ARPPUとは?ARPUとの違いや計算方法、活用例をまとめて紹介

2022.01.14
ARPPUとは?ARPUとの違いや計算方法、活用例をまとめて紹介

SaaS企業でKPIとして設定されることも多いARPPU。では、そんなARPPUはどのような意味なのでしょうか。

 

この記事では、ARPPUとは何かについて、ARPPUの計算方法や活用方法などと合わせて解説していきます。ARPPUに似ているKPIの指標なども紹介していくので、違いを理解した上で活用していきましょう。

ARPPUとは?

 ARPPUは「Average Revenue Per Paid User」の略で、SaaS企業における重要なKPIになります。具体的には、有料ユーザー1人あたりの平均収益を表す指標です。

 

サブスクリプションサービスのように、無料プランと有料プランの両方が存在する、ほとんどのユーザーに一定の支払いが発生するが料金プランは異なるなどの場合に活用されます。

 

また、 ARPPUに似た言葉としてARPUなどの指標もあるので、どのように違うのか見ていきましょう。

ARPUとの違い

ARPUは「Average Revenue Per User」の略で、有料ユーザーだけでなく無料ユーザーも含めたユーザー1人あたりの平均収益を表す指標です。より簡単に表現すると、サービス全体のマネタイズがどれくらい機能しているかを測る指標です。

累積ARPUとは

累積ARPUはARPUの発展形として示される指標で、一定の期間中にユーザーごとに積みあがっていくARPUの合計値を示したものです。一定期間のLTV(顧客生涯価値)を確認するための指標としても用いることができます。

ARPPUとARPUを使い分けるには

サブスクリプションサービスでは、ARPPUとARPUをどちらもあわせて見ることで、提供するサービスの価格に対するユーザーのリアクションを把握できます。

 

例えば、サービスの内容に充実感がない場合はお金を払ってサービスを使うメリットが少ないため、有料ユーザー数は減少してARPPUは高くなるでしょう。さらに、有料ユーザー数が減少するということは無料ユーザー数が増加、もしくは総ユーザー数が減少するため、ARPUにも変化が生じます。

 

このように、それぞれの状況を見ながらサービスの内容・価格の変更を行い、ARPPUとARPUを使い分けましょう。

 

ARPPUの計算方法

ARPPUについて理解したところで、計算方法について見ていきましょう。ARPPUの計算方法は以下の通りです。

 

ARPPU = サービスの売上 ÷ 有料ユーザーの人数

 

ARPPUは年単位、月単位、日単位と場面に合わせて柔軟に計算できます。今回は月単位で計算する場合を例として、実際に具体的な数値を用いて考えてみましょう。

 

例えば、サービスの売上(1ヶ月あたり)が300万円、有料ユーザー数を2,000人だったとします。このときのARPPUは以下の通りです。

 

ARPPU = 3,000,000 ÷ 2,000 = 1,500

 

つまり、この場合のARPPUは1500円となります。

ARPPUの活用方法

ARPPUを活用する際には、ARPUと一緒に確認していくと良いでしょう。例えば、ARPPUが高いのにARPUが低い場合を例に見ていきます。

 

この状態は、サービスを利用する一部の有料ユーザーが高いプランなどを活用していることからお金が発生しているだけで、無料ユーザーも含めると平均利用金額が下がってしまっています。これは、決して良い状態ではありません。

 

一部のユーザーからしか評価されていないということは、今後そのユーザーが別のサービスに乗り換えてしまった場合に一気に収益が得られなくなってしまいます。

 

有料ユーザーがサービスを継続したくなるように新たなコンテンツを追加するなどの対策を行うのはもちろんですが、無料プランを利用しているユーザーに有料プランの有益性を理解して移行してもらうことが大切です。

 

こういった判断を行う際に、ARPPUが役立つでしょう。

ARPPUを上げる方法

ARPPUを上げる方法は多数存在しますが、SaaSサービスにおいてもっとも簡単な方法は、充実したサービス内容でより価格の高いプランをユーザーに提供することです。

 

例えば、月額料金が異なる複数のプランを用意して、金額が高くなるにつれてグレードの高いサービスを提供します。

 

