プレイドのKPIの管理方法とは?主なKPIと合わせて解説
2022/07/13
プレイドは、「データによって人の価値を最大化する」というミッションを元にテクノロジーを活用して新しい価値を生み出し続けている会社です。そんなプレイドでは、どのようなKPIを設定して業務を遂行しているのでしょうか。
この記事では、プレイドの会社概要や事業内容などの基本的な情報とともに、主なKPIとKPIの管理について解説していきます。プレイドが行っている「企業におけるKPIへの意識調査」なども紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。
プレイドの会社概要
プレイドの事業内容
プレイドでは、事業として主に3つのサービスを提供しています。ここでは、プレイドが展開しているプロダクトやソリューション、プロフェッショナルサービスについて解説していくので、見ていきましょう。
- KARTE
- Professional Service
- EmotionTech
1つずつ、詳しく紹介していきます。
プレイドの事業内容
KARTEは、サイトやアプリに今訪問している人の行動をリアルタイムで解析して可視化することが可能です。それによって、顧客理解やパーソナライズをまとめて実行できるCX(顧客体験)プラットフォームとなっています。
顧客への理解を深めると同時に、顧客1人1人に合わせた緻密なコミュニケーションが実行できるようになり、サービスの体験価値の向上が見込めるのです。
金融、人材、不動産、メーカー、BtoB SaaSなど、あらゆる業界、業種で活用されています。ツール連携やデータ連携に最適なプラグインやオプションの拡張・追加ができるため、自社に適した形にカスタマイズすることが可能です。
KARTE事業では他にも、KARTE Datahub、KARTE Blocks、KARTE RightSupport、KARTE Entry Series、KARTE Signalsなどのサービスを提供しています。
Professional Service
Professional Service事業では、TEAMというサービスを展開しています。TEAMは、企業が抱えている問題に対して、各領域のスペシャリストを集めてチームアップし、プロジェクトを推進するためのアプローチを提供するサービスです。ブランド設計、戦略・企画、実装・活用、分析改善、組織開発の主に5つのメニューがあり、企業が解決したい問題や課題に合わせて対策方法を検討します。
他にも、Professional Service事業では、新たな事業を開発する組織であるSTUDIO ZEROが存在します。企業や行政、投資先企業などと共同で事業を立ち上げ、プレイドが培ってきたノウハウやテクノロジーを提供することで、あらゆる産業の振興を目的としている事業です。
EmotionTech
EmotionTech事業では、最高の顧客体験を実現するためのマネジメントサービスであるEmotionTech CXの開発・運営を行っております。顧客のニーズを把握して魅力的なサービスを提供し続けるために、顧客のフィードバックを集めて分析します。それによって、事業成長のための課題解決が容易になるのです。
EmotionTech CXの他にも、従業員エンゲージメントの向上を目的としたEX調査や分析の支援を行う、従業員体験向上サービスEmotionTech EXの提供も行っています。こちらは、従業員の定着率アップやパフォーマンスの改善に役立つサービスです。
プレイドの市場規模
プレイドの代表的なサービスであるKARTEは、CXプラットフォーム市場シェアで3年連続1位を獲得しており、ITreview Best Software in Japan 2020 で「TOP50」にも選出されています。
フラットな企業でも、従業員数が増えてくるとどうしても社内全体の動きを把握をするのが難しくなってしまいます。しっかりと顧客のニーズに応えられているか、顧客1人1人に合った営業方法ができているか、営業担当者ごとに成績に大きな違いはないかなど、営業1つとってもさまざまな問題が挙げられるのです。社内全体となれば、その数はさらに多くなるでしょう。
そういった際にKARTEを活用すれば、顧客のニーズの把握やパーソナライズがまとめてできて、社員の手間を減らすと同時に、社内で情報共有がしやすくなるのです。営業成績が思うように伸びない、新規顧客は見つけられるけど解約率が高いなど、企業が抱える問題は幅広いので、今後もKARTEの市場規模の拡大が期待できます。
プレイドの業績推移
引用:プレイド 財務ハイライト
上記の図から、プレイドでは2021年まで順調に業績を伸ばしているのが分かります。2022年のグラフはまだ完成していませんが、1Q2Qの推移を見る限りでは前年度を上回っているため、2022年の売上高にも期待できるでしょう。
今後の展開
