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FCF(フリーキャッシュフロー)とは|計算方法や事例を詳しく紹介

2022.05.15 FCF(フリーキャッシュフロー)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。 経済は日々急激な変化をしながら動いており、企業分析という観点においても、現金の流れである「キャッシュフロー」についての注目度は上がっています。そのため、キャッシュフローという言葉を知っている方は少なくないでしょう。しかし、「フリーキャッシュフロー」についてはあまり詳しく知らないという人もいますよね。 この記事では、「フリーキャッシュフローという言葉を理解したい」「フリーキャッシュフローがどのような意味があるのか知りたい」という方に向けて、キャッシュフローの基礎から説明した上で、使用場面や計算方法、ケースごとの解釈の仕方など幅広く解説していきます。

目次

  1. FCF(フリーキャッシュフロー)とは
  2. FCFの3つの要素
  3. FCFの計算方法
  4. FCFが大きいほど企業の安定性が高い
  5. フリーキャッシュフローの事例
  6. DCF(ディスカウントキャッシュフロー)とは
  7. FCFを効率的に把握するには?
  8. まとめ

FCF(フリーキャッシュフロー)とは

フリーキャッシュフローとは、自由に使えるお金という意味です。正式名称はFree Cash Flow(純現金収支)といい、事業活動を通じて得た資金(キャッシュフロー)の中で自由に使うことのできる額を指します。具体的には、本業で生み出したお金の中から、M&A(合併・買収)や設備購入などの企業投資を行った際の資金を差し引いて最終的に手元に残ったお金のことです。 このお金は、借入金の返済はもちろんのこと、配当などによる株主への還元や将来的な投資に備えて貯蓄(内部留保)などに活用されます。

FCFの3つの要素

では、フリーキャッシュフローを理解するにあたって、まずはキャッシュフローの基礎から見ていきましょう。キャッシュフローは金銭の流れである「収入と支出」を指しますが、具体的に以下の3つの種類があります。
  • 営業活動のキャッシュフロー
  • 投資活動のキャッシュフロー
  • 財務活動のキャッシュフロー
それぞれがどのような意味合いを持つのか、1つずつ見ていきましょう。

営業活動のキャッシュフロー

営業活動のキャッシュフローは、営業活動(商売)によるキャッシュフローで、売上や仕入れ、経費の支払いなど会社の本業でお金をどれだけ稼いでいるかを表します。 3つのキャッシュフローの中でもっとも重要なキャッシュフローとされており、この数値はプラスであることが理想です。プラスになっていれば、本業でしっかりとした業績が出ていて、手元に資金を残している状態ということになります。 逆にマイナスになっている場合は、「売上は立っているけど現金の回収が追い付いていない」「売上不振である」「経費や人件費などのコストが掛かりすぎている」といった状態になっている可能性があるので、原因を明らかにして早急に改善すべく対策を考えなければなりません。

投資活動のキャッシュフロー

投資活動のキャッシュフローは、システム導入や設備投資、企業買収など、将来の事業拡大のためにどれだけお金を使っているのか、投資からどれだけのリターンを回収することができているのかなど、資金を投じる活動に伴ったキャッシュフローのことを指します。 投資キャッシュフローがマイナスになる場合ももちろんありますが、それが将来のことを見据えた積極的な投資が原因であるならば、次期の業績が上向きになることも十分にありえるのです。一方で、設備や株式などを売却した場合は、投資キャッシュフローはプラスになりますが、資産の売却を優先し将来的な目線は持っていないことの表れでもあります。

財務活動のキャッシュフロー

財務活動のキャッシュフローは、出資金の受け入れや金融機関からの借入など、資金調達によるキャッシュフローです。すなわち、どのような資金を調達し、返済をどのように行っているのかを表す数値であるといえます。 例えば、財務キャッシュフローがプラスの場合は、何かしらの形で資金を調達している状態を意味します。ですが、これが毎年プラスで継続している場合には、借りているお金に対して返済が追い付いていない、すなわち負債を抱えているということです。そのため、よほどの成長をしている企業ではない限り、財務活動のキャッシュフローは特に注意して見ておく必要があります。

FCFの計算方法

冒頭で紹介したように、フリーキャッシュフローは本業で生み出したお金の中から、M&A(合併・買収)や設備購入などの企業投資を行った際の資金を差し引いて最終的に手元に残ったお金のことを指します。このことを踏まえると、計算方法は以下のようになります。 営業活動のキャッシュフロー – 投資活動のキャッシュフロー = フリーキャッシュフロー 例えば、営業キャッシュフローが150、投資キャッシュフローが△50の場合の計算式は下記の通りです。 フリーキャッシュフロー = 150 + △50 = 100 つまり、この企業が自由に使うことのできる資金は100ある、ということになります。 また、財務活動のキャッシュフローは使わないのかと思う方もいらっしゃるかと思いますが、企業の財務状況を分析する際に活用するものなので、フリーキャッシュフローの計算には使用しません。資金調達の際に、フリーキャッシュフローとのバランスを見極めるために必要となる指標です。

