カオナビではどのようなKPIが設定されている?主なKPIを解説

2022.07.11
カオナビではどのようなKPIが設定されている?主なKPIを解説

企業でKPIを設定する際に、大手企業や近しいビジネスを行っている企業のKPIを参考にしたいと思う方は少なくないでしょう。そんな方のために、今回はカオナビのKPIについて紹介していきます。

カオナビの市場規模や業績推移、カオナビで公開されているKPIの推移なども合わせて解説していくので、ぜひご覧ください。

カオナビの会社概要

会社名株式会社カオナビ( kaonavi, inc.)
所在地本社〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-3-1東京虎ノ門グローバルスクエア 15F・16F
代表取締役代表取締役社長 Co-CEO 佐藤 寛之代表取締役 Co-CEO 柳橋 仁機
設立2008年5月27日
資本金10億6,627万円(2021年3月末時点)

カオナビの事業内容

カオナビでは、主に2つの事業を展開しています。一般的に知られているのはタレントマネジメントシステム「カオナビ」の運営かと思われますが、カオナビで行っている事業はそれだけではありません。ここでは、カオナビの事業内容を2つ解説していきます。

  • カオナビ
  • カオナビ ネクストファンド

順番に見ていきましょう。

カオナビ

タレントマネジメントシステムの「カオナビ」は、社員の個性や才能を見出し、戦略人事を加速させます。社員の顔、名前、社員番号、採用区分などの基本的な人事情報から、経験、才能、スキルなどの本人の能力や評価に関する情報まで一元管理して可視化することが可能です。

それぞれの社員の特徴をより詳しく把握できることから、最適な人材配置や抜擢をしやすくなるという効果が期待できます。あらゆる人材マネジメントに関する課題を解決できるシステムとして、多くの企業で導入されているシステムです。

また、アクセス管理機能で細かく権限の設定ができるため、「経営層だけ編集できるようにする」「人事部だけ見れるようにする」「社内全体にオープンにする」など、車内への情報の共有や秘匿性の高い情報の管理もしやすいです。管理者側から見ても、利用しやすいサービスとなっています。

カオナビ ネクストファンド

カオナビでは、最大限のパフォーマンスを発揮できる職場環境を創ることが日本の労働生産性の改善につながると考えており、そのためには新しいマネジメントが必要としています。それによって生まれたのが「カオナビ ネクストファンド」です。カオナビが培ったノウハウなどを提供し、スタートアップ事業の成長を支援しています。資金の支援やネットワークの共有なども行っており、さまざまな企業に投資を行った実績もある投資信託(ファンド)です。

カオナビのサービスの変化

カオナビでは、2012年の4月にタレントマネジメントシステムの「カオナビ」を提供してから現在まで、さまざまなサービスの提供や改善を行っています。ここでは、その流れについて見ていきましょう。

2012/04カオナビ事業開始「カオナビ Ver.1.0」リリース
2013/08「カオナビ Ver.2.0」リリース
2014/04「カオナビ」に人事評価ワークフロー追加
2017/04「カオナビ Ver.3.0」リリース
2017/09「カオナビ」と適性検査「SPI3」のサービス連携が開始
2018/04「カオナビ」スマートフォンアプリ提供開始
2019/06スタートアップ企業を支援する「カオナビ NEXT FUND」を開始
2019/10離職予兆を察知する「パルスサーベイ」をリリース
2020/03データを集計して、グラフの作成・分析・共有ができる「DASH BOARD」をリリース
2021/04申請業務を効率化する「ワークフロー」をリリース

このように、カオナビは常に進化を続けています。2017年頃から外部システムとの連携を進め始め、2019年以降はスタートアップの支援や協業などに特に注力し、自社のプラットフォームの特徴や強みを生かしたサービスを提供している傾向です。

カオナビのビジネスモデル

カオナビが提供しているタレントマネジメントシステムの「カオナビ」を元に、ビジネスモデルを見ていきましょう。

「カオナビ」は人材の教育や評価に大きく貢献するSaaSサービスです。SaaSサービスは、ソフトウェアなどを購入する必要がないことから、導入の手間が少なく費用も抑えられて、企業が簡単に利用できるとして近年人気のビジネスモデルです。