現代ではデジタルマーケティングの重要性が高まっています。さまざまなサービスがWEB上で提供されていることから、顧客は自分の利用したいサービスを選び放題といえます。しかし、反対に数が増えてしまったことで、どのサービスが良いのかが分からないといった悩みを抱えている顧客も少なくありません。
そういったときに重要なのがデジタルマーケティングですが、実はデジタルマーケティングを効果的にできていない会社も多いのです。デジタルマーケティングは、SNSを利用してアピールしたり、WEBサイトを作成したりするだけではありません。
顧客のウェブ上のリアルタイムな行動を把握してより詳しくニーズを詳しく理解する、顧客ごとにパーソナライズ化してより適したアクションやコミュニケーションを提供することで、顧客体験に貢献できるようになります。
そのために役立つのがKARTEです。アプリやパソコンでの購買やサービス提供は今後も増えていくことが予想できるため、KARTEの需要も高くなっていくでしょう。
プレイドでは企業におけるKPIへの意識調査を実施
SaaS企業としてさまざまなサービスを提供しているプレイドでは、企業におけるKPIへの意識調査なども行っています。SaaSビジネスでは、KGIやKPIの設定が重要とされています。では、どのようなKPIを設定するのが良いのでしょうか。ここでは、プレイド が行った企業におけるKPIへの意識調査について詳しく見ていきましょう。
プレイドは、企業の商品企画やマーケティング、営業に携わっているビジネスパーソン1,034名を対象に、「企業経営におけるKPIの位置付けと社員の認識に関する調査」を実施しました。「事業を伸ばしている企業はどんな点に注目しているのか」「他の会社と何が違うのか」を判断するために「企業におけるKPIの位置付けと社員の認識」に注目して調査を行ったのです。
KPI設定では「売上目標への貢献」が重視
調査の結果、企業がKPIの設定をする際にもっとも重視しているのは「売上目標への貢献」とされています。その次に重要なのが「顧客満足度の向上」です。
5つの選択肢の中で1番少なかったのが「顧客への提供価値の最大化」となっています。しかし、「顧客への提供価値の最大化」という選択肢を選んだ人の78%が「(自社の)事業が成長している」と評価していました。その他の選択肢を選んだ人で「(自社の)事業が成長している」と評価したのは55.2%となっているため、事業の成長性に関する実感に約20%ほどの違いが生まれているという面白い結果も出ています。
また、KPIを設定する際は、全体的な数値目標から逆算して設定している企業がもっとも多く、まずはKGIを明確にしているということが分かります。次に多いのが、所属部署の数値目標から逆算しているという意見です。こちらも、大きな目標から細かく枝分かれする形でKPIを設定しているという点に違いはありません。
やはり、オーソドックスな設定方法として挙げられるように、KPIを設定する際はまずKGIとしての大きな目標を明確にする企業が多いようです。
KPIは社員のモチベーションにも影響
「KPIが理由で仕事へのモチベーションが上がったことがあるか」という質問に対して、肯定的な意見を挙げた回答者は50.1%と約半数となりました。モチベーションが上がる理由としては、「KPIの達成が評価に組み込まれていたから」「達成することが事業の成長の要因となるから」などの選択肢に票が集まっています。
反対に、「KPIが原因でモチベーションが下がったことがあるか」という質問に対しては、あると答えた人が61.3%と半数以上が肯定する結果となりました。その理由として、「達成するのが難しいKPIだったから」「数字ばかり追い求めることにやりがいを感じなかったから」などが挙げられています。
このように、KPIは社員のモチベーションに大きく影響し、プラスにもマイナスにも働くことが分かるでしょう。
顧客にとっての価値向上ができるのが理想的なKPI
では、どのようなKPIが理想なのでしょうか。「KPI設定においてもっとも重要だと思う要素は何か」という質問に対して、約半数が「顧客にとっての価値を向上させる目的で目標を決めること」と答えています。
また、「会社の都合よりも顧客の目線を意識した仕事がしたい」「顧客に満足してもらうことでやりがいを感じる」という意見が多く挙げられており、社員の大多数は顧客を第一に考えた仕事をしたいと考えているようです。
プレイドの主なKPI
ここからは、プレイドが実際に設定している主なKPIについて見ていきましょう。ここでは3つ紹介していくので、KPI設定にお悩みの方は参考にしてみてください。
MRR
引用:プレイド 財務ハイライト
プレイドの財務ハイライトで紹介されているのがARRなので、ここでは年間の数値を表すARRの図を貼っていますが、プレイドでは上場前から現状まで、MRRの数値が特に重要とされています。MRRとその内訳を毎月チェックして、事業がどのように伸びたかを把握していくのです。
