予実管理をExcelで作成する方法は?スプレッドシートでの作成方法も紹介

2022.01.22
予実管理をExcelで作成する方法は?スプレッドシートでの作成方法も紹介

企業の成長や事業拡大には、予実管理が必要不可欠です。しかし、予実管理の方法が分からないという人もいるでしょう。

 

この記事では、ビジネスマンが普段から使い慣れている、Excelで予実管理をする方法を解説していきます。予実管理をExcelで行うメリットデメリットなども合わせて紹介していくので、ぜひ最後までご覧ください。

予実管理とは

企業が予算と実績を管理することを予実管理といいます。予算と実績を把握することで、企業が設定した経営目標を達成できるかある程度判断することが可能です。

 

目標の達成が難しそうな場合には、予実管理データを分析して問題点を透明化することで、改善に向けた取り組みを行いやすくなります。また、精度の高い予実管理を実行できれば、今後の事業展開・拡大に向けた資金調達や、企業の成長スピードの加速が期待できるでしょう。

予実管理が重要な理由

企業はサービスや商品を提供するために予算を設定し、それに向けて営業活動を行います。予実管理を行って定期的に予算を確認し、あとどのくらい実績を上げなければならないかなどの、具体的な数字を確認することが可能です。

 

ただ数字を確認するだけでなく、なぜ実績が伸び悩んでいるのか分析して改善を図ることで、予算達成に向けた計画につながります。逆に実績が良かった場合も、その原因を分析すれば次の実績につなげられるでしょう。

 

予実管理を行っていないと、こういった動きができず漠然とした状態で営業を続けなければいけません。そんな状態で企業を成長させるのは難しいです。社員も、具体的な数字で目標や進捗具合が見えていたほうがやりがいにつながるでしょう。

 

予実管理のやり方

予実管理が重要ということは分かっていただけたかと思いますが、予実管理は具体的にどのような方法で行っていけば良いのでしょうか。予実管理は、主に以下の3つのステップで行われます。

 

  • 予算を策定
  • 予実の差異を定期的に確認して分析
  • 分析結果を元に解決策を立案

 

ここでは、それぞれのステップについて詳しく解説していきます。

予算を策定

事業目標や展開・拡大計画を元に、予算を策定します。予算に経営陣の理想や願望を反映させるのは悪いことではありませんが、明らかに実現不可能な予算を策定してしまうとリスクが大きいので注意が必要です。

 

予算の目安として、これまでの実績や、同業他社、業界の水準と比較しながら大きく外れない程度の予算を設定しましょう。

 

もちろん高い目標を持つことは大切ですが、高すぎる予算の設定はかえって従業員に負担をかけてしまうため、バランスを考えながら設定してください。最初に設定した予算を超える見込みが出てきた場合に新たな予算を設定するなど、段階を踏むと良いでしょう。

予実の差異を定期的に確認して分析

予算策定後は、徐々に実績が追加されていくはずです。ただ数字を記入するだけではなく、予算と実績の差異を分析し、必要に応じて予算の変更、実績獲得のための戦略を考えましょう。

 

定期的な分析を怠ってしまうと、予算が達成できなかった、実績がなかなか上がらないなどの問題が発生する場合もあります。また、分析する際には他のKPIも設定し、事業の課題や強みを把握することが重要です。

分析結果を元に解決策を立案

予実の差異を分析した結果、すぐに改善が必要であれば早急に対処しましょう。分析結果を元に、「うまくいかなかった原因は何なのか」、「どのようにすれば改善できるのか」、「次に同じことが起きないようにするにはどうすれば良いのか」など、解決策や改善策を立案してください。

 

予実のズレなく好調に進められている場合は、来期の予算策定を早めに実施する、業績が良かった原因を解明するなど、予実管理の分析結果を次に生かせるようにすると良いです。結果によっては、新規事業立案など、企業にとって重大な事項を決定する要因になることもあるでしょう。

Excelで予実管理表を作成する方法

予実管理を紙で行っている企業も多数ありますが、近年ではペーパーレス化が進み、システムやExcelを活用して予実管理を行う企業が増えています。Excelであればすでに搭載されているパソコンが多いので、簡単に予実管理を実施することが可能です。この項目ではExcelで予実管理表を作成する方法について詳しく説明していきます。