大手企業だけでなく、予算にあまり余裕のない中小企業でも導入しやすいのが特徴といえます。特に、「カオナビ」はほとんどの企業で必要になる、人材の教育や評価に役立つサービスなので、幅広い業界や業種で利用されやすいのです。

カオナビの市場規模

「カオナビ」は利用企業数が約2,500社とされており、タレントマネジメントシステムでのシェア率はNO.1です。どの企業でも重要になる「人材マネジメント」に関するシステムなので、メーカー、商社、金融、飲食、IT、不動産など、さまざまな分野の企業で導入されています。

また、社員数50人未満の中小企業から1万人以上の大企業まで、企業規模を問わず利用実績があります。業種や職種、企業規模に合わせてさまざまな機能を使い分けられる、シンプルな機能設計でパソコンが苦手な社員でも使いやすいなどのメリットから人気が高く、今現在もサービスが進化していることを考えると、今後も導入企業の増加が期待できるでしょう。

カオナビの業績推移

2018/32019/32020/32021/32022/3
売上高(百万円)9521,6902,6253,4024,496
経常利益(百万円)△244△73△278△11174
当期純利益(百万円)△250△92△280△16164

引用:カオナビ 財務ハイライト

カオナビは、経常利益・当期純利益ともに赤字の状態が続いていましたが、現在は黒字に持ち直しています。売上高は上昇が続いている状態で、コロナ禍でも安定した売上を保っているといえるでしょう。

今後の展開

これまでに解説した通り、カオナビではタレントマネジメントシステムの「カオナビ」を開発・提供しています。

雇用環境の改善やワークライフバランスの実現が求められ、人事制度の変革が必要とされている現代社会では、タレントマネジメントシステムが注目されており、今後の市場拡大が予想されています。そんな中で、タレントマネジメントシステムのシェア率NO.1を誇っているカオナビは、今後の業績にも期待できるでしょう。

また、近年ではHRテック市場の成長も期待されています。HRテックとは、人事や人材を表すHR(Human Resource)と、技術を表す(Technology)を組み合わせた造語です。人事が抱える課題を解決するためのサービスを指し、「カオナビ」も該当します。

HRテック市場は年々規模が大きくなっており、今後も雇用の流動化とともに、さらなる飛躍が予想されているのです。こういった背景から、カオナビは今後も大きく成長していくことが期待できます。

カオナビで公開されているKPIの推移

では、ここまで大きな成長を遂げているカオナビでは、どのようなKPIが設定されているのでしょうか。ここでは、カオナビで公開されているKPIの推移を3つ紹介していきます。どのようなKPIを設定してどのように推移しているのか、ぜひ参考にしてみてください。

  • 利用企業数とARPUの推移
  • 広告宣伝費費
  • フリーキャッシュフロー

順番に見ていきましょう。

利用企業数とARPUの推移

引用:カオナビ 2022年3月期 第4四半期 決算説明資料

上記の図を見て分かる通り、カオナビの利用企業社数・ARPU(ユーザー平均単価)の推移は上昇を続けています。カオナビは導入企業の従業員数によって費用が異なる料金体系となっているため、従業員数が多い企業に導入されるとARPUが増加する傾向です。

ARPUが増加した理由としては、従業員数が200〜900人規模の企業からの導入が多くなったことが考えられます。1,000人以上の規模の企業の導入数もだんだんと増えているため、水準が高くなっていけば、今後もARPUの増加が期待できるでしょう。

ARPUについて詳しく知りたい方は、「ARPU(ユーザー平均単価)って何?ビジネスモデルごとの計算方法を紹介」の記事で解説しております。

広告宣伝費費

引用:カオナビ 2022年3月期 第4四半期 決算説明資料

広告宣伝費は、上記の図の右側のグラフにある青い部分が示しています。この図を見ると、広告宣伝費は販管費の推移に合わせて変化していることが分かるでしょう。2022年3月4Qの販管費が大きく増加し、それに伴って広告宣伝費も増加しているため、現在のカオナビは新規顧客の獲得に力を入れているようです。このまま新規顧客を順調に増やせれば、今後の成長も期待できるでしょう。