FCFが大きいほど企業の安定性が高い

経済というものは絶えず変化しています。その中で企業が急激な危機に陥ることも当然ながらありえます。そのときに頼りになるのは、資金を調達してくれる金融機関ではなく手元に残っている資金です。 フリーキャッシュフローがプラスに大きい場合は、十分な資金を手元に持っていることを表します。すなわち、緊急の事態にも耐えられるほどの資金が手元にある、安定性の高い企業であるといえるのです。 そのため、事業活動における1つの目標として「フリーキャッシュフローの最大化」を挙げている企業も珍しくありません。それほどまでに、企業活動において大切な指標であるということです。

フリーキャッシュフローの事例

フリーキャッシュフローについて詳しく解説しましたが、ここからは、フリーキャッシュフローの事例について見ていきましょう。
  • 業績好調な企業
  • 業績が悪い会社
  • 長期的な成長が難しい会社
上記の3つに分けて、それぞれ具体例を紹介していきます。

業績好調な企業

まずは、企業の業績が好調な場合を見ていきましょう。業績が好調な企業は、営業キャッシュフローと財務キャッシュフローがプラスであるパターンが多く、投資キャッシュフローは程よくマイナスとなっています。これにより、本業の営業活動において順調に利益を生み出していることが分かるのです。 そして、営業活動に必要な投資も必要程度に行っており、借入による資金調達をしていた場合でも返済が財政面を圧迫していないことが考えられます。企業経営においては、このケースが最適な形だといえるでしょう。

業績が悪い会社

次に、営業キャッシュフローと投資キャッシュフローがマイナスで、財務キャッシュフローがプラスになっている場合を分析してみましょう。このケースでは、営業キャッシュフローがマイナスになっていることから、本業の営業活動において思うように利益を得られていないと考えられます。 そして、投資キャッシュフローがプラスになっているので、企業投資をしたのではなく設備や資産を売却したのでは、という見立てができます。また、設備や資産を売却したことで現金が得られ、財務キャッシュフローがプラスになっている要因とも推察できるでしょう。 営業キャッシュフローがマイナスになっているため、業績は良くないと考えられます。設備や資産を売却しなければならないほど企業財政の状況が悪い可能性も十分にあり得ます。

業績が悪い会社長期的な成長が難しい会社

最後に、営業キャッシュフローはプラスであり、投資キャッシュフローはゼロ、財務キャッシュフローがかなりのマイナスとなっている場合を分析します。このケースでは、本業の営業活動では利益を得られるが、適度な投資ができていないと推測されます。 また、財務キャッシュフローがかなりのマイナスになっていることから、借入による返済が財政面を圧迫していると考えられるでしょう。したがって、今後も投資を継続するのが困難であることを示し、企業としての成長の可能性は低いといえます。

DCF(ディスカウントキャッシュフロー)とは

DCF(ディスカウントキャッシュフロー)とは、将来的に得ることのできるフリーキャッシュフローを現在価値に直すことで、株式を始め不動産や事業の価値を算出する方法で、割引キャッシュフローともいわれます。この方法は企業価値評価(バリュエーション)の計算方法の内の1つなのですが、ファイナンス理論によって裏付けられていることから、合理的かつ理論的な算定方法といわれています。 すなわち、将来的に得るキャッシュフローを現在の価値に置き換えて企業の価値を評価できるのです。 前提として、DCF法では企業が永久に存続することを前提としています。そのため、キャッシュフローも永久に発生すると考えて割引算出を行います。 とはいえ、それでは現実性に欠けるので、実際は3~5年分程度でキャッシュフローの予測が行われます。それ以降はさまざまな仮定を立てながら計算をしていくのです。

