ロジザードの主なKPIや市場規模・業績推移をまとめて解説

2022.09.11
ロジザードの主なKPIや市場規模・業績推移をまとめて解説

近年注目されているSaaS事業では、企業の事業状況を正しく把握するためにKPIを設定するのが一般的とされています。しかし、KPIは企業の規模や業種、サービスの内容によって使用される指標が異なるため、どのような指標を設定するのが良いのか悩んでしまいますよね。そこで今回は、ロジザードが公開しているKPIについて詳しく紹介します。

ロジザードの事業内容や業績推移、重要視されているKPIなどについて説明していくので、ぜひご覧ください。

ロジザードの会社概要

会社名ロジザード株式会社
所在地本社〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町3丁目3番6号
代表取締役社長金澤 茂則
設立2001年7月16日
資本金300,104,800円(2021年6月30日現在)

ロジザードの事業内容

ロジザードは小売業を始めとした、さまざまな企業の在庫管理を効率化するクラウド型の管理システムを展開しており、人手不足が深刻化する昨今における、在庫管理に費やす工数やコスト、人材の削減に寄与しています。また、長年にわたる物流業界での実績を元に、現場でのコンサルティングや企業と物流倉庫の橋渡し役を担うサービスなども展開しています。

それでは、ロジザードの主要なサービス内容について詳しく見てみましょう。

クラウド在庫管理システム

ロジザードが提供するクラウド型の在庫管理システムは、主に下記の3つのサービスです。これらの活用によって、商品の製造から消費者に届くまでのプロセスで発生する在庫・物流管理をカバーします。

ロジザードZERO

ロジザードZEROは倉庫での商品の入出荷や在庫管理業務を効率化し、手間やコストの削減をサポートする、倉庫の在庫管理システムです。過去20年間の物流への知見やノウハウを活かして設計されており、倉庫での在庫管理に必要な機能が網羅されています。

商材の種類によって管理する情報が異なりますが、賞味期限などの有効期限管理を始め、単品・セット管理、品質区分管理、ロット・シリアル管理、先入先出管理など正確な在庫状況を把握可能です。

他のシステムとの連携にも強く、受注管理システムや基幹システム、また倉庫内のロボットとの連携もできます。

2022年3月時点で1,500箇所の現場で導入されており、日本国内だけでなく中国や東南アジア地域での活用もできるなど、海外の日系企業の物流をサポートしているシステムです。英語や中国語などの多言語に対応しています。

ロジザードZERO-STORE

本サービスは「STORE」という名前から分かるように、POSレジ機能がついた「店舗用」の在庫管理システムです。小売店などの店舗での活用を目的としてデザインされています。どこに何があるのかを瞬時に把握できるのは、店舗にとっても消費者にとっても有益です。店頭在庫が少ない場合にも補充がスムーズになり、在庫切れによる機会損失を防げるでしょう。

ECと実店舗の両方で販売を行っていたとしても、スマホなどの端末から在庫の有無や場所をリアルタイムで表示できます。そのため、消費者からの問い合わせ対応にかかる時間を大幅に削減可能です。

また、取引データから売上を自動で分析して結果をダッシュボードに表示することで、状況を瞬時に捉えることができます。在庫数や販売数を細かく管理すれば、売上を伸ばすことにつながるでしょう。

ロジザードOCE

倉庫と店舗の在庫を可視化することができた企業に対して、オムニチャネルによる在庫連携の自動化をサポートするものです。注文が生じた際に複数存在する在庫をどこから出荷したら最適なのか、引き当てアルゴリズムにより効率的で迅速な配送を可能にします。

これらのクラウドサービスを最短1か月という短納期で設置して早期に運用を開始、そしてサポートを充実させることでいち早く成果を出せるようにする体制が整っています。

物流業務支援サービス

物流業界での豊富な実績を持つロジザードは、顧客と物流倉庫をつなぐマッチングサービス「ロジザード・マッチン」を展開しています。すでに通販事業者400社以上への紹介実績を持ち、全国にある300拠点の中から顧客に最適な物流倉庫を紹介している事業です。

