インフォマートのKPI推移|コロナ禍でも業績を伸ばしている理由とは

2022.08.05
インフォマートのKPI推移|コロナ禍でも業績を伸ばしている理由とは

企業と企業をつなぎ、ビジネススタイルを大きく変えるをコンセプトに急速に業務拡大を続けてる株式会社インフォマート。

まだまだ紙媒体を中心としている会社も多い中で、インフォマートはITによるデータ化によりペーパーレスの時短やエコ実現、コスト削減を目指しています。売り手と買い手の間でデータのやりとりが自由にできるようになれば、情報交換が容易になるでしょう。

そのようなIT化をBtoBにおいて実現した電子プラットフォームが、インフォマートの「BtoBプラットフォーム」です。

この記事では、そんなインフォマートのKPI推移とともに、コロナ禍でも業績を急速に伸ばした理由を解説していきます。

インフォマートの会社概要

会社名株式会社インフォマート
本社〒105-0022東京都港区海岸1-2-3汐留芝離宮ビルディング13階
代表取締役中島健
設立1998年(平成10年)2月13日
資本金32億1,251万円(2022年3月末現在)

インフォマートの事業内容

インフォマートのBtoBプラットフォームシリーズは、下記の7つがあります。

  • 商談
  • 受発注
  • 規格書
  • 請求書
  • 契約書
  • 見積書
  • 業界Ch

その中でも代表して、商談、受発注、規格書、請求書の4つを紹介していきます。

BtoBプラットフォームシリーズ商談

商談プラットフォームは実に9,177社が利用しており、営業力や購買力を社内組織化することでダイレクトの取引を可能にするクラウドサービスです。食品検索、食品募集、自動マッチング、Web商談、市場分析、決済代行などの豊富な機能で営業・購買力を徹底強化し、新規取引・商材発掘を広くサポートします。

商談をIT化することで、企業の営業力や購買力強化、時短、コスト削減などを実現し、ペーパーレス化につながるのです。

買い手(仕入側)からすると、新規調達先の開拓、既存取引先からの仕入強化、見積もりから決済までの時短・コスト削減、社内情報共有による組織力向上などのメリットがあります。一方で、売り手(販売側)のメリットは、販路拡大、新規顧客の開拓、既存顧客の販売強化、見積もりから請求までの時短・コスト削減、社内情報共有による組織力アップなどです。

BtoBプラットフォームシリーズ受発注

受発注プラットフォームは、外食・給食・ホテルといった企業規模を問わず、44,714社が利用している受発注システムです。取引先メーカーとの間の受発注・請求業務が行えるクラウドサービスで、日々の受発注から請求処理までのデジタル化を実現し、計数管理を一元化します。それにより、双方の業務効率化や時短、コスト削減、生産性向上を実現しました。

BtoBプラットフォームシリーズ規格書

業界最大級の共通フォーマットにより、10,349社のユーザーを抱える規格書のクラウドサービスです。商品規格書情報を電子データ化することにより、外食・卸・メーカーとの企業間取引において、提出依頼・作成・提出・仕様変更に至るまで、総合的に管理ができます。

業界標準のフォーマットを使用すれば、データを入力し直したりする無駄な作業がなくなるため、業務を効率化することが可能です。。

また、業界内でニーズの高いアレルギーや原産国の情報も管理できるので、業界の食の安全・安心を強くサポートしています。

このプラットフォームを使用するメリットは、商品の詳細情報管理を強化・効率化できる、消費者・得意先の問い合わせ対応のスピード化および信頼の向上などです。食の安全・安心への対応に不可欠な商品規格書を電子データ化することで、飲食業・卸・メーカーの各企業間でデータ交換を可能にしました。

BtoBプラットフォームシリーズ請求書

746,758社に利用されている請求書クラウドサービスです。請求書を発行するだけでなく、受取、支払金額の通知など、多彩な請求業務の電子データ化に対応します。それにより、時間・コスト・手間のかかる経理業務の大幅な改善に成功したのです。電子帳簿保存法に対応していることによるペーパーレス化や、経理のテレワークも実現しました。

受取側の企業のメリットとしては、月次決算の早期化を実現、自動仕訳によって仕訳作業を大幅に削減可能、承認リレーのシステム化で時間を短縮、支払通知書の一括送信などが挙げられます。

