経営目標の立て方は?設定方法や目標クリアに必要なことを解説!
企業経営の基盤を強固にするには、優秀でモチベーションの高い従業員を集めることが大切です。そのうえで、企業を発展させていくためには経営目標を設定することが重要となります。
明確な目標を掲げることによって、自社を発展させようとする意欲を従業員にアピールできることや、方向性や取り組む課題を明示できる効果も期待できるでしょう。
しかし、経営目標が重要だと理解していても、「どうやって設定したらいいのか分からない」「経営目標の立て方が知りたい」という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、経営目標を立てるメリットや種類、具体的な目標の立て方やクリアするために必要なことを詳しく紹介します。
経営目標とは
経営目標とは、企業が一定期間内での達成を目指している目標のことです。従業員全員に対して設定するケースもあれば、部署や従業員、管理職などに限定して設定することもあります。
ここでは、経営目標について詳しく解説します。
経営目標と経営理念の関係
経営目標と混同されやすい言葉に経営理念があります。経営理念とは、経営者の哲学や信念に基づき、企業の根本となる活動方針を明文化したものです。
企業が何のために活動をするのか、企業が向かうべきことなどを言葉にまとめ、従業員と共有することで企業の方向性を定める役割があります。
経営目標が企業を運営するうえで設定される目標である一方、経営理念は企業のあるべき姿を言葉にしたものです。
そのため、経営目標は到達の途中で修正することもあり、達成したら新しく次の目標を掲げます。しかし、経営理念は一旦掲げたら追い続けるものであり、すぐに変えてしまうものではありません。
経営目標を立てるメリット
経営目標を立てることには、以下のようなメリットがあります。
- 従業員が事業の拡大に取り組み続ける基盤が作れる
- 自社の長所を強化できる
- 社内メンバーの目標達成に向けた意欲向上が期待できる
- 市場シェアの拡大が実現できる
- 予算の策定がしやすくなる
- 社内の協力体制を強化できる
事業の発展と充実を図るためには、定期的に新しい経営目標を立てることが重要です。また、従業員自身が自分の強みや改善する部分を理解するためにも効果的な手段といえます。
ただし、経営目標のメリットを享受するためには、具体的かつ現実的な目標を設定しなければいけません。
現状とかけ離れた目標を掲げたり、達成できる見込みがない目標を掲げたりすることは、従業員のモチベーション低下をもたらすこともあります。
経営目標に必要な中間目標
中間目標とは、経営目標を達成するためのロードマップを明確に規定したものです。
経営目標は企業の方向性や業績を左右するような大きな目標を設定することが多いものの、いきなり大きな目標を掲げてもすぐに達成することはできません。
そのため、経営目標を達成するために必要な中間目標をいくつか設定するのが一般的です。なお、経営目標のように最終的なゴールの部分にあたる目標のことをKGI、中間目標のことをKPIと言います。
経営目標を達成するためにも中間目標を適切に設定し、それぞれをクリアすることでゴールに近づいていくというものです。
中間目標も経営目標を達成するために現実的である必要があり、従業員のモチベーションが高まるような目標に設定する必要があります。
経営目標の種類
経営目標は、経営に関するものであればどのようなものでも対象になります。一般的には、以下の4つが経営目標に掲げられやすい特徴があります。
売上予算
組織目標は、収益に必ずしも関係なく、事業の継続・成長・将来の展望などを踏まえながら組織として掲げる目標です。
具体例として、以下のような目標が挙げられます。
- ブランドの認知度やイメージの向上を図る
- 利益を活用して増資や事業の強化を行う
- 自社の主力ブランドの消費者認知度を増やす
- 需要に見合う生産力の拡大を図る
- 上場を目指す
上記に関連した経営目標は、組織目標に分類されます。
組織目標は企業の成長において欠かせない目標であり、成長しない企業からは人材が離れてしまったり、将来的に組織が崩壊してしまったりする可能性もあります。
実際に組織目標を設定する際には、「3年以内に上場を目指す」「主力ブランドの認知度を1年以内に2倍に増やす」など、数値を取り入れて具体化させることもポイントです。
社会貢献目標
社計貢献目標とは、組織のCSRやサステナビリティ、SDGsへの取り組みやボランティア、地域社会貢献などに関する目標です。
具体例として、以下のような目標が挙げられます。
- 地域社会に貢献する
- SDGsを設定する
- 子ども達の教育活動として学習プログラムを学校に配布する
- サステナビリティレポートを発行する
- CSRに関する基本指針を制定して発表する
社会貢献目標を掲げて達成することで、企業やブランドイメージの向上を図り、新規顧客獲得につながるメリットがあります。また、求職者へのアピールとなり、人材獲得にもつながるでしょう。