高い金額を支払っても良いと思えるくらいに便利なサービスがプランに付帯していれば、もともと有料ユーザーだった顧客はよりグレードの高いプランに、無料ユーザーだった顧客は有料ユーザーになる可能性が期待できるでしょう。

 

この方法はある程度お金に余裕のあるユーザーをターゲットにした方法ですが、簡単にARPPUを上げられる方法として有効です。

ARPPUは高すぎても低すぎても良くない

ARPPUが高ければ高いほど、有料ユーザー1人あたりの平均収益が高いということになります。もちろんそのほうが高い売上につながりますが、それは良いことばかりではありません。

 

ARPPUが想定よりも高い場合には、ユーザーの消費がハイペースすぎる可能性があります。つまり、ユーザーが余裕を持って支払える金額よりも高めのプランを利用してしまっていることで、長期間利用できなくなってしまう可能性があるのです。

 

サービスや製品を利用することによる金銭的負担が大きくなってしまうと、サービスや製品そのものの解約につながることもあるでしょう。高いプランを短期間だけ利用してもらうよりも、グレードが低いプランでも長期間利用してもらえたほうが安定した収益を見込めるので、ARPPUが高いのが良いこととはいえないのです。

 

ARPPUは高いから良い、低いから悪いといった判断に活用するのではなく、一定の期間内にユーザーがどの程度サービスに対して支払いを行っているか、変化の様子を測定してサービスの収益状態を把握することに活用しましょう。ARPPUのみですべてを判断せず、前述したようにARPUと使い分けることも重要です。

ARPPUに似ているKPIの指標

ARPPUに似ているKPIの指標としてARPUを紹介しましたが、その他にも似ている指標が複数あります。ここでは、その中から「ARPA」と「AMPU」の2つを解説していきます。ARPPUと、この2つのKPIにはどのような違いがあるのか、具体的に見ていきましょう。

ARPA

ARPAは1アカウントあたりの平均売上金額を示す指標で、売上の基準をアカウントごとに把握する際に重視されます。

 

最近では、スマートフォンを複数所有する、もしくはスマートフォンと一緒に他の端末も契約しているといったユーザーが増加している傾向です。その場合に、使っているユーザーは1人と判断するのがARPU、ユーザーが同じでも使っている端末やアカウントは異なるのでアカウント数で判断するというのがARPAとなっています。

AMPU

企業がユーザー1人あたりから得る粗利を示す数値、つまりユーザー1人あたりの平均粗利を示す指標をAMPUといいます。

 

一般的には、携帯電話事業の業績を測るために用いられる数値です。最近の携帯電話事業は、付加価値の高いサービスの模索、コストの削減、競合他社との差別化成功などを目指す傾向が強いため、AMPUが注目度を高めています。さらに、近年ではSaaSなどのネットサービスにも用いられている指標です。

ARPPUやARPU以外でSaaS企業に導入されやすいKPIとは?

ここまで、SaaS企業で重要視されるARPPUやARPUについて詳しく解説してきました。それぞれの特徴や違いについてはご理解いただけたかと思います。しかし、ARPPUやARPU以外にも、SaaS企業に導入されやすいKPIは複数存在します。

 

この項目では、その中から以下の3つのKPIを紹介していくので、見ていましょう。

 

  • CAC
  • LTV
  • Churn Rate

 

それぞれがどのような役割を果たすのか、詳しく説明していきます。

CAC

CACは「Customer Acquisition Cost」の略称で、顧客獲得単価とも呼ばれています。顧客獲得単価とは、企業が提供する商品やサービスに対して、それを購入・利用してもらうまでにかかった営業・宣伝・広告などのトータルコストです。CACは企業ごとに一定の期間を定め、以下の計算方法で算出することが理想的とされています。

 

CACの計算方法は以下の通りです。

 

CAC = 顧客獲得までにかかったトータルコスト(営業・宣伝・広告etc)÷ 一定期間の新規顧客獲得数

 

LTV

LTVは「Life Time Valueの略称」で、顧客生涯価値とも呼ばれています。顧客生涯価値とは、ある顧客が企業からサービスの提供を受け始めてから終了するまでの期間中に、企業に対してどれだけ収益をもたらしたかを示す指標です。

 