発行側企業のメリットは、請求書発行の手間やコストの削減可能、企業別の個別対応や再発行が不要、取引先の確認状況を把握可能、入金消込・督促までの管理の一元化などです。

請求書をIT化することで、請求書の受取・発行、企業間の請求業務における時短、コスト削減を実現しています。

インフォマートの市場規模

インフォマートは、特にコロナ禍になった2020年から急速に業績を拡大しており、日本経済新聞調べで直近1年の平均PBR(株価純資産倍率)上昇率ランキング(売上高100億円以下の企業が対象)で11位になりました。

中でも、BtoBプラットフォーム請求書の利用企業数は、2020年3月に約40万社だったのが、2022年3月には70万社を突破しました。

企業間電子商取引のプラットフォームを提供している企業は多数存在してますが、フード業界における企業間電子商取引における競合他社はほとんど存在せず、インフォマートのシェアが圧倒しています。

さらに、フード事業において、BtoBプラットフォーム受発注、およびBtoBプラットフォーム規格書における管理システムのクラウド化の需要が高まっているため、新規稼働が増加しました。

また、ES事業も前年同期比39.0%増加しています。BtoBプラットフォーム請求書における業務効率化とDX(デジタルトランスフォーメーション)化への急速な関心の高まり、テレワーク推進などが増加の一員として挙げられるでしょう。

インフォマートの業績推移

2018/122019/122020/122021/122022/12
売上高(百万円)26,61130,83635,14035,96038,899
経常利益(百万円)1,7512,3552,4601,4571,021
当期純利益(百万円)3841,5521,6921,014538

引用:インフォマート 決算ハイライト

2021年12月月期の売上高は9,835百万円で、売上高が前期比12.6%増加しました。しかし、インフォマートでは、サーバー体制の増強によるデータセンター費の増加によってコストが前年同期比2.4%増加し、営業・営業サポート人員の増強に伴って人件費は7.4%増になりました。そのため、売上成長の加速を見越した投資によって、経常利益は前年と比べると減少しています。

今後の展開

インフォマートはコロナ禍において急速に売上を伸ばしており、2021年10月に株式会社串カツ田中ホールディングスと合弁会社の設立を発表するなど、業務拡大にも積極的です。さらに、東京スター銀行やみなと銀行とビジネスマッチング契約締結により、東京スター銀行の取引先企業へのBtoBプラットフォームのクラウドサービスの提供が可能になりました。

これによって、両社協働での受発注、請求業務のデジタル化、事業資金の素早い調達を可能にし、企業の成長を推進しています。サーバー強化や営業人員の拡大といった先行投資により、今季の経常利益などは減少しましたが、売上高は順調に推移しているため、今後の業績拡大が大きく見込めるでしょう。

インフォマートがコロナ禍で急成長した理由

インフォマートはコロナ禍でも飲食業の流通が加速しており、感染リスクを軽減するために人との接触機会を減らして社会活動を行うニューノーマル時代において、デリバリーやキッチンカーなど新たな業態を打ち出しました。それによって、より売上アップが見込めるのです。

IT化を進めることで、FAXなどの従来システムと比較して、利便性の高さや感染リスク軽減の効果などの認識が広がりました。現在はこれらのメリットから導入を検討する企業が多い傾向ですが、今後の経済状況によっては、将来的に経済活動が回復することを見越して受発注システム導入を検討する企業も多くなるのではないでしょうか。

その他にも、代表取締役社長の中島健氏はコロナ禍で急成長した理由を2つ挙げているので、詳しく見ていきましょう。

DXのニーズが高まっている

長年電子化について取り組んできましたが、理解を得ても「そのうちやろう」というムードを打ち消すことがなかなかできずにいたそうです。それがコロナ禍になり「やらなければならない」という意識に変わったのがその要因であると中島氏は分析しています。

また、国が電子化に本腰を入れ始め、インボイス制度や電子帳簿保存法などが急速に整備が進められてるのも追い風といえるでしょう。

高いサービス品質と営業力を誇っている

サービスの機能性の追求をしながらも、お客様にうまく活用してもらうためのサポート体制に力をいれています。つまり、商品を売って終わりではなく、お客様が目的を達成するために重点をおいているのです。