必要な項目を入力

Excelで予実管理表を作成するためには、表の中に必要な項目を入力します。必要項目は企業によって異なりますが、基本的には予算・実績・差額などが挙げられるでしょう。

 

項目を作ったら、これらのデータを集めて入力していきます。前期や前年との比較、競合他社・業界との比較をしながら予実管理を行う場合は、さらに項目を追加しましょう。

月ごとの数値を計算して予実を算出

表を作成したら、数値を入力していきましょう。月ごとの数値を計算して予実管理を算出するためには、実績の推移を毎月入力しなければいけません。

 

他の会計ソフトも一緒に活用すると、そちらに入力した推移状況をそのままExcelに貼り付けるだけで済むので、簡単に予実管理を行うことが可能です。

予実管理をExcelで行うメリット・デメリット

予実管理をExcelで行う方法について解説していきました。しかし、予実管理をExcelで行うのはメリットも大きいですが、デメリットもあるので注意が必要です。メリットとデメリットを考慮した上で、予実管理ツールを選ぶようにしましょう。

メリット

Excelは、パソコンに最初から搭載されていることが多いツールです。表計算を行う、データをまとめるといった目的で使ったことがある人も多いのではないでしょうか。

 

操作方法が広く浸透しているため、導入コストが低く、操作方法の理解にかかる時間が必要ないという点が大きなメリットです。

 

また、スケールの小さい予実管理表であれば簡単に作成できるので、個人事業主や小さな会社にとっては最適なツールといえるでしょう。自由度が高く、企業ごとの必要な項目に柔軟に対応した予実管理表を作成することも可能です。

デメリット

Excelで予実管理を行うデメリットとして、データの共有に時間がかかる、データの集計に時間がかかる、ミスが発生しやすいなどが挙げられます。

 

Excelは一つのファイルを複数人で同時に編集することができません。そのため、全てのデータ集計を終えるまでに時間がかかり、共有が遅れてしまいます。さらに、共有したデータが最新のものではなくなった場合に、新たなデータを追加してからもう一度共有する必要があります。

 

また、Excelはちょっとした操作ミスでテンプレートが変わってしまうなど人的ミスが発生する可能性が高いです。導入や操作方法の理解が簡単なExcelでの予実管理ですが、こういったデメリットもあることを事前に確認しましょう。

予実管理に関するQ&A

これまで予実管理について解説してきましたが、まだ疑問が残るという人もいるでしょう。ここでは、予実管理に関するよくある質問にまとめてお答えしていきます。予実管理に関するよくある質問は以下の通りです。

 

  • スプレッドシートで予実管理表を作成できる?
  • 予実管理には必ず予実管理表の作成が必要?
  • 予実管理で起こりやすい失敗は?
  • 予実管理を効率的に行うには?

 

これまで予実管理で失敗した経験がある、今後予実管理を効率的に行いたいという方は、ぜひ参考にしてみましょう。

スプレッドシートで予実管理表を作成できる?

スプレッドシートは、Googleが提供する表計算ツールです。Excelとほぼ同じ機能を備えているため、スプレッドシートでも予実管理表を作成できます。

 

無料で利用できる、Googleアカウントを持っている人なら誰でも簡単に使えるといった点がメリットです。さらに、スプレッドシートは複数人で同時に編集することが可能なので、Excelよりもデータの共有がしやすいです。

 

しかし、スプレッドシートの設定によって作成した本人しか編集できない場合もある、Excelと同様にミスが起こりやすいなどのデメリットもあるので、注意してください。

予実管理には必ず予実管理表の作成が必要?

予実管理表の作成は必須というわけではありませんが、得られるメリットが大きいので、作成するのがおすすめです。

 

予実管理表を作ることで、予算と実績の現状を一目で確認できます。予実を可視化できれば、予実のズレを把握しやすく、企業の強みや弱点が見えやすくなるでしょう。新たな施策や対策を練ることにもつながります。また、数字や表として見えやすくなれば、社員のやりがいにもつながるため、予実管理表の作成をおすすめします。

予実管理で起こりやすい失敗は?

