KPIの週次運用のポイント
2021.07.20
ここではKPIを活用した週次の運用方法のポイントについて書いています。
ただし、 KPIツリーを作っていること、そして、それに沿って予算を作っていることを前提にしていますのでご注意ください。
KPIツリーで週次目標をつくる
KPIの月次運用のポイントに沿って、次の図のように毎月の月次計画がKPIごとに立てられているとしましょう。
このKPIごとの月次計画を達成するための、毎週の週次計画をKPIごとに立てていきます。
たとえば、テレアポ数の月次計画が1,000になっているので、
- 第1週の目標:250
- 第2週の目標:250
- 第3週の目標:250
- 第4週の目標:250
このように4週間で単純に均等割りしてもいいでしょうし、
- 第1週の目標:300
- 第2週の目標:250
- 第3週の目標:250
- 第4週の目標:200
というように、月末は忙しくなるので、月初にできるだけ進めていこうといったようなフロントヘビーな目標にすることもできるでしょう。
同じように、月末にかけて目標値を上げていく方が適切かもしれませんし、休日日などの週ごとの状況に応じて目標値を週単位で変えていくのが適切かもしれません。
そこまで厳密に運用する必要がなければ、先ほどのように均等割りでいいでしょう。
なお、資本KPIはこのように週次の目標値を設定しますが、効率KPIは少し異なります。
たとえば、先ほどのKPIツリーで言えば、アポ率のようなKPIです。
これは月次計画では1%が計画値となっていますが、週次の目標値を設定する上で、テレアポ数と同様に均等割りして、
- 第1週の目標:0.25%
- 第2週の目標:0.25%
- 第3週の目標:0.25%
- 第4週の目標:0.25%
としてしまってはおかしくなりますよね。
もちろん、これを基準に週ごとに若干の変化をつけても同じことです。
あくまで週次の目標値も1%になるはずです。
- 第1週の目標:1%
- 第2週の目標:1%
- 第3週の目標:1%
- 第4週の目標:1%
もちろん厳密には、もしかしたら、
- 第1週の目標:1.5%
- 第2週の目標:1.0%
- 第3週の目標:1.0%
- 第4週の目標:0.5%
というように週ごとに効率は変わってくるのかもしれませんが、これはちょっと厳密すぎかもしれません。
ですので、基本的には、毎週の週次目標は1%でいいと思います。
あとは、KPIの月次運用のポイントの「1 KPIツリーで予算をつくる」と同じように、1つ1つのKPIの目標値を設定して、それらを集計した結果が、月次の計画値になるような落とし所(週次目標)を探っていきます。
なお、以降は、
- 資本KPIは週次で均等割りしたものを週次目標とする
- 効率KPIは月次計画値をそのまま週次目標とする
という前提で進めます。
KPIツリーに沿って進捗を確認する
次の図をご覧ください。
4月6日の週次会議だとします。
KPIごとの、4月1日から4月5日までの累計実績が「週次実績」の列の数値です。
その右の「当初計画」の列が、4月の月次計画です。
さらにその右の「差異」「達成率」は、当初計画に対する週次実績の差異と達成率です。
まだ4月の第1週なので、差異や達成率が大幅に未達成になっているのは当然です。
ただ、KPIごとの進捗状況は確認できます。
先ほどの「1 KPIツリーで週次目標をつくる」の最後で書いた前提でいくと、たとえば、テレアポ数は資本KPIなので、第1週の週次目標は2,500社( = 10,000 ÷ 4 週間 )で、目標通り進んでいたとすると、その達成率は25%( = 2,500 ÷ 10,000 )になるはずです。
しかし、進捗状況としては、テレアポ数の達成率は20%となっているので5%、つまり、500社( = 10,000 × 5 % or 2,500 – 2,000 )遅れている(進捗が悪い)ということになります。
一方、効率KPIの方はどうでしょうか。
こちらは、月次計画の数値をそのまま週次の目標値にしましょう、という前提でした。
たとえば、成約率は効率KPIなので、第1週の週次目標は25%となります。
しかし、達成状況としては、第1週の成約率の実績は23.1%だったので、1.9%未達成ということになります。
つまり、
- 資本KPIは達成率25%であれば目標通りの進捗
- 効率KPIは達成率100%であれば目標通りの進捗
ということになります。
このようなポイントを踏まえて、順に見ていきましょう。
- KGIの売上(資本KPI)については、達成率23.1%なので進捗が1.9%悪い。
- その原因としては、(1階層下に降りて)顧客単価(効率KPI)は問題ないので、顧客数(資本KPI)の達成率が23.1%になってしまっていることが原因。
- その原因としては、(さらに1階層下に降りて)商談数は問題ないので、成約率が計画対比で1.9%低いことが原因。
あとは、進捗が悪い原因とその改善策を議論して、決めて、実行しましょう。