また、物流現場での業務改善や効率化の見直しを行う物流コンサルティング業務も行っており、倉庫内や店舗などでの物流に関する課題解決をサポートしています。

ロジザードの市場規模

ロジザードの2021年6月期の実績では売上高は約17億円となっています。そのうちの75%(12.7億円)はクラウドサービスの売上によるものです。クラウドサービスには上述のサービスに加えて、システム利用に必要な機器のレンタルやサポートも含まれます。それらに次ぐのが、17.3%のカスタマイズやクラウドサービスの導入サービスによる売上、残り7.4%のアクセサリ機器などの販売サービスによる売上です。

これらから分かるように、ほとんどが月額利用料を徴収するサブスクリプションモデルサービスからの収益となります。

実際に、ロジザードの主力サービスであるロジザードZEROは、2022年3月時点で1,452現場で稼働するほどの人気です。アパレル、化粧品、ホビーなど、さまざまな分野で活用されており、今後もその幅は広がっていくのではないでしょうか。

近年、ECの発展による物流の活発化傾向が見られますが、世界のEC化率を見るとまだ低い状態です。そのため、日本のEC化は今後も引き続き伸びて、市場が拡大することが予想されます。

ロジザードのクラウドサービスのメインターゲットは以下の中規模セグメントであり、倉庫や3PL企業です。ECの物流需要への対応を支援するサービスニーズに積極的に応えていくとしています。

ロジザードの業績推移

2018年3月期2019年3月期2020年3月期2021年3月期2022年3月期
売上高(百万円)1,3471,4541,5361,6851,787
経常利益(百万円)140233249329352
当期純利益(百万円)96159170223237

引用:ロジザード 主要な経営指標の推移

上記の図を見ても分かる通り、ロジザードの売上高は年々増加しています。ロジザードは、売上の中でも特に、主力のクラウドサービスとその導入支援の額が主に増加している傾向です。また、経常利益や当期純利益なども順調な推移を見せています。

コロナウイルスによる事業への影響

引用:2022年6月期第3四半期 決算説明会資料

コロナ禍の各種行動制限によって、あらゆる業界で売上が大きく落ち込みました。しかし、その後は回復傾向が見られ、消費者の外出機会の増加など、withコロナの新しい社会へと移行しています。

そんな中、ロジザードはコロナ禍においても適切な対応を心がけており、マイナスな影響を最小限に抑えて、最大限の利益を得る施策を検討・実行しているようです。

今後の展開

コロナウイルスの流行はありますが、今後も消費者の外出意欲・外出機会は増加すると予想できるでしょう。一方で、環境問題への関心やロシア・ウクライナ情勢の悪化により資源の高騰などが生じ、日本においても物流コストを押し上げています。

また、物流業界における慢性的な人手不足は、経済の活発化とともにさらに深刻になっており、本業界における業務の効率化は喫緊の課題として認識している企業は少なくありません。

このような社会背景の中、ロジザードが提供する各種サービスへの需要は一層高まると予想されます。店舗やECでの業務効率化に貢献することが期待でき、実際に準大手や大手企業の引き合いが多い状況です。

こういった背景の中、ロジザードは今後も広告宣伝を積極的に行い、さらなる引き合いの拡大に備えて採用投資を積極的に行う計画としています。

ロジザードの売上原価・販売管理費の詳細

次に、ロジザードが公表している売上原価や販売管理費の内訳について確認してみましょう。

売上原価の増減

引用:2022年6月期第3四半期 決算説明会資料

売上原価は前年同期比で増加しており、その主な要因としては、上記の図でも分かるように、労務費の増加が挙げられます。この労務費増加は単純に人員を増強したためで、今期の計画では合計25名を採用予定、2022年4月には3名を新たに採用しています。

販売管理費の増減

引用:2022年6月期第3四半期 決算説明会資料

販売管理費も前年同期比で約4,000万円増加しています。主な理由は、新製品開発に伴う開発費の増加や採用の増加に伴う支払手数料などです。

ロジザードの主なKPI

それでは次に、SaaS事業を行うロジザードの主要なKPIを見ていきましょう。ロジザードでは、SaaS事業においてよく注目される、下記3つのKPIを注視しています。