企業が社会貢献を行うことで環境問題や貧困問題などの社会問題解決にも貢献でき、社会的な役割を果たすことで、社会全体の持続可能な発展につながります。
社会貢献目標を設定する際にも、期限を具体的に決めることがポイントです。
人事目標
人事目標とは、人材の採用や労働環境、社員教育や社内コミュニケーション、賃金などに関する目標です。具体例として、以下のような目標が挙げられます。
- 来年度の新卒採用数や中途採用者数の目標を決める
- 従業員のリモートワークを普及させる
- 社員スキルアップ研修制度を導入する
- 従業員同士がコミュニケーションを取れるシステムを導入する
- 副業を解禁する
人事目標を立てることによって、従業員一人ひとりが「自分は企業に大切にされている」と感じられ、従業員エンゲージメントを高める効果が期待できます。
それに伴い、従業員のモチベーションが向上し、離職率の低下や事業の効率化を図ることにもつながるでしょう。人事目標を立てる際も、具体的な数値や期限を設定することが重要です。
収益目標
収益目標とは、売上高・営業利益・経常利益・純利益・配当金などの収益に関する目標です。具体例として、以下のような目標が挙げられます。
- 赤字事業撤退して企業全体の黒字転換を目指す
- 今年度の営業利益は〇〇億円を目指す
- △△社の買収により一気に事業拡大して売上〇〇億円を目指す
収益拡大を目標に掲げるだけでなく、事業を存続できるだけの収益確保が目標になったり、事業の積極的な拡大のために必要な資金を目標にしたりなど、財務上の課題に応じて設定する場合もあります。
収益目標は数字がベースとなるため、目標を具体的かつ明確化しやすい特徴があります。
失敗しない経営目標の立て方
経営目標はビジョンに基づき、明確かつ具体的に設定する必要があります。ここでは、失敗しない経営目標の立て方を紹介します。
ビジョンを明確にする
経営目標を立てる際には、まずビジョンを明確にしましょう。
ビジョンには「将来のあるべき姿を描いたもの」「未来図、未来像」などの意味があり、企業のあるべき姿や将来像を実現するために事業で目指す到達点を言葉にまとめます。
また、ビジョンは経営理念に基づいていることもポイントです。
具体的には、「世界中の人から必要とされる企業になる」「事業を通じて人と人の距離を縮めるための架け橋となる」などです。
ビジョンが明確でなければ経営目標も定まらず、あいまいな目標となって施策に取り組む意欲が低下したり、かえってモチベーションを下げてしまったりする可能性もあります。
定性的な目標を立てる
ビジョンを明確にしたら、次に定性的な目標を立てましょう。
定性的な目標とは、数字で評価できない目標のことです。「業務効率を向上する」「業界No.1を目指す」などが挙げられます。
成果そのものではなく、過程に着目して行動の価値を測定するため行動目標とも呼ばれます。定性的な目標はビジョンに沿って設定することがポイントです。
例えば、「世界中の人から必要とされる企業になる」というビジョンの場合、それを実現するための定性的な目標として「業界No.1を目指す」「世界の各国に拠点を作る」などが挙げられます。
定量的な目標を立てる
定性的な目標を設定したら、最後に定量的な目標を立てます。
定量的な目標とは目指すべき目標を数値を用いて量的に設定したものであり、数値による目標を掲げることによって、客観的に見てわかりやすく具体的な戦略や目標を立てられます。
定量的な目標は達成度を正確に測定できるため、マネジメントや人事評価もしやすくなります。定量的な目標は、定性的な目標に基づいて設定するのが重要です。
例えば、「世界の各国に拠点を作る」という定性的な目標がある場合、「来年度に〇〇と〇〇の国の合計2か所に拠点を作る」というのが定量的な目標となります。
このように、ビジョンから逆算して目標を設定することで、具体的かつ現実的な目標になります。
経営目標の設定に役立つSMARTの法則
経営目標の設定には、フレームワークの「SMARTの法則」が役立ちます。SMARTとは、下記の要素をすべて含んだ目標設定の指標です。
- Specific(具体的に)
- Measurable(測定可能な)
- Achievable(達成可能な)
- Related(経営目標に関連した)
- Time-bound(時間制約がある)
例えば、「来年度は今年度比120%の売上を出す」という目標を掲げ、目標を達成するために「営業件数を月に100件増やす」という具体的なアクションを組み合わせると、SMARTに基づいた経営目標といえるでしょう。
一方、Achievable(達成可能な)については慎重に検討する必要があり、測定可能で具体性があっても達成できる目標でなければ意味がありません。また、すぐに達成できる簡単な目標を掲げても企業の成長という観点では効果が低いため、目標設定は特に重要なポイントになります。
仮に年間売上を1,000万円増やすという目標を掲げたとします。しかし、これだけでは達成可能かどうかは判断できません。
一方、「今の成約率は5%くらいなので、営業件数を月に100件増やせば1,000万円の売上も不可能ではない」のように、目標を達成できる見立てや根拠があれば、達成可能な目標といえます。
