予算管理システムでできることは?デメリットやおすすめのツールを紹介

予算管理システムは、予算の編成、進捗管理などの業務を効率化できるシステムです。
予算管理は企業の健全性や成長性、競争力を維持し、継続的に運営していくうえで欠かせませんが、多くの工数を要するため業務負担が大きくなるという課題もあります。
これらの課題を解決するのが予算管理システムで、予算編成にかかる作業を効率化し、システムによっては目標に対する適切なKPIを設定できるようになります。
この記事では、予算管理システムでできることや導入するデメリット、おすすめのツールなどを詳しく紹介します。
予算管理システム・ツールの概要

予算管理は経営管理の一つです。ここでは、予算管理を効率化するためのシステム・ツールについて解説します。
予算管理とは
予算管理とは、企業が作成した数値目標を達成するための計画と実績の比較、分析を通じて、経営の健全性や効率性を確保する管理手法のことです。
企業の利益目標を達成することが主な目的であり、予算の計画と実績が大きくかけ離れている場合は原因の究明や対策を行います。
企業の予算には、大きく分けて以下の4つがあります。
- 売上予算:企業の売上目標となる数値
- 原価予算:材料費など製品・サービスを生み出すための原価を見積もった予算
- 経費予算:企業活動の維持・発展に必要な経費を見積もった予算
- 利益予算:企業の利益目標を表わす数値
この4つから構成させる予算の概念を理解しつつ、管理会計における重要項目として予算管理に取り込まなければなりません。
予算管理システム・ツールとは
予算管理システム・ツールとは、予算管理業務を効率よく行うためのシステムです。
具体的には、予算の編成、進捗管理、データ分析、レポート作成、業績予想などが効率的に行えます。従来はExcelやGoogleスプレッドシートなどを使うのが一般的でしたが、データの集計や分析に工数がかかったり、作業が属人化したりするなど、さまざまな課題がありました。
予算管理システム・ツールを利用すると、これらの課題の多くを解決できます。
予算管理システム・ツールでできること

予算管理システム・ツールには、さまざまなメリットがあります。ここでは、具体的にどんなことができるかを解説します。
予算策定
予算管理システム・ツールでは、予算策定が可能です。
予算策定は1年間の予算を決めることで、利益目標をもとに売上予算や経費予算の策定を行います。
予算策定で目標利益を達成するための売上目標や経費の上限を設定することで、ムダな支出を減らせる効果が期待できるでしょう。
予算管理システム・ツールはデータベースで一元管理ができるため、データの自動集計が可能です。
使い続けることで過去の実績がデータとして蓄積されるため、次回の予算を策定するときに過去のデータを参照して時間短縮につながります。
また、予算状況をリアルタイムで把握できるため、数値に矛盾があった場合でも再編成がスムーズに行えます。
PL /BS /CFの予実管理
予算管理システム・ツールでは、PL/BS/CFの予実管理が可能です。PL/BS/CFには、以下のような意味や役割があります。
- PL(損益計算書):利益と損失
- BS(貸借対照表):企業の財政状態
- CF(キャッシュフロー計算書):実際に動いた資金
予算管理システム・ツールの導入によって、これらの財務三票を一元管理できます。財務三票を一元管理することで企業が保有する経営資源を効率よく使って事業ができているかや、会社が順調に成長しているかなどの判断がしやすくなります。また、計画と実績との分析もしやすくなるため、効率のよい予実管理が可能です。
予算シミュレーション
予算シミュレーションとは、業績の試算や予測などができる機能のことです。
予算管理システム・ツールには予算シミュレーションの機能が搭載されているため、策定した予算計画が適切かどうかを判断できます。そ
他にも、例えば第2四半期時点での実績値をもとに年間ベースの売上や利益を試算した場合に、「このままのペースで目標達成できるか」「前年度に比べてどうか」などの使い方も可能です。
予算管理システム・ツールを使い続けて数値やノウハウが蓄積されていくと、より多くのパターンでシミュレーションできるようになります。
また、社内会議向けの業績予測資料の作成にも役立つでしょう。
ExcelやGoogleスプレッドシートでもシミュレーションは可能ですが、複数のシミュレーションを行う場合は複雑な作業が必要となります。
しかし、予算管理システム・ツールであれば、複雑な作業も自動で行ってくれるため手間がかかりません。
ヒューマンエラーの回避
予算管理システム・ツールを導入することで、ヒューマンエラーを回避できます。
ExcelやGoogleスプレッドシートを使って予算管理を行う場合は、基本的に手作業でデータ入力を行うため、数値の誤りや計算ミスが生じやすくなります。
入力時に関数を崩してしまったり、フォーマットが変わった際などに関数の変更漏れが生じたり、といったことも発生しがちです。
数値に関しては貼り付け機能で入力ミスを減らすことも可能ですが、集計用ファイルに入っている関数の指定を間違うことや、参照ミスが発生するようなこともあるでしょう。
しかし、予算管理システム・ツールは必要なデータを自動で取り込むことや、自動的にデータの集計や統合ができるため、ヒューマンエラーの防止につながります。
予算における数値のミスは広範囲に影響を及ぼし修正にも時間がかかるため、正確かつ確実に予算管理をするためには、予算管理システム・ツールが欠かせません。
属人化の解消
予算管理システム・ツールは専門知識がなくても利用できるため、属人化が解消できるメリットがあります。
属人化とは、特定の業務において詳細な内容や進め方、注意点などを担当者しか把握できていない状況のことです。
例えば、「予算管理のデータは担当の〇〇さんしか知らない」という状況のことで、データが必要になったときは担当者に連絡を取って対応してもらう必要があるため、手間がかかります。
他にも、「どこに何のデータがあるのか」「どれが最新なのか」「どのような手順で予実管理をしているか」「関数の意味が何か」など、特定の人しか把握できていない状況も属人化です。
予算管理システム・ツールで情報共有することによって、誰でもいつでも必要なデータを参照できるため、属人化の解消が期待できます。
予算管理システム・ツールのデメリット

