経営計画とは|種類や作成する流れ、作成後の活用方法を解説
2022.12.15
「経営計画という言葉は聞いたことがあるけれど、どういうものなのか分からない」「経営計画は作ったほうが良いのか」「経営計画はどのように作るのが良いのか」など、経営計画について気になっている方も多いのではないでしょうか。企業を経営し、継続的に目標を達成し事業を継続していくためには、経営計画が欠かせません。
経営計画とは
経営計画とは、企業の経営ビジョンや理念、経営者が考える将来の会社経営、そしてそれらのビジョンや目標を元に、経営戦略や行動計画を具体的に決めたものです。企業の現状と理想の姿を比較し、そのギャップを埋めるために明確に定めたロードマップともいえるでしょう。
経営計画を作成する際には、目標を達成するために「いつ何をすべきか」「どう行動するべきか」を具体的に定めます。
事業計画との違い
経営計画の目的
また、具体的なロードマップを定めていれば、計画が順調に進んでいるのか、遅れが生じているのかも判断しやすくなります。
さらに、先述の通り、経営計画は具体的かつ明確に定める必要があります。具体的な経営計画を作成していれば、会社の理念やビジョン、目標、またそれを達成するための具体的な行動が現場で働くすべての従業員に伝わりやすくなるのです。このように、従業員の意思統一を図れるのも、経営計画を作成する目的の1つとなっています。
経営計画のメリット
経営計画は、会社の経営における具体的な道すじを示すものです。経営計画をしっかりと作成している会社とそうでない会社とでは、企業経営に大きな差が出ます。ここからは、経営計画を作成するメリットを、下記の3つの観点から詳しく解説します。
- 自社の課題が明確になる
- 社員全員で方向性を共有できる
- 信頼を得られる
それぞれのメリットを見ていきましょう。
自社の課題が明確になる
経営計画は、作成の時点でそのメリットが見えてきます。経営計画を作成する際には、まず自社の現状を把握する必要があるため、その段階で自社が抱えている課題を明らかにできるのです。
社員全員で方向性を共有できる
いくら素晴らしい経営ビジョンや目標を持っていても、それらが経営者の頭の中だけにあっては、社員に理解してもらうことはできません。それを経営計画という形で見える化すれば、会社としての方向性をすべての社員に共有できます。
信頼を得られる
経営計画を作成するメリットは、自社の中だけにとどまりません。経営計画を作成することで会社としての信用度が上がり、対外的な関係者からの協力も得やすくなるのです。
金融機関が融資を検討する際には、その会社の将来性もチェックしています。しっかりとした根拠を元にした経営計画があれば信頼性も高くなり、融資が受けやすくなったり、その額が大きくなったりする可能性があるでしょう。
また、新たな取引先の獲得にもつながります。具体的な経営計画を持つ会社であれば、他の企業からも「安心して取引できる」という信頼を得られて、協力を受けやすくなるのです。
経営計画を構成する要素
経営計画を作るメリットについて紹介しましたが、ここからは経営計画を作成する上で必要な情報をチェックしていきましょう。まずは、経営計画を構成する具体的な要素について解説します。
経営計画は、主に以下の4点から構成されます。
- 経営理念
- 経営戦略
経営目的を達成できるようにするための方針・計画です。自社が所属する市場や競合となる他社の中でどのように「勝っていくか」を考えます。
- 事業戦略
経営戦略を元に、事業ごとの戦略・方向性を決定していきます。
- 数値計画
売上や利益などを月別・クライアント別などに細分化した目標の数値を具体的に設定します。
企業によって経営計画に含まれる要素は異なりますが、上記4点はどのような業界の企業でも基本的に押さえておきたい項目です。
経営計画の種類
ここからは、経営計画の種類について紹介します。経営計画と一言でいっても、大きく分けて3つの種類があるので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
- 長期経営計画
- 中期経営計画
- 短期経営計画
3つの経営計画は、それぞれ目的や対象期間、内容、決め方などが異なるので、1つ1つ正しく理解しておきましょう。
社員全員で方向性を共有できる
どのような状況であっても変わらない会社としての未来像、ビジョン、理想的なポジションをイメージできるような計画を立てることが重要です。
短期経営計画