DCFの計算方法

では、具体的にディスカウントキャッシュフローの計算方法について見ていきましょう。以下の4つのステップを経て求められます。
  1. 将来キャッシュフロー(フリーキャッシュフロー)の算出
  2. 割引率の計算
  3. 継続価値の計算
  4. 割引現在価値(ディスカウントキャッシュフロー)の算出
それぞれの工程ごとに解説していきます。 1.将来キャッシュフロー(フリーキャッシュフロー)の算出 フリーキャッシュフローは、上記で解説したように、「営業活動のキャッシュフロー – 投資活動のキャッシュフロー = フリーキャッシュフロー」で計算が可能です。 2.割引率の計算 ここで求めるのはWACC(加重平均資本コスト)で、WACCは資本コストと借入コストを計算し、加重平均することで算出が可能です。計算式は以下の通りになります。 WACC = 資本コスト ×((株主資本 ÷(株主資本 + 負債)) + 負債コスト ×(1 – 実効税率)×((負債 ÷ 株主資本 + 負債)) 3.継続価値の計算 割引率を計算したら、次は継続価値の計算をしていきましょう。さきほど述べたように、キャッシュフローの予測は3~5年分程度で見積もります。 継続価値 = 最終年度のFCF ÷(割引率 – 永久成長率) 4.割引現在価値(ディスカウントキャッシュフロー)の算出 3つのステップが完了したら、ディスカウントキャッシュフローを算出しましょう。ここでは、例として以下の数値で求めていきます。 FCF:1年目3億円、2年目4億円、3年目5億円 WACC : 6.8% 3年目以降の永久成長率:1% 継続価値は、割引率6.8%を用いて以下の計算式で算出できます。 継続価値 = 5億円 ÷(6.8% – 1%) = 86.2億円 最後に、1年目~3年目のFCFと継続価値を割引現在価値にするための計算を行います。 1年目FCF:3億円 ÷(1 ÷(1 + 6.8%))= 2.8億円 2年目FCF:4億円 ÷(1 ÷(1 + 6.8%)^2) = 3.5億円 3年目FCF:5億円 ÷(1 ÷(1 + 6.8%)^3) = 4.1億円 継続価値:86.2億円 ÷(1 ÷ 1 + 6.8%)^3) = 70.7億円 これらを合計したのがディスカウントキャッシュフローで、この例の場合は81.1億円となっています。自社のディスカウントキャッシュフローを計算したいという方は、参考にしてみてください。

FCFを効率的に把握するには?

フリーキャッシュフローやディスカウントキャッシュフローの計算方法について解説しましたが、「計算が大変」「もっと効率的に求められる方法はないのか」と考えてしまう人もいるでしょう。ここでは、フリーキャッシュフローを効率的に把握する方法を2つ紹介します。
  • キャッシュフロー計算書を利用する
  • ツールの使用
それぞれの方法について見ていきましょう。

キャッシュフロー計算書を利用する

キャッシュフロー計算書はビジネスにおいて重要な「財務三表」とされており、貸借対照表や損益計算書などと合わせて、企業の財務管理で活用されている書類です。 キャッシュフロー計算書は現金の流れを効率的に把握するための書類で、現金の増減やその理由が明確に分かります。キャッシュフロー計算書を確認すれば一目でフリーキャッシュフローが把握できるので、フリーキャッシュフローの計算をしたい方は、キャッシュフロー計算書の作成を検討してみるのも良いでしょう。上場企業などでは作成が義務付けられているため、これから上場を目指している中小企業も作成しておくと安心です。

ツールの使用

ビジネスツールを活用してキャッシュフローを計算するという方法もあります。キャッシュフロー計算書作成のサポートを行っているビジネスツールを活用すると、計算書の作成やリアルタイムでの資金チェックがしやすくなるのです。今後継続的にフリーキャッシュフローを確認していきたいと思っている方は、ツールの導入も検討してみると良いでしょう。

まとめ

フリーキャッシュフローは企業が自由に使えるお金という意味で、事業活動を通じて得た(キャッシュフロー)資金の中で自由に使える額のことです。フリーキャッシュフローが大きければ、緊急の事態にも耐えられる資金が手元にある安定性の高い企業といえるでしょう。 企業としては、営業キャッシュフローと財務キャッシュフローがプラスで、投資キャッシュフローは程よくマイナスになっている状態を目指すのが理想といえます。フリーキャッシュフローがプラスだからといってすぐに業績が良いと判断するのではなく、財務活動のキャッシュフローを見ながら適切な状況を分析してください。 その他にも、企業が注目すべき指標にはさまざまな種類があります。スタートアップ企業における事業計画書の作成について下記の資料で詳しく紹介しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。

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監修者

広瀬好伸 株式会社Scale Cloud 代表取締役社長

プロフィール

京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。 起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて600社以上の事業に関わる。 公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。 株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKY社外役員。 成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。 従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。

講演実績

株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。

論文

『経営指標とKPI の融合による意思決定と行動の全体最適化』(人工知能学会 知識流通ネットワーク研究会)

特許

「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)

アクセラレーションプログラム

OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。

取材実績

日本経済新聞、日経産業新聞、フジサンケイビジネスアイ、週刊ダイヤモンド、Startup Times、KANSAI STARTUP NEWSなど。

著書

『飲食店経営成功バイブル 1店舗から多店舗展開 23の失敗事例から学ぶ「お金」の壁の乗り越え方』(合同フォレスト)

note

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