HENNGEで公開されているKPIとは|主要なKPIを紹介
2022.07.07
HENNGEは、「テクノロジーの解放で世の中を変えていく。」というビジョンを掲げ、企業のSaaS化を加速してビジネスを強くするために事業を行っている会社です。そんなHENNGEではどのようなKPIを設定して事業を進めているのでしょうか。
この記事では、HENNGEの事業について詳しく解説するとともに、HENNGEで公開しているKPIの推移や主なKPIについて紹介していきます。
HENNGEの会社概要
HENNGEの事業内容
HENNGEではさまざまなクラウドサービスを提供しており、多くの企業を手助けしています。ここでは、そんなHENNGEの事業・サービスの内容を詳しく見ていきましょう。
- HENNGE One
- HENNGE Secure Browser
- HENNGE Lock
- Customers Mail Cloud
- SumaMachi
順番に解説していきます。
HENNGE One
HENNGE Oneは、さまざまなクラウドサービスに対してシングルサインオン機能などを提供しているSaaS認証基盤です。さらに、誤送信・標的型攻撃など幅広いメールセキュリティにも対応しており、セキュリティサービスとしての効果も発揮します。
HENNGE Oneには「HENNGE One IdP Edition」と「HENNGE One E-Mail Security Edition」という、主に2つのセキュリティサービスがあります。
「HENNGE One IdP Edition」は、複数のクラウドサービスに対して安全にアクセスができるだけでなく、1度ユーザー認証をすることで複数のシステムが利用可能になるシングルサインオンを実現しています。さらに、IP制限、デバイス証明書など、豊富な認証機能を搭載しており、利便性と安全性を兼ね備えたクラウド利用をサポートしています。
「HENNGE One E-Mail Security Edition」は、送信や受診の双方に対応できる統合メールセキュリティで、クラウドメールとして人気の高いGmailなどとの連携が可能です。オンラインストレージを搭載しているため、大容量のファイル転送でもメッセージングセキュリティをサポートします。
HENNGE Oneは導入前と導入後のサポートが充実しており、顧客満足度は96%を達成しているほど、顧客にとって使いやすいサービスです。
HENNGE Secure Browser
HENNGE Secure Browserは、HENNGE Oneと連携することでパソコンやスマートデバイスから安全にクラウドサービスにアクセスできるサービスです。外出先からアクセスしたい場合などに便利で、会社以外で使う予定がある方におすすめできます。
HENNGE Lock
HENNGE Lockは、30秒ごとに新しいパスワードを発行してくれる、OTP(ワンタイムパスワード)アプリです。操作が簡単な上に無料で利用できるため、パスワード設定にお悩みの方に良いでしょう。
Customers Mail Cloud
Customers Mail Cloudは、クラウドから簡単にメール送信ができる メール配信サービスです。商品購入や予約完了メール、結果通知のメールなど、 即座に届けたいメールや一括送信したいメールを高い到達率で配信できます。
その他にも、SMTP / APIで連携可能、DKIM / TLS暗号化できる、配信レポートで送信状況などを管理コンソールから操作できるといった特徴があります。
特定電子メール法、個人情報保護法などの国内法や各種ガイドラインに対応しているだけでなく、お客様が運用されているセキュリティチェックシートに対応することも可能です。
情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格「ISO/IEC27001:2013」、 クラウドセキュリティに関する国際規格「ISO/IEC 27017:2015」を獲得している、安心のサービスといえるでしょう。
SumaMachi
SumaMachiでは、自治体と住民をつなぐための双方向のコミュニケーションを可能にしたサービスです。「多様化する住民のニーズに対応できない」「情報セキュリティが心許ない」「緊急時にシステムトラブルが起こらないか不安」などの悩みを抱えている自治体をサポートします。
SumaMachiを導入すれば、コミュニケーションをとる機会が増えるだけでなく、業務効率化やセキュリティの強化が期待できるのです。子育て、教育、健康福祉、環境、防災、広報、政策の7つの分野に合わせたサービスを提供しているため、担当部署や業務内容に合わせて導入できます。
HENNGEの市場規模
HENNGEが2011年に発表した「HENNGE One」は、株式会社富士キメラ総研の「クラウド型グループウェア/セキュリティサービス市場動向」で、 クラウド・セキュリティ分野で7年連続市場シェアNo.1を達成しました。 現在に至るまでつねに高い評価を得ています。さまざまな業種で約2,000社の導入実績があり、96%の人に満足されている状態です。また、2021年度にはグッドデザイン賞を受賞しており、お客様にとって使いやすいサービスであることが証明されています。
今後もお客様のためのサービス改善を続けていけば、さらに多くの企業に導入されていくのではないでしょうか。
HENNGEの業績推移
引用:HENNGE経営成績
ここでは、HENNGEの4Qの推移を表にまとめました。HENNGEの売上高は2020年から2021年で向上しています。4Qではないので表には記載されていませんが、2022年では2Qの時点で2,700(百万円)という数値になっており、このままの推移が続けば2022年も売上アップが期待できるでしょう。経常利益、当期純利益の2022年2Qの数値は、経常利益が339(百万円)、当期純利益が227(百万円)となっています。HENNGEでは2021年に経常利益、当期純利益の数値が減少していましたが、2022年では2Qの時点で2021年4Qの数値に近づいているため、今後の数値に注目です。
今後の展開