予実管理で失敗してしまう例としては、細かい差異を気にしすぎてしまう、目標を達成しやすいように予算を低く設定してしまうなどがあります。

 

予実のズレを管理することはもちろん大切ですが、まずは大きなズレから改善していくことが大切です。企業でできる業務には限りがあるので、優先順位を決めて改善を進めていきましょう。

 

また、目標を達成するために予算を低く設定する企業もありますが、それでは意味がありません。目標を達成することを重視しすぎていると、企業としての成長につながらないので、過去の実績やデータを参考に適切な予算を設定してください。

予実管理を効率的に行うには?

予実管理を効率的に行うには、予実管理システムやツールを導入すると良いでしょう。Excelやスプレッドシートといった無料で使えるツールの活用も良いですが、企業自体が成長して事業規模が大きくなってきた場合は、これらのツールだけで精度の高い予実管理を行うことが難しくなってきます。

 

しかし、途中で使用ツールを変更すると、これまでのデータの移行や同期作業の手間がかかってしまい、かなり面倒です。導入コストはかかりますが、その分効果を発揮してくれる適切なシステム・ツールを活用しましょう。

予実管理をスムーズに行うならScale Cloud

予実管理をスムーズに行うなら、Scale Cloudの活用を検討してみてください。Scale Cloudは、ビジネスのスケールアップを実現するクラウドシステムです。ここでは、Scale Cloudの特徴を解説していきます。

データの管理や共有が簡単

Scale Cloudでは、予実管理に関するデータを自動で集約・統合して一元管理することが可能です。リアルタイムで情報が更新されるため、部署を超えたデータの共有もしやすく、常に最新のデータを参考にしながら予実管理が行えます。

予実のズレがすぐに把握できてリカバリーしやすい

Scale Cloudはデータの可視化ができるので、予実のズレを把握しやすく、原因を一目で把握できます。原因が把握できればリカバリーもスムーズに進められて、無駄な作業を行うことなくすぐに改善アクションをとることが可能です。

直感操作で使いやすい

高度なスキルがなくても、誰でも簡単に使えるのも魅力の一つです。社内で導入する際に教育や研修をしなくても直感操作で使えるので、手間がかかりません。

 

また、Excelやスプレッドシートは定期的にデータ更新などのメンテナンスが必要ですが、Scale Cloudはシステム上で勝手にメンテナンスを行います。メンテナンスが必要ないというのも、企業にとってはメリットといえるでしょう。

まとめ

予実管理は、企業が予算と実績を管理することをいいます。予算と実績を把握できれば、企業が設定した経営目標をどの程度達成できているかを判断することが可能です。

 

Excelで予実管理を行う場合は、導入コストが低い、もともと操作方法を知っているので使いやすいといったメリットがあります。一方で、データの共有に時間がかかる、データの集計に時間がかかる、ミスが発生しやすいなどのデメリットもあるので注意が必要です。

 

企業自体が成長して事業規模が大きくなってきた場合は、Excelで精度の高い予実管理を行うのが難しくなってきます。途中で使用ツールを変更すると、データの移行などを行うのが大変になるので、できるだけ早めに予実管理のツールを導入しておくと良いでしょう。また、予実の精度をより向上させたいという方は下記資料もあわせて参考にしてください。

 

 

監修者

広瀬好伸
株式会社Scale Cloud 代表取締役社長

プロフィール

京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて600社以上の事業に関わる。

公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。
株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKY社外役員。

成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。

講演実績

株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。

論文

『経営指標とKPI の融合による意思決定と行動の全体最適化』(人工知能学会 知識流通ネットワーク研究会)

特許

「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)

アクセラレーションプログラム

OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。

取材実績

日本経済新聞、日経産業新聞、フジサンケイビジネスアイ、週刊ダイヤモンド、Startup Times、KANSAI STARTUP NEWSなど。

著書

『飲食店経営成功バイブル 1店舗から多店舗展開 23の失敗事例から学ぶ「お金」の壁の乗り越え方』(合同フォレスト)

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