予算システム・ツールの導入には多くのメリットがありますが、選び方によってはデメリットもあります。ここでは、予算システム・ツールのデメリットを紹介します。
事業数値の管理がしにくい
予算管理システム・ツールは、予実管理としては仕組み化しやすいものの事業数値は管理しにくいデメリットがあります。
事業数値とは売上につながる具体的なアクションやそれに関する数値のことで、例えば「資料請求数」「Webサイトへのアクセス数」「CVR」などが挙げられます。
売上目標を達成するためには事業数値が欠かせませんが、予算管理システム・ツールではカバーできないため、別で管理を行う必要があります。
導入コストが高い
予算管理システム・ツールを導入するとコストがかかります。
業者によって提供価格に違いはあるものの、導入時だけでなく毎月一定のランニングコストがかかるのが一般的です。オプションを追加すると、さらにかかる費用は多くかかります。
近年主流になっているクラウド型のシステムであれば費用も抑えられますが、機能やユーザー数によってかかるコストが変わります。
企業規模や予算管理に関わる人件費などを勘案し、費用対効果をシミュレーションして導入を検討しましょう。
柔軟性が下がる
予算管理システム・ツールは、ExcelやGoogleスプレッドシートに比べると柔軟性が下がるデメリットがあります。
Excelは関数やマクロの設定などのノウハウがあれば、自由度の高いシートの作成が可能であり、自社の予算や運営体制に合わせた予実管理レポートの作成も可能です。
一方、予算管理システム・ツールは既存の機能を活用するため、自由に設計できるExcelなどに比べると自由度は低いといえます。
しかし、柔軟性が高いことが必ずしもメリットとはいえない部分もあります。
例えば、Excelで複数のファイルやシートを作成することでデータの不整合が発生したり、作成者以外はわからないブラックボックスになりやすいことはデメリットといえるでしょう。
予算管理はKPIと一元化できるシステム・ツールがおすすめ

予算管理システム・ツールのデメリットは、事業数値を管理しにくいことです。しかし、中にはKPIと一元化して事業数値を管理できるものもあります。
ここでは、KPIやKPIと予算管理を一元化するメリットを紹介します。
KPIとは
KPIは、「Key Performance Indicator」の頭文字を取った言葉で、企業における最終目標(KGI)に到達するまでの各プロセスの達成度や評価を示す指標です。
KPIには、企業の最終目標を達成するまでの間に存在する各プロセスの進捗度を明確にする目的があり、遅れや問題が発生したときには速やかに改善を講じることができます。
予算管理では、予算目標を達成するための具体的なアクションに対するKPIの設定が必要です。
売上予算に対してKPIを設定するとして、例えば、売上につながる予約件数や会員客数などがKPIになります。また、経費予算に対してKPIを設定する場合は売上予算のKPIに連動するようなKPI、例えば、1予約当たりの獲得コストと広告費などのKPIを設定していくといいでしょう。
従来の予算管理システム・ツールは財務データの予算管理はできても、非財務データのKPIの設定や管理などはできません。
KPIと予算管理を一元化するメリット
予算管理システム・ツールの中には、KPIと予算管理を一元化できるタイプもあります。
一元化のメリットは予算とKPI、またはKPI同士の関係を可視化し、事業全体の状況を理解しやすいことです。
また、予算をもとに組織全体のKPI目標を設定し、部門ごとのKPI目標を紐づけることもできます。
予算管理の情報やノウハウに加えて、KPIのデータも積み上げていくことができるため、より精度の高いシミュレーションを行うことが可能です。
KPIの管理にはマネジメントシステムが便利ですが、予算管理システム・ツールと別になっていると、データの紐づけや管理に手間がかかります。
しかし、KPI管理と予算管理が一元化されていれば複数のシステムを導入する必要はありません。
さらにその2つが一元化できれば、「事業数値(=KPI)の管理がしにくい」という予算管理システム・ツールのデメリットも解消されるでしょう。
予算管理システム・ツールの導入を検討している場合は、KPIと一元化できるタイプのものをおすすめします。
KPIと予算管理を一元化するならScale Cloud(スケールクラウド)がおすすめ