事業の拡大・展開の高効率化・売上の向上が重要視されるようになった現代で、企業における重要KPIとしてLTVが把握されるようになりました。

 

LTVの算出方法は以下の通りです。

 

LTV = 購買単価 × 購買頻度 × 契約継続期間

 

Churn Rate

Churn Rateは、SaaS企業で導入されているKPIの中でも、特に重要視される指標の1つです。日本語で解約率を意味しており、企業の提供する商品・サービスを解約した顧客の割合を示しています。

 

SaaSなどのサブスクリプション型のビジネスモデルでは顧客の解約は付き物ですが、だからこそできるだけ長くサービスを利用してもらって収益を伸ばすのが、企業として大きな目標になるでしょう。

 

Churn Rateを算出することで、サービスの解約につながる原因の分析や把握ができれば、それを防ぐための施策を立案できます。これは解約率を低下させるだけでなく、新規顧客獲得も期待できるでしょう。こういった理由から、SaaS企業で重要視されているChurn Rateは、下記の計算方法で算出します。

 

Churn Rate = 一定期間中に失った顧客数 ÷ 期間当初の顧客数

KPIの管理を効率化するならScale Cloud

KPIを効率的に管理するなら、Scale Cloudをご検討ください。KPIの設定や管理を行う際に多いのが、さまざまなデータがいろんな媒体で保存されていて探すのが大変といった悩みです。しかし、Scale Cloudならバラバラに管理されているKPIデータや財務データを自動で集約・統合して一元管理できるので、必要な情報をすぐに取り出すことが可能です。

 

他にもさまざまな特徴があるので、見ていきましょう。

部署を超えてデータを管理できる

情報は日々更新されていきますが、他部署にいちいち確認しに行くのは大変でしょう。しかし、データを一元管理できるScale Cloudは、部署を超えてデータの管理・共有ができます。常にリアルタイムの情報を参考にしながらKPIを管理できるので、タイムラグなどの心配もなく、最善のアクションプランを組織全体で共通認識にすることが可能です。

予実のズレを把握しやすい

Scale Cloudは、予算を達成するためにもっとも優先すべきKPIや進捗の悪いKPIを自動で通知してくれる機能が搭載されているため、大きな問題が起こる前にリカバリーができます。さらに、予算達成するために優先して改善すべきKPIがレコメンドされるので、改善もしやすいです。

使いやすくてメンテナンスも手間がかからない

BIツールのような専門的なスキルが必要ないので、誰でも簡単に使えて定着しやすいクラウドツールです。また、Excelやスプレッドシートのようにメンテナンスが煩雑になりません。メンテナンスが大変だと業務にも出てしまいますが、Scale Cloudならその心配も必要ないでしょう。

まとめ

ARPPUは有料ユーザー1人あたりの平均収益を表す指標で、SaaS企業における重要なKPIとされています。ARPPUに似た指標としてARPUもありますが、ARPUは有料ユーザーだけでなく無料ユーザーも含めたユーザー1人あたりの平均収益を表す指標です。

 

ARPPUやARPU以外にも、SaaS企業にはさまざまな指標がKPIとして用いられます。企業の成長度合いや事業内容によって最適なKPIは異なるので、自社に合わせたKPIを設定するようにしましょう。KPIの設定・管理を効率的に行いたいという場合には、ぜひScale Cloudをご検討ください。
Scale Cloudに関する詳しい情報を知りたい方は、下記の資料をご参照ください。

 

監修者

広瀬好伸
株式会社Scale Cloud 代表取締役社長

プロフィール

京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて600社以上の事業に関わる。

公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。
株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKY社外役員。

成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。

講演実績

株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。

論文

『経営指標とKPI の融合による意思決定と行動の全体最適化』(人工知能学会 知識流通ネットワーク研究会)

特許

「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)

アクセラレーションプログラム

OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。

取材実績

日本経済新聞、日経産業新聞、フジサンケイビジネスアイ、週刊ダイヤモンド、Startup Times、KANSAI STARTUP NEWSなど。

著書

『飲食店経営成功バイブル 1店舗から多店舗展開 23の失敗事例から学ぶ「お金」の壁の乗り越え方』(合同フォレスト)

Twitter