フリーキャッシュフロー

引用:カオナビ 2022年3月期 第4四半期 決算説明資料

フリーキャッシュフローとは、事業で得た資金の中で自由に使うことができる金額を指します。カオナビでは、本社移転をした2020年などに一時的にフリーキャッシュフローが減少していますが、基本的にはプラスの状態です。特に、2022年3月3Q4Qで大幅に上昇しており、企業として安定してきていると判断できるでしょう。

フリーキャッシュフローについては、「FCF(フリーキャッシュフローとは|計算方法や事例を詳しく紹介」の記事で解説しています。

カオナビの主なKPI

ここからは、カオナビで重要視されている主なKPIについて紹介していきます。SaaSビジネスでは、これらの3つのKPIを設定する企業が多いため、参考にしてみてください。

  • MRR
  • チャーンレート
  • ユニットエコノミクス

それぞれ、KPIの推移とともに見ていきましょう。

MRR

引用:カオナビ 2022年3月期 第4四半期 決算説明資料

カオナビの「2022年3月期 第4四半期 決算説明資料」では、「新規獲得MRRの金額は過去最高」と表現されています。こちらの図で紹介されているのはARRですが、ARRは年間経常収益でMRRは月間経常収益を指すため、ARRを12で割ればMRRを算出することが可能です。

カオナビではARR(MRR)が常に上昇しており、その成長具合が伺えます。

ARRとMRRについては、下記の記事で紹介しております。

ARRとは|SaaS企業にとって重要な理由や計算方法を解説

SaaSの主要KPI【MRR】は?概要や計算方法を分かりやすく解説

チャーンレート

引用:カオナビ 2022年3月期 第4四半期 決算説明資料

チャーンレートは、「解約率」や「顧客離脱率」を指します。カオナビでは解約率を常に低い水準を維持していて、2022年はだんだんと減少している傾向です。チャーンレートの数値が高いと、新規顧客を取り入れても全体の顧客数は変わらないままとなってしまいます。

カオナビはチャーンレートを低い数値のまま保っているため、顧客数が上昇したまま成長を続けられているのです。

チャーンレートについては、「SaaSの主要KPI【チャーンレート】とは?種類や目安を解説」の記事をご参照ください。

ユニットエコノミクス

引用:カオナビ 2022年3月期 第4四半期 決算説明資料

ユニットエコノミクスは、SaaS業界で「顧客生涯価値」という意味で使用されるKPIです。1人、もしくは1社がサービスを契約してから終了するまでにどのくらいの収益をもたらしてくれたのかを表します。

ユニットエコノミクスは、1顧客から得られる収益(LTV)がCACの3倍より大きい状態が健全といえるので、図でも解説されている通り、カオナビではユニットエコノミクスの数値を健全な水準を維持しているといえるでしょう。

ユニットエコノミクスについては、「SaaSの主要KPIとユニットエコノミクス】とは?計算方法や目安を紹介」の記事で解説しています。

まとめ

カオナビはタレントマネジメントシステムの「カオナビ」を運営しており、今後も市場規模の拡大が見込まれます。そんなカオナビでは主に、MRR、チャーンレート、ユニットエコノミクスなどがKPIとして設定されており、どれも健全な状態を維持しています。この状態を今後も維持しながら改善を続けていけば、さらなる成長も期待できるでしょう。

監修者

広瀬好伸
株式会社Scale Cloud 代表取締役社長

プロフィール

京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて600社以上の事業に関わる。

公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。
株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKY社外役員。

成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。

講演実績

株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。

論文

『経営指標とKPI の融合による意思決定と行動の全体最適化』(人工知能学会 知識流通ネットワーク研究会)

特許

「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)

アクセラレーションプログラム

OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。

取材実績

日本経済新聞、日経産業新聞、フジサンケイビジネスアイ、週刊ダイヤモンド、Startup Times、KANSAI STARTUP NEWSなど。

著書

『飲食店経営成功バイブル 1店舗から多店舗展開 23の失敗事例から学ぶ「お金」の壁の乗り越え方』(合同フォレスト)

Twitter