経営目標をクリアするために必要なこと
ここでは、経営目標をクリアするために必要なことを紹介します。
現状を常に把握できる体制を整える
設定した経営目標をクリアにするためには、現状を常に把握できる体制を整えることが大切です。
経営目標の種類や内容によっても異なりますが、部門を超えて情報共有が必要になったり、施策の進捗状況を把握したりなどが必要になるケースもあります。
誰もが現状を常に把握できる体制を構築することで、各部門の情報を一元化し、組織全体でその情報を活用できます。
また、組織全体で同じ情報を見ることで、事業全体の状況や課題などの共通認識を持ちやすくなります。
部門を超えて現状を常に把握できる体制を整えるためには、経営管理できるシステムの導入がおすすめです。
ノウハウを活用できる環境を整える
過去のノウハウを活用できる環境を整えることで、経営目標が達成しやすくなる場合があります。
経営目標を達成するためには複数の中間目標を設定し、それぞれをクリアしながらゴールを目指さなければいけません。
そして、経営目標を達成した後は課題や問題点を洗い出したうえで、次の経営目標を設定して再びゴールを目指すのが一般的な流れです。
積み重ねたノウハウは新しい経営目標や中間目標に役立つケースも多くありますが、過去のノウハウは忘れてしまうことも多いでしょう。
このような場合に、過去のノウハウをすぐに取り出して活用できると便利です。
蓄積したノウハウは大切な情報資産でもあるため、経営管理できるシステムなどを活用し、過去のノウハウを活用できる環境を整えておくとムダを省くことにもつながります。
目標の進捗具合を把握できる環境を整える
経営目標を達成するためには、中間目標も含めて進捗具合をチェックできる環境を整える必要があります。
中間目標の結果が悪かった場合、いち早く異変に気づいて対策すれば大きな損失を防ぐことが可能です。しかし、掲げた目標の進捗具合が把握できなければ対応が遅れてしまい、状態はさらに悪化する可能性もあります。
部門を超えての進捗管理になると、ExcelやGoogleスプレッドシートだけでは限界があるため、経営管理できるシステムの導入がおすすめです。
経営目標を達成するために導入したいシステム
経営目標を達成するために導入したいおすすめのシステムは、Scale Cloudです。
Scale Cloudは経営目標をクリアするために必要となる、「現状を常に把握できる体制」「ノウハウを活用できる環境」「目標の進捗具合を把握できる環境」をすべて兼ねそろえています。
中間目標となるKPIは週次でマネジメントすることが可能で、部門間を超えて常に現状を把握できる環境が整っています。
また、ノウハウデータベースの機能があり、過去の重要なノウハウをテキストでデータベース化し、いつでも好きなタイミングで取り出すことが可能です。
さらに経営目標に対する進捗具合が把握できるのはもちろんのこと、「計画に対して進捗が遅れている中間目標はどれか」「経営目標が達成できない原因がどこにあるのか」などが一目瞭然で分かります。
Scale Cloudは、経営目標の達成に役立つシステムです。
まとめ
この記事では、経営目標の立て方や設定方法、目標をクリアするためのコツを紹介しました。
経営目標はビジョンをもとに定性的な目標を設定し、そのあとは具体的に定量的な目標を掲げるのがコツです。その際は、「SMARTの法則」を意識しながら目標を設定するとよいでしょう。
経営目標をクリアするためには、進捗管理や部門間を超えて情報共有できる環境が不可欠であり、過去のノウハウを引き出せる状況にあると新たな経営目標の設定に役立つこともあります。
Scale Cloudは、これらを実現するためのシステムです。
蓄積したデータをもとに自動分析や自動予測などの学習効果もあり、改善施策ごとのシミュレーションもできます。Scale Cloudの導入によって、経営目標の達成がより現実的なものになるでしょう。
無料デモ体験も行っていますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
監修者
広瀬好伸
株式会社Scale Cloud 代表取締役社長
プロフィール
京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて800社以上の事業に関わる。
公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKYホールディングス社外役員。
成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。
講演実績
株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。
論文
特許
「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)
アクセラレーションプログラム
OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。