  • MRR
  • チャーンレート
  • ユニットエコノミクス

それぞれの特徴について詳しく見てみましょう。

MRR(Monthly Recurring Revenue:月間経常収益)

サブスクリプション型のビジネスモデルでは、月間経常収益を表すMRRは重要な役割です。ロジザードはMRRの数値を公表していません。しかし、下記のようにクラウドサービスの月額利用料収入が順調に右肩上がりに伸びていることから、MRR・ARRは良好な数字をしていると考えられるでしょう。

引用:2022年6月期第3四半期 決算説明会資料

また、アカウント数も下図のように順調に伸びており、MRR・ARRの増加につながっているといえるでしょう。コロナ禍であっても過去数年に渡って伸長しています。

引用:2022年6月期第3四半期 決算説明会資料

MRRについては、「SaaSの主要KPI【MRR】とは?概要や計算方法を分かりやすく解説」の記事をご参照ください。

チャーンレート

チャーンレート(Churn Rate)は既存顧客の離脱状況を示すための指標で、解約率などもこれに含まれます。

ロジザードは解約率などの情報を公開していませんが、上述のように契約アカウント数と月額利用料の総計が順調に伸びていることから解約率はそれほど大きくないと推測できるでしょう。解約率が大きい場合には、アカウント数や月額利用料の伸びが鈍化するため、ある程度低い水準を維持していると考えられます。

チャーンレートについては、「SaaSの主要KPI【チャーンレート】とは?種類や目安を解説」の記事からご覧いただけます。

ユニットエコノミクス

ユニットエコノミクスは「一顧客当たりの経済性・採算性」を示す重要な指標です。そして、この指標を求めるために必要となるのがLTV(Life Time Value : 顧客生涯価値)とCAC(Customer Acquisition Cost : 顧客獲得コスト)です。これらの計算式は以下の通りです。

  • LTV = 平均利用額 × 平均利用年数 × 粗利益率
  • CAC = 顧客獲得コスト / 新規獲得顧客数
  • ユニットエコノミクス = LTV / CAC

ロジザードはユニットエコノミクスの数値を公表していません。しかし、解約率が低いと想定すると、LTVに関しては平均利用年数は年々大きくなっていることが推測できます。粗利益率も改善してきていることから、LTVは大きくなっていると予想できるでしょう。

引用:2022年6月期第3四半期 決算説明会資料

一方、CACは「顧客獲得コスト」が不明で正確な値は分かりませんが、ロジザードの新規獲得顧客数の増加傾向を鑑みると、CACは小さくなっていると推測できます。その結果、ユニットエコノミクスの値は大きくなっていると考えられます。

ユニットエコノミクスについては、「SaaSの主要KPIと【ユニットエコノミクス】とは?計算方法や目安を紹介」の記事で解説しています。

まとめ

コロナによる影響が小さくなり、消費者の外出が多くなったことで、店舗での購買行動が増えてきています。一方で、ECでの取引も活発になり、倉庫と店舗の在庫管理の効率化が求められるようになってきました。こういった現代の情勢では、ロジザードの在庫管理システムや物流サポートサービスは今まさに社会から求められており、今後契約件数や収益の拡大が期待されます。ロジザードの主要KPIを見ると良好なビジネス状況が継続していると判断でき、優秀な成長企業としてますます発展すると考えられるでしょう。

監修者

広瀬好伸
株式会社ビーワンカレッジ 代表取締役社長

プロフィール

京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて600社以上の事業に関わる。

公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。
株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKY社外役員。

成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。

講演実績

株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。

論文

『経営指標とKPI の融合による意思決定と行動の全体最適化』(人工知能学会 知識流通ネットワーク研究会)

特許

「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)

アクセラレーションプログラム

OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。

取材実績

日本経済新聞、日経産業新聞、フジサンケイビジネスアイ、週刊ダイヤモンド、Startup Times、KANSAI STARTUP NEWSなど。

著書

『飲食店経営成功バイブル 1店舗から多店舗展開 23の失敗事例から学ぶ「お金」の壁の乗り越え方』(合同フォレスト)

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