AI Insideの主要なKPIは?ビジネスモデルから見るポイント

2022.07.09
AI Insideの主要なKPIは?ビジネスモデルから見るポイント

AI Insideは、さまざまなAIプラットフォームを提供する企業です。2015年設立と比較的若い企業ですが、2019年12月には東証マザーズへ上場するという急成長を遂げています。そんなAI Insideでは、どのようなKPIを設定しているのでしょうか。

この記事では、AI Insideの事業内容やビジネスモデルを解説するとともに、AI Insideの主なKPIなどを解説していきます。SaaSビジネスをこれから始めたい、AI Insideがどのように成長したのかが気になるという方は、ぜひ参考にしてみてください。

AI Insideの会社概要

会社名AI inside 株式会社 (AI inside Inc.)
所在地〒150-0002 東京都渋谷区渋谷3-8-12 渋谷第一生命ビルディング4階
代表取締役代表取締役社長CEO兼CPO 渡久地択
設立2015年8月3日
資本金12億2千万円

AI Insideの事業内容

冒頭で紹介した通り、AI InsideではさまざまなAIプラットフォームを開発しています。ここでは、AI Insideがどのようなサービスを提供しているのか、AI Insideの事業内容を詳しく見ていきましょう。

  • DX Suite
  • Learning Center Vision
  • Learning Center Forecast
  • AI inside Cube

それぞれのサービスについて解説していきます。

DX Suite

誰でも簡単にあらゆる書類をすぐにデータ化できるサービスです。高精度で手入力の必要がなく、まとめてアップロードした書類は、AIが種類ごとに自動的に仕分けてくれます。導入で失敗しないために、伴走支援付きの1ヶ月間有償トライアルも用意されています。トライアルとして使用できるだけでなく、AI-OCR活用に向けた課題解決方法のアドバイスを行っているなど、導入後に失敗しないためのサービスが充実しているようです。また、トライアル期間中もDX Suiteの全ての機能が利用可能で、使い始めた日からすぐにサービスを活用できます。

Learning Center Vision

Learning Center Visionは、ノーコードAI開発・運用プラットフォームです。業務にも使える高精度なAIでありながら、誰でも簡単にAIを作れるサービスとして注目されています。データ準備・学習・評価・推論の4ステップで簡単に精度の高いAIモデルを作成することが可能です。金融、小売、インフラ、製造、不動産、医療など、使い方によってさまざまな業種の課題解決に役立ちます。

また、シンプルで親しみやすいコストで利用できるのもメリットです。初期費用はかからず、有償機能を使った分を秒単位で請求する料金体系となっています。無駄がなく、低コストでの開発・運用が可能です。

Learning Center Forecast

Learning Center Forecastは、AIで予測や判断を行えるビジネスAIツールです。AIの専門知識がなくても、ブラウザのクリック操作だけで簡単に需要予測・販売予測などのさまざまなAIモデルを構築できます。過去のデータを取り入れることでアルゴリズムが自動で予測し、予測データを導き出してくれるため、難しい作業はありません。

社内にデータサイエンティストがいないが新たに雇う余裕もない、データ予測にかける時間や手間を減らしたいという方におすすめのサービスです。

AI inside Cube

AI inside Cubeは、あらゆるAIの運用を実現するために作られたエッジコンピュータです。GPU、ハードウェア、AI管理OS、ソフトウェアの全てにおいてAI insideが最善を尽くしています。

AIの学習や実証実験などが必要なく、届いたその日から使い始めることが可能です。ユーザーが自身の情報をコントロールできるように設計されているため、AI insideにデータを提供する必要がありません。AIテクノロジーアップデートは制限なく受けられるので、安心して利用できます。

AI inside Cubeには、シリーズ最高スペックのAI inside Cube Pro、高いAI処理能力を実現しているAI inside Cube、両手に収まるサイズで場所を選ばず使用できるAI inside Cube miniの3種類があります。それぞれ、サイズ、重量、ストレージ、処理性能などが異なっているため、購入したい方は利用方法に合わせて選ぶと良いでしょう。AI inside Cube Proの処理性能はホームページに記載されていないので、資料請求が必要になります。

AI Insideのビジネスモデルから見るKPI

AI Insideは、先ほど解説した「DX Suite」が主力のサービスです。DX Suiteが多くの企業で利用されるようになった背景として、低価格版プロダクトの投入が挙げられます。以前までは、DX Suite Standardは「初期費用20万円 + 月額10万円〜」というプランでしたが、Lite版として初期費用0円 + 月額利用3万円~というプランもリリースしたのです。安い料金で提供しているにも関わらず、圧倒的な契約社数を得たことで高い利益を実現しました。

また、DX Suiteはクラウド版、オンプレミス版、地方自治体向け(庁内LAN環境向け)という3つの提供方法があり、利用環境や利用方法によって使い分けができます。会社ごとに適した提供方法や料金体系を設定することで、さまざまな企業に利用されるようになったのです。

AI Insideは一般的なSaaSの反対の体制で成長

一般的なSaaS企業では、セールスフォース・ドットコムで活用されている「The Model」などの営業プロセスを元にマーケティングやセールスを行っているところが多いです。しかし、AI InsideはそんなThe Modelとは大きく異なる方針で事業を進めていきました。

The Modelは、営業プロセスを切り分けて、各段階を担当する部門同士で連携することで顧客満足の向上を目指すのが特徴です。また、頻繁に機能の拡充や改善を行うSaaSビジネスでは、社内でプロダクトのフィードバックサイクルを回していく企業が多い傾向にあります。

一方でAI Insideは、以前までは自社でプロダクトを展開していましたが、2019年頃から代理店、OEM販売、製品連携パートナーの拡充などの外部販売を重視し始めたのです。これによって、顧客を獲得するまでのルートが拡大し、AI Insideは急激な成長を果たしました。