上記の図はARRですが、常に数値が上昇しているのが分かります。毎月のMRRをチェックして原因の把握と分析をしっかり行うことが、数値の上昇につながっているのでしょう。
MRRについては、「SaaSの主要KPI【MRR】とは?概要や計算方法を分かりやすく解説」の記事で紹介しています。
チャーンレート
SaaS企業において、チャーンレート(解約率、顧客離脱率)は重要な指標です。プレイドではチャーンレートの数値を公表していませんが、2021年9月期第3四半期決算説明会で「今年度の比較的早い段階から解約率が安定しだした」という内容のお話をされていました。その状態が続いていれば、現在も安定していると考えられるでしょう。
また、2022年9月期第2四半期決算説明会では、解約やダウンセルに関する対応方針を打ち出しています。これらの対策次第では、解約率の減少も期待できるでしょう。
チャーンレートについては、「SaaSの主要KPI【チャーンレート】とは?種類や目安を解説」の記事からご覧いただけます。
ユニットエコノミクス
ユニットエコノミクスは一般的にLTV/CACで計算されますが、プレイドではLTV/CACの数値は公表していません。上記の図のように、一顧客の永続価値を一顧客の獲得費用で割った水準を、プレイドのユニットエコノミクスとしています。こちらの数値は、前半はマイナスの数値であるものの、後半はプラスを維持し続けており良好な水準を保っているといえるでしょう。
SaaS企業で一般的に使用されているユニットエコノミクスについては、「SaaSの主要KPIと【ユニットエコノミクス】とは?計算方法や目安を紹介」の記事で解説しております。
プレイドのKPI管理
ここからは、プレイドではKPIをどのように管理しているのかを詳しく見ていきましょう。
企業では成長フェーズに合わせて重視するKPIが変化していきます。大手企業になればその変化はあまり大きくありませんが、スタートアップ企業では、資産や従業員数、事業計画などに合わせて段階的に注目すべきKPIが変化していくのです。
しかし、先ほども解説した通り、プレイドでは上場前から現在まで、MRRの数値を重視しています。MRRとその内訳を毎月チェックして、どのように変化したのか、何が原因で変化したのかなどを把握していくのです。
それによって、収益想定に無理がないか、マーケティングにかける予算は適切かなどの、将来の成長に関する要項を詳しく判断できるようになっていきます。
開示するKPIの項目や判断方法
プレイドでは、開示されているKPIと開示していないKPIがあります。もちろん、自社で設定している全てのKPIを公開している企業は少ないですが、プレイドでは意図的に複数のKPIを公開していないのです。公開するかどうかの基準は、海外や国内の他社SaaS企業を参考にしているとされています。
公開しているKPIとしては、ARR/MRRやNRRなどが挙げられており、その他にも契約件数や単価、顧客件数、従業員数なども開示情報として公開されています。一方で公開されていないのが、先ほど主なKPIとして紹介したチャーンレートやLTV/CACです。成長ポテンシャルに向き合ってもらうために、こういった指標は公開しない判断をしたといわれています。
まとめ
プレイドはCX(顧客体験)プラットフォームのKARTEなどを提供している企業で、デジタルマーケティングの重要性が高まっている現代で、大きく注目を集めています。そんなプレイドでは、主にMRR、チャーンレート、ユニットエコノミクスなどが重要なKPIとして活用されているようです。
しかし、プレイドは成長ポテンシャルに向き合ってもらうために、チャーンレート、ユニットエコノミクスなどのKPIの推移を公開していません。
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監修者
広瀬好伸
株式会社Scale Cloud 代表取締役社長
プロフィール
京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて600社以上の事業に関わる。
公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。
株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKY社外役員。
成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。
講演実績
株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。
論文
特許
「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)
アクセラレーションプログラム
OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。