以上、進捗状況が悪いKPIについて書いてきましたが、時間的に余裕があれば、進捗状況が良いKPIについても、原因を解明して、その後も継続的にそれが実現できる方法をチーム内で共有するということをしてもいいでしょう。
また、あるKPIの進捗状況が良かったとしても、それより下の階層のKPIを見れば、いい面と悪い面が見えてくる場合もあります。
たとえば、先ほどの例でいえば、
- 商談数の進捗状況は問題ないものの、1階層下に降りて見てみれば、リード数(資本KPI)の達成率が24.4%なので若干進捗が悪いものの、商談化率(効率KPI)が計画対比で0.33%高いことでリカバリーしている。
- リード数の進捗が若干悪い原因としては、(さらに1階層下に降りて)Webリード数(資本KPI)の達成率は25.8%なので進捗状況としては良好だが、テレアポリード数(資本KPI)の達成率が20%なので計画対比で5%遅れてしまっている。
- その原因としては、(さらに1階層下に降りて)アポ率(効率KPI)は問題ないので、テレアポ数(資本KPI)の達成率が20%で、計画対比で5%遅れてしまっていることが原因。
- 一方、Webリード数は問題がないように見えたけれども、さらに1階層下に降りて見てみれば、CVR(効率KPI)の達成率が93.3%となっているので計画対比で0.67%低くなってしまっているのを、クリック数(資本KPI)の達成率が27.3%となっていて進捗の標準値25%を2.3%上回っていることでリカバリーしている。
というようなことがわかってくるので、同様に進捗が悪い原因とその改善策を議論して、決めて、実行していく必要があります。
KPIツリーに沿って着地見込を作る
次の図をご覧ください。
先ほどは、4月5日までの累計実績データについての過去に関するお話しでしたが、次は未来に関するお話しです。
先ほどと同様、4月6日の週次会議だとします。
KPIごとの、4月5日時点における4月末の着地見込が「見込」の列の数値です。
その右の「当初計画」の列が、4月の月次計画です。
さらにその右の「差異」「達成率」は、当初計画に対する着地見込の差異と達成率です。
この着地見込は、「2 KPIツリーに沿って進捗を確認する」で書いた4月5日までの実績の進捗状況を勘案して、4月6日以降のアクションプランや予測などを踏まえた上で、4月末の予測をします。
まず、実績の進捗状況と着地見込の関係性に無理がないかどうか、しっかりとしたアクションプランがあるかどうかを検討します。
たとえば、
- 成約率の第1週目の実績が達成率92.4%だったが、着地見込は102.4%にまで伸びているのは、どのような改善策があってのことか?そこに無理がないか?
- クリック数は第1週目の実績が進捗率27.3%で、週次目標25%を上回るペースであったのに、着地見込は逆に計画を下回って達成率95.5%になってしまっているのはなぜか?
また一方で、
- テレアポ数の第1週目の達成率が80%(標準的な進捗率25%に対して実績が20%だったので、 20 % ÷ 25 % = 80 % の達成率)であったのに対して、着地見込の計画対比の達成率は90%なのでリカバリーできているが、まだ3週間あるので、達成率100%になるようなリカバリー策はないのか?
といった見方もできます。
着地見込が、ただの数字遊びになってしまっては、次にやることに意味がなくなってしまうので注意が必要です。
では、次にやることは、着地見込と計画との差分に対して、月内、残りの日数でどのようなアクションをしていくかを議論して実行することです。
先ほどの図で考えてみましょう。
- 売上の未達成見込が1,000千円となっています。
- その原因は、顧客単価は計画通り1,000千円の見込だが、顧客数の着地見込が64社で、計画65社に対して未達成見込1となっていることです。
- ではその売上の未達成見込1の原因はというと、成約率の着地見込25.6%は計画25%を上回っていますが、商談数の着地見込250が計画258を下回っていることが原因です。
- 商談数の未達成見込8の原因は、商談化率の着地見込31.6%は計画30%を上回っていますが、リード数の着地見込790社が計画860社を大きく下回っていることが原因です。
- その内訳をみると、テレアポリード数もWebリード数も未達成の見込です。
- テレアポリード数については、アポ率の見込は問題なさそうですが、テレアポ数が着地見込9,000社に対して計画10,000社なので大きく未達成見込です。
- 一方、Webリード数については、CVRもクリック数も若干ずつの未達成見込です。
このようにKPIツリーに沿ってどんどん掘り下げながら、計画の未達成原因をはっきりさせていきます。
その上で、各未達成見込のKPIごとに、
- なぜ未達成見込なのか
- どのように改善・リカバリーしていくのか
を議論していきます。
たとえば、
- テレアポ数の着地見込が9,000で、計画10,000に対して1,000足りない見込なので、残り24日でどのようにリカバリーできるか?