AI Insideの市場規模

AI Insideの主要サービスであるDX Suiteは、AI-OCR市場のシェアNo.1を誇っています。OCRベンダーのソフトウェアライセンス売上のうちクラウド売上のシェアNo.1で、AI-OCR市場の約64%を占めているといわれています。銀行、携帯会社、保険会社などの、さまざまな事業で活用可能なので、今後も市場規模は拡大していくのではないでしょうか。

AI Insideの業績推移

2018年3月2019年3月2020年3月2021年3月2022年3月
売上高(百万円)2794451,5914,5973,310
経常利益(百万円)-311-1824092,339563
当期純利益(百万円)-340-1834191,660411

引用:AI Inside 経営成績

ここでは、AI Insideの4Qの推移を表にまとめました。AI Insideでは、2020年から2021年にかけて大幅に売上を伸ばしています。2021年3月期にはNTT西日本「おまかせAI-OCR」の売上が大きく上乗せされたが、2022年3月期では数値が下がっています。経常利益と当期純利益もともに2021年に大幅に上昇したものの、2022年では落ち着いた数値です。2022年で数値は減少しているものの、2020年以降は常に黒字化しているため、必要以上に心配することはないでしょう。

今後の展開

AI Insideでは、2022年6月29日にカンファレンスが行われており、そこで新サービスが発表されました。カンファレンスでは、「AI内製化」と「AI人材育成」を支援する新サービスを発表し、具体的には下記のようなサービスを紹介しています。

  • Developer’s API

シェアNo.1のAI-OCRエンジンをAPIで提供するDeveloper’s APIでは、AI insideのコアテクノロジーを活用したAIサービスの構築などが可能となっています。提供するAPIは順次拡充されていくようです。

  • AI Growth Program

AIビジネス経験のある講師から、直接AI活用やAI事業立ち上げを学べる実践型のAI人材育成プログラムが「AI Growth Program」です。新規・既存事業の価値向上に向けたサポートを行ってくれます。

このように、新サービスの発表で盛り上がっているAI Insideでは、今後もさらなる成長が期待できるでしょう。

AI Insideの主なKPI

ここからは、そんな盛り上がりを見せているAI Insideが設定している主なKPIについて解説していきます。3つ紹介していくので、それぞれ詳しく見ていきましょう。

MRR

MRR(Monthly Recurring Revenue)は、日本語では「月次経常収益」という意味で、簡単に説明すると毎月決まって発生する売上のことです。このMRRは、「月額利用料金 × 顧客数」という式で計算できます。

AI InsideではMRRの数値が公開されていません。しかし、AI Insideは利用料金を大幅に値下げしたものの、それによって圧倒的な契約社数を伸ばしているという点を考慮すると、MRRも高い数値を維持していると考えられるでしょう。

MRRについて詳しく知りたい方は、「SaaSの主要KPI【MRR】とは?概要や計算方法を分かりやすく解説」の記事をご参照ください。

チャーンレート

引用:AI Inside 20223月期 決算説明資料

AI Insideのチャーンレート(解約率・顧客離脱率)の推移は上記の図の通りです。NTT西日本「おまかせAI-OCR」の解約率が大きく増加していますが、それ以外のサービスでの解約率は常に1%以下という低水準を推移しています。DX SuiteやLearning Center Visionなどの主力サービスのチャーンレートの数値はあまり心配する必要はないでしょう。

チャーンレートについては、「SaaSの主要KPI【チャーンレート】とは?種類や目安を解説」の記事で紹介しています。

ユニットエコノミクス

1顧客(1製品)当たりの経済性や採算性を表すユニットエコノミクスは、一般的にLTV(顧客生涯価値)/CAC(顧客獲得単価)で計算されます。AI Insideではユニットエコノミクスだけでなく、LTVやCACの数値も公開されていません。しかし、解約率が低いことから、顧客生涯価値が高いのではと予想できます。

また、有価証券報告書では、大企業での導入実績割合が高く、売上高1,000億円以上の企業や100億円〜999億円の企業で多く導入されていると記載されていました。効率的に単価の高い大企業を取り入れているという点を考えると、CACの数値にも期待できるでしょう。これらの情報から、AI Insideではユニットエコノミクスも健康的な数値を維持していると予想できます

ユニットエコノミクスについては、「SaaSの主要KPIと【ユニットエコノミクス】は?計算方法や目安を紹介」の記事をご覧ください。

まとめ

AI InsideではさまざまなAIプラットフォームを開発しており、主なサービスとしてはDX SuiteやLearning Center Visionなどが挙げられます。それらのサービスによって、2015年に設立された企業でありながらも、2019年12月には東証マザーズへ上場するという急成長を遂げているのです。

そんなAI Insideでは主にMRR、チャーンレート、ユニットエコノミクスなどが重要なKPIとして活用されています。

監修者

広瀬好伸
株式会社ビーワンカレッジ 代表取締役社長

プロフィール

京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて600社以上の事業に関わる。

公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。
株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKY社外役員。

成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。

講演実績

株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。

論文

『経営指標とKPI の融合による意思決定と行動の全体最適化』(人工知能学会 知識流通ネットワーク研究会)

特許

「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)

アクセラレーションプログラム

OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。

取材実績

日本経済新聞、日経産業新聞、フジサンケイビジネスアイ、週刊ダイヤモンド、Startup Times、KANSAI STARTUP NEWSなど。

著書

『飲食店経営成功バイブル 1店舗から多店舗展開 23の失敗事例から学ぶ「お金」の壁の乗り越え方』(合同フォレスト)

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