コロナ禍でテレワークを推進する企業が増加しましたが、それによってセキュリティに関する悩みが表面化されて、自宅のパソコンで作業を行うことに不安を抱えている企業も少なくありません。
今後も働き方改革やコロナの影響でテレワークを行う機会が多くなるであろう現代では、HENNGEのサービスは重要な役割を果たします。そのため、今後もHENNGE Oneなどのサービスを導入する企業が増えていくことが期待できるでしょう。
HENGEでは一部のKPIの推移を公開
HENNGEでは一部のKPI推移を公開しているため、ここで紹介していきます。SaaSビジネスで成功している企業がどんなKPIを設定しているのか知りたい、KPIがどのような推移になっているのか気になるという方は、ぜひ参考にしてみてください。
契約企業数と契約ユーザー数の推移
引用:HENNGE 2022年9月期第2四半期 決算説明資料
上記の図は、契約企業数と契約ユーザー数の推移を表しています。この図を見ると、契約企業数、契約ユーザー数ともに数値を伸ばし続けていて、安定した成長曲線になっていることが分かるでしょう。このままの推移が継続できれば、今後の成長も期待できます。
ARRとARPUの推移
ARRとARPUの数値が向上を続けているだけでなく、現在HENNGEではARRとARPUの上昇施策に注力しています。
また、HENNGEは、2021年9月期に大規模なマーケティング活動を行うと同時に、HENNGE Oneの新機能追加と新プランを発表しました。2022年9月期は、主に新規のお客様へ向けて新機能・新プランを展開していく方針とされており、積極的なマーケティング投資と共にHENNGE Oneの中期的なARR成長の加速を目標としているようです。今後のARRとARPUの推移に注目してみましょう。
リカーリング・レベニュー
引用:HENNGE 2020年9月期第2四半期 決算説明資料
リカーリング・レベニュー率とは、解約されない限りずっと得られる収益のことです。売上に対するリカーリング・レベニュー率が高いほど、投資家などから高く評価されやすくなります。
HENNGEは以前まではリカーリング・レベニュー率を公開していましたが、ここ1〜2年ほどは公開されていません。そのため、この図は2020年と少し古いデータになってしまいますが、この図を見る限り、リカーリング・レベニュー率は常に90%以上という高い比率を維持し続けています。この数値を維持し続けられていれば、現在のリカーリング・レベニュー率も非常に高い比率になっていると予想できるでしょう。
HENNGEの主なKPI
ここからは、HENNGEの主なKPIについて解説していきます。HENNGEでは主に、MRR、チャーンレート、ユニットエコノミクスの3つのKPIを設定しているため、それぞれ詳しく見ていきましょう。
MRR
引用:HENNGE 2022年9月期第2四半期 決算説明資料
HENNGEの決算説明資料で公開されているのはMRR(月間経常収益)ではなく、ARR(年間経常収益)ですが、こちらを見る限り+18.5%となっています。年間のARRよりも月間のMRRのほうが、より詳しい経常収益の推移を把握できるので、実際に自社での運用を考えている方はどちらも把握しておくと良いでしょう。
ARRとMRRについては、下記の記事で紹介しております。
チャーンレート
引用:HENNGE 2022年9月期第2四半期 決算説明資料
HENNGEでは、平均月次解約数が0.27%と、チャーンレート(解約率・顧客離脱率)を非常に低い水準で保っています。安定的かつ持続可能な成長モデルを維持できているといえるでしょう。
チャーンレートについては、「SaaSの主要KPI【チャーンレート】とは?種類や目安を解説」をご参照ください。
ユニットエコノミクス
ユニットエコノミクスとは、顧客や製品などのユニット単位で事業の経済性を測定するためのもので、SaaSビジネスで特に活用されることが多い指標です。ユニットエコノミクスはLTV(顧客生涯価値)÷ CAC(顧客獲得単価)の式で計算できるため、LTVを挙げるかCACを下げることでユニットエコノミクスを維持・向上ができます。
HENNGEではユニットエコノミクスの数値は公開されていませんが、現在、成長戦略としてLTVの最大化を掲げているので、ユニットエコノミクスの向上も期待できるでしょう。
ユニットエコノミクスについては、「SaaSの主要KPIと【ユニットエコノミクス】とは?計算方法や目安を紹介」の記事をご覧ください。
まとめ
HENNGEは、HENNGE OneやCustomers Mail Cloud、SumaMachiなどのさまざまなサービスを運営しており、今後も成長が期待できる企業です。そんなHENNGEではいくつかKPIを公開していますが、特に重要なKPIとしてはMRR、チャーンレート、ユニットエコノミクスなどが挙げられます。
SaaSビジネスではどのようなKPIを設定するのが良いのかもっと知りたい、設定したKPIがどんな状態なら健全なのか詳しく把握しておきたい、KPIを効率的に管理する方法を知りたいなど、
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監修者
広瀬好伸
株式会社Scale Cloud 代表取締役社長
プロフィール
京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて600社以上の事業に関わる。
公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。
株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKY社外役員。
成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。
講演実績
株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。
論文
特許
「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)
アクセラレーションプログラム
OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。