KPIと予算管理を一元化するなら、Scale Cloud(スケールクラウド)がおすすめです。ここでは、その理由を解説します。
多角的な分析ができる
Scale Cloudは予算管理とKPI管理ができるシステムで、KPIごとに計画を立てることによってPLやCFなどの事業計画や予算を自動的に作ることができます。
また、事業/部門/カテゴリ/サービス/担当者/拠点などのファンクション(機能)を柔軟に設計でき、ファンクションごとにデータの管理を行うことも可能です。
ファンクション内の分析やファンクションをまたぐ横断的な分析、比較などもできます。
さらに、今の計画のままで進んだ場合の年度の着地見込みもボタン一つで予測したり、改善シナリオごとに誰でも簡単に予測したりできる機能もあります。
ファンクションやシナリオ、期間を選択することで簡単に多角的な分析を行うことが可能となり、誰でも事業全体の状況について数字をもとに分析して正しい理解ができるでしょう。
数字に基づいた会議やコミュニケーションがリアルタイムでできる
Scale Cloudは、数字に基づいた会議やコミュニケーションがリアルタイムでできることも強みです。
計画に対して達成度が悪いKPIや重要なKPIの数値を、会議前に各責任者に自動通知する会議支援機能も搭載されており、原因分析を事前に行って改善方法を考えたうえで会議に臨めるため、円滑に議論を進められます。
数値ごとにメンション付きでコメントができるため、数値を基点とする円滑なコミュニケーションもできます。
また、Scale Cloudは各部門の情報を共通の基盤に集約し、組織全体でその情報を共有・活用する円卓型となっていることも特徴です。
事業全体の状況や課題について常に共通認識が持てることも、円滑なコミュニケーションにつながるでしょう。
KPIの設計と運用のサポートがある
Scale Cloudでは、KPIの設計と運用のサポートも行っています。
予算管理にはKPIの設計が欠かせませんが、設計自体が困難というケースも少なくありません。せっかく予算管理システム・ツールを導入しても、適切なKPIの設計ができなければ、予算管理はできても組織全体のパフォーマンスや生産性の向上にはつながりにくいでしょう。
Scale Cloudは、KPI設計時に専属のカスタマーサクセス担当者とミーティングを実施し、事業環境やビジネスモデル、導入目的などに応じてカスタマイズしたKPI設計を提案・サポートします。
また、設計完了したKPI項目の作り変えについても、オプションサービスとして対応・サポートを行っています。KPIの設計や運用のサポートを通じ、KPIマネジメントの精度向上や運用定着にもつながるでしょう。
まとめ
予算管理は、企業の数値目標を達成するための計画や実績の比較、分析を通じて、経営の健全性や効率性を確保するために欠かせません。
ExcelやGoogleスプレッドなどを使って予算管理を行うのが一般的でしたが、ヒューマンエラーが起こりやすく属人化につながりやすいため、近年は予算管理システム・ツールを導入する企業が増えています。
予算管理システム・ツールの種類は多岐に渡りますが、組織全体のパフォーマンスや生産性の向上を図るなら、KPIと一元化できるタイプのものがおすすめです。
Scale Cloudは、KPIと予算管理を一元化できるシステムです。
予算管理はもちろんのこと、KPIごとに計画を立てることでPLやCFなどの事業計画や予算を自動的に作成できます。
また、数字を軸として組織全体の連携や組織横断型のPDCAが促進されるため、より事業目標達成の再現性を高め、事業成長を実現することが可能です。
KPIの設計や運用のサポートもあるため、KPIの設計でお悩みやお困りの方も安心して導入できます。
予算管理とKPIを一元化して経営の効率化を図るためにも、まずはお気軽にお問い合わせください。

監修者
広瀬好伸
株式会社Scale Cloud 代表取締役社長
プロフィール
京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて800社以上の事業に関わる。
公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKYホールディングス社外役員。
成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。
講演実績
株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。
論文
特許
「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)
アクセラレーションプログラム
OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。