また、同社の主要顧客はフード業界のため、危機的状況に変わりはありません。しかし、電子化により経営の効率化を考えてる会社も多くあり、それが営業面を高めている要因といえます。

インフォマートのKPIの推移

ここでは、インフォマートに公開されているKPIの推移をいくつか紹介していきます。

引用:株式会社インフォマート2022年12月期第1四半期決算

先ほども少し解説しましたが、インフォマートでは営業部門の補強を目的に採用を継続しているため、人件費が向上しています。これによって人材が集まれば、さらなる業績拡大も見込めるでしょう。

引用:株式会社インフォマート2022年12月期第1四半期決算

また、インフォマートでは販売促進費の推移も上がっています。マーケティングの施策を積極的に実施しているため、さらなる導入社数の向上が期待できるでしょう。

インフォマートの主なKPI

最後にインフォマートが設定している主なKPIを紹介していきます。インフォマートがどのような指標を元に成長を続けているのか、詳しく見ていきましょう。

  • MRR
  • チャーンレート
  • ユニットエコノミクス

それぞれのKPIごとに解説していきます。

MRR

MRRは月次経常収益という意味で、毎月繰り返し得られる収入のことをいいます。インフォマートでは年間経常収益(ARR)は公開していますが、MRRは公開されていません。年間の経常収益をKPIとして設定するのも良いですが、月額料金制のプランが多いSaaS企業の場合は、月間で管理できる月次経常収益がおすすめです。ARRを12で割れば大体の平均の数値は分かりますが、推移を把握することができないので、これからKPIの設定を検討している方は、MRRのほうが良いでしょう。

MRRについては、「SaaSの主要KPI【MRR】とは?概要や計算方法を分かりやすく解説」の記事で紹介しています。

チャーンレート

インフォマートでは、チャーンレート(解約率)も公開されていません。しかし、売上高の95%が月額使用料で解約率が低いことから、安定した基盤のある企業として位置づけられているようです。また、サーバー体制の強化や営業、営業サポート面の充実から、今後も低い解約率であると予想できます。

チャーンレートについては、「SaaSの主要KPI【チャーンレート】とは?種類や目安を解説」の記事からご参照いただけます。

ユニットエコノミクス

引用:株式会社インフォマート2022年12月期第1四半期決算

インフォマートではユニットエコノミクスの数値も公開していませんが、図のように多くの企業に導入されていて急成長を遂げているところを見ると、高い満足度を得ているのではと想像できます。企業に導入されていたとしても、顧客に満足してもらえずに解約されてしまうと数値の伸びは悪くなってしまいますが、このように増加を続けている点で見ると、ユニットエコノミスの数値にも期待できるでしょう。

ユニットエコノミクスについては、「SaaSの主要KPIと【ユニットエコノミクス】とは?計算方法や目安を紹介」の記事をご覧ください。

まとめ

国の推進などもあって電子化が進み、ニーズが高まったことにより、インフォマートはコロナ禍でも売上大幅増を実現しました。これから電子化がより進んでいけば、インフォマートが発展していくのは間違いないといえるでしょう。

インフォマートもそれを見込んで、サーバー強化や営業や営業サポートの人員を強化するなど、積極的に投資しております。

インフォマートのように事業を成長させていくためには、KPIをしっかり設定して管理することが大切です。

監修者

広瀬好伸
株式会社ビーワンカレッジ 代表取締役社長

プロフィール

京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて600社以上の事業に関わる。

公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。
株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKY社外役員。

成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。

講演実績

株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。

論文

『経営指標とKPI の融合による意思決定と行動の全体最適化』(人工知能学会 知識流通ネットワーク研究会)

特許

「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)

アクセラレーションプログラム

OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。

取材実績

日本経済新聞、日経産業新聞、フジサンケイビジネスアイ、週刊ダイヤモンド、Startup Times、KANSAI STARTUP NEWSなど。

著書

『飲食店経営成功バイブル 1店舗から多店舗展開 23の失敗事例から学ぶ「お金」の壁の乗り越え方』(合同フォレスト)

Twitter