ツールを利用するメリットを紹介します。
KPIテンプレートとKPI管理ツールの違い
KPI管理ツールとは、KPIに関するデータを効率的に集計・分析を行い、目標達成や経営判断などをサポートするツールとなります。
KPI管理ツールはKPI管理に役立つさまざまな機能が搭載されており、例えば他部門とコミュニケーションを図れる機能や、レポートを自動で作成できる機能などです。
また、クラウドタイプのKPI管理ツールであれば、作業画面を共有できるため、意見を出し合いながら複数人で作業や編集もできます。
KPI管理ツールはダッシュボードを変更したいときも、難しい関数の知識は不要で簡単に項目の追加や削除が可能です。基本的に誰でも使えるような仕様になっているため、KPIテンプレートに比べて属人化しにくくなっています。
その一方で、KPI管理ツールはKPIテンプレートに比べ、導入コストやランニングコストがかかりやすいことが特徴の一つです。
しかし、それ以上にKPI管理ツールの導入による業務効率化によるメリットもあるため、導入を検討する場合は費用対効果を検証しておく必要もあります。
KPI管理ツールのメリット
KPI管理ツールによって搭載されている機能は異なりますが、導入によって主に以下のようなメリットがあります。
- データの蓄積や予測ができる
- グラフやレポートの作成ができる
- 外部システムと連携できる
- 異常値を自動で検知できる
- KPIの一元管理ができる
- 他部門とリアルタイムで情報共有ができる
上記のメリットから、KPI管理ツールを導入することでKPIの設計や管理がよりしやすくなり、企業全体で目指すべき方向性が可視化されます。
また、リアルタイムでKPI管理や情報共有ができることから、異常が発生した場合はいち早く察知し、迅速に対応できることもメリットです。
KPI管理ならScale Cloudがおすすめ
KPI管理なら、KPI設計から運用までのトータルサポートも行っているScale Cloudをおすすめします。
Scale Cloudは数字を軸にして組織全体の連携と組織的なPDCAを促進する仕組みを提供するクラウドタイプのKPI管理ツールです。
部門ごとにバラバラで管理している財務データやKPIデータなども、外部システムとのAPI連携などによって自動的に集約・統合し、事業数値をすぐに把握できます。
また、事業や部門、サービスごとに、どのKPIのどの数値かをプルダウンで選ぶだけで、自由に誰でも簡単にグラフ化が可能です。
専門的な知識がなくても簡単に操作できるため、KPI管理の属人化を防ぎ、さまざまな立場の人がリアルタイムに事業の状況を把握できます。
さらに、長年蓄積してきたノウハウや多くの成功事例に基づき、お客様にベストなKPIツリーの設計を支援するサービスもあります。
導入後も専属のカスタマーサクセス担当者と定期的にミーティングを実施し、継続的なコンサルティングを行う運用支援プログラムがあるため安心です。
まとめ
この記事では、KPIテンプレートの解説や種類、有用性、最適なKPI管理の方法を紹介しました。
KPIテンプレートは表計算ソフトなどを用いてKPI管理がしやすいように作られたファイルで、KPI設計や管理がしやすいメリットがあります。
低コストでKPI管理が始められるため、コストをかけずにKPI管理を始めたい場合にも最適です。
一方で、KPIテンプレートはKPI管理に役立つ機能があまり搭載されていないため、効率よくKPI管理を行う場合はKPI管理ツールの導入をおすすめします。
Scale CloudはKPI設計や運用サポート、コンサルティングも受けられ、事業数値を構造化して動的に活用できるKPI管理ツールです。
部門ごとにバラバラで管理されている財務データやKPIデータをインポート機能を使って簡単に集約・統合できます。
また、ノウハウはデータベースに自動で蓄積し、検索していつでも過去のノウハウを引き出すことも可能です。無料デモ体験にも対応していますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
監修者
広瀬好伸
株式会社Scale Cloud 代表取締役社長
プロフィール
京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて800社以上の事業に関わる。
公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKYホールディングス社外役員。
成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。
講演実績
株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。
論文
特許
「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)
アクセラレーションプログラム
OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。