対象となる期間が1年間と短いため、短期経営計画は進捗状況のチェックに向いています。1つ1つの目標や、やるべき行動を達成できているのか随時確認できて、軌道修正がしやすいです。短期経営計画を、さらに半期・四半期・月次まで落とし込むこともあります。
経営計画を作成する流れ
経営計画の種類を把握したところで、経営計画を作成する流れを具体的に見ていきましょう。経営計画を作成するのは一見難しそうに思えるかもしれません。特に、今回初めて経営計画を考える方は、不安も大きいのではないでしょうか。
下記で紹介するステップを1つ1つ着実にこなして、より良い経営計画を作成しましょう。
- 事業の現状を把握
- 自社について分析
- 将来的な目標を設定
- 目標を達成する方法を検討
順番に解説していきます。
事業の現状を把握
自社について分析
対象となる市場の動向や将来性を把握し、今後も拡大が見込めるのかどうか、「機会」の予測を立てます。また、「脅威」となる競合となっている企業にはどのようなものがあるのか、何社ほどが競合となるのか、競合はどのような戦略を立てているのかなどを把握しましょう。
市場や競合を分析することで、自社の武器となる強みがより明確になります。
上記のように、強み(Strength)・弱み(Weakness)・機会(Opportunity)・脅威(Threat )の4つの観点から分析するフレームワークとして、「SWOT分析」というものがあります。ぜひ、自社分析の際に活用してみましょう。
将来的な目標を設定
長期経営計画では、企業目標や理念の設定を決定します。中期経営計画では、長期経営計画で定めた目標を達成するための具体的な行動や数値目標を設定しましょう。売上高や利益、従業員数など、具体的な数字で設定することがポイントです。目標達成の期限を設定するのも忘れないようにしてください。
目標を達成する方法を検討
経営計画作成後の活用方法
最後に、経営計画を作成した後の活用方法について解説します。経営計画は作成に時間と手間がかかるため、作ったことで満足してしまいやすいですが、「作って終わり」ではなく、そこからがスタートです。
作成した経営計画をきちんと実行するためにも、以下の2つのポイントをチェックしましょう。
- 定期的に進捗を確認する
- 実行をしながら見直しをする
それぞれ解説していきます。
定期的に進捗を確認する
なお、進捗状況をきちんと確認するためには、「いつチェックするのか」「誰が報告するのか」をあらかじめ決めておくことが重要です。事前に進捗状況チェックに関するルールや仕組みを作っておきましょう。
定期的に進捗を確認しておかないと、いつの間にか誰も経営計画のことを覚えていない、意識せずにダラダラと業務にあたっている、という状況を生み出しかねません。
実行をしながら見直しをする
経営状況は、自社内の要因だけでなく、自社を取り巻く環境の影響を受けて変化する場合があります。そのため、計画を実行しながら見直しをすることが重要です。
もし、計画で設定した目標の数値が達成できない時期が長く続く場合は、立てた仮説や目標が間違っている可能性もあります。
また、何かうまくいかないことがあるからといって、何度も経営計画を変更することは避けるようにしてください。計画の変更で従業員が目的や目標が分からなくなって、何を信じて行動すれば良いのか迷ってしまうためです。
まとめ
経営計画は、自社内だけでなく、対外的な関係においてもメリットがあるので、今回の記事で紹介した内容を参考に、より良い経営計画を作成してみてください。
関連記事
No posts found!
監修者
広瀬好伸
株式会社Scale Cloud 代表取締役社長
プロフィール
京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて600社以上の事業に関わる。
公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。
株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKY社外役員。
成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。
講演実績
株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。
論文
特許
「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)
アクセラレーションプログラム
OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。