という議論を行い、アクションプランを考えて実行するといった具合です。
ここでのポイントとしては2つあります。
1.着地見込の精度をあげる
そもそもの着地見込の精度が低ければ、計画との差分を出しも、その差分自体の不確実性が高すぎるので、その差分を解消するための議論の有効性が低くなってしまいます。
これについては後述します。
2.すべてのKPIについて確認する
たとえば、先ほどの例で言えば、仮に商談数の着地見込が計画を上回っていたとします。
その際、それ以上、KPIツリーを掘り下げて、それより下のKPIの分析をしない、ということもありえますが、できたら、深掘りしていっていただければと思います。
なぜなら、あるKPIの着地見込が計画を上回っていたとしても、さらに深掘りすれば、達成しそうなKPIと未達成になりそうなKPIが出てくる可能性はとても高く、その場合、その未達成になりそうなKPIについても同様の議論をしていくことはとても有効だからです。
つまり、顧客数の実績が良かったからといってそれで終わらないことが大切です。
KPIツリーに出てくるすべてのKPIについて、計画に対して着地見込がどうなのかという分析をしていきましょう。
以上のように、
- 今の進捗を踏まえ、改善策も織り込んだ上で、月末の着地見込を出す。
- その着地見込と計画との差分(特に足りないところ)をはっきりさせる。
- その差分を月末までの残りの日数でどのようにして解決、リカバリーして、月次計画を達成するかを考えてアクションする。
を毎週繰り返していきます。
着地見込の振り返りをする
先ほどの通り、そもそもの着地見込の精度が低ければ、計画との差分を出しも、その差分自体の不確実性が高すぎるので、その差分を解消するための議論の有効性が低くなってしまいます。
この運用の有効性を高めるためには、着地見込の精度をあげることが欠かせません。
その方法については各社各様なので一概には言えませんが、各社共通でぜひやっていただきたいことは、「着地見込の精度が高かったのか低かったのかの振り返りをすること」です。
先ほど書いたような、
- 今の進捗を踏まえ、改善策も織り込んだ上で、月末の着地見込を出す。
- その着地見込と計画との差分(特に足りないところ)をはっきりさせる。
- その差分を月末までの残りの日数でどのようにして解決、リカバリーして、月次計画を達成するかを考えてアクションする。
というルーティンを、大なり小なり、毎週行っている会社は多いです。
しかし、その「振り返り」をしている会社は意外と少ないようです。
つまり、着地見込を出しっぱなしになっていて、その見込の精度が高かったのか低かったのかの検証がなされていないことが多いです。
次の図をご覧ください。
ここの着地見込は、先ほどの4月6日週次会議における予測の数値です。
つまり、4月5日時点における各KPIの4月末の着地見込です。
この時の着地見込の精度がどうだったのかを振り返ってみましょう。
4月が終わり、4月の実績が確定したとします。
上の図の着地見込の右の列はその4月実績値で、その右に着地見込と実績との差異及び達成率を出しています。
今まで同様、KPIツリーに沿って上から順に見てみましょう。
- 売上は、着地見込64,000千円に対して実績66,000千円だったので、2,000千円(3%)のズレが生じています。
- その原因としては、顧客単価は着地見込通りの実績だったので、顧客数のズレが2社あることです。
- 顧客数2社のズレの原因としては、成約率がほぼ着地見込通りの実績だったので、商談数のズレが10社あることです。
- 商談数10社のズレの原因としては、リード数が着地見込通りの実績だったので、商談化率のズレが1.3%あることです。
このように、KPIごとに着地見込と実績を比べながら。着地見込の精度が高かったのか低かったのかを検証します。
その上で、
- 商談化率のズレはどうして起こったのか?
- その原因は何で、今後の着地見込の精度向上にどのように生かしていくのか?
を議論しましょう。
また、ここでも先ほどと同様、リード数の分析結果が良かったからといって、そこで終わらないようにしましょう。
さらに深掘りしていけば、
- リード数の実績は着地見込通りだったが、その内訳としては、テレアポリード数は着地見込190社に対して実績230社なので40社上振れており、一方のWebリード数は着地見込600社に対して実績560社なので40社下振れている結果、両者が相殺されてリード数の実績が着地見込通りになった。
- テレアポリード数については、アポ率の実績は着地見込通りとなったが、テレアポ数が着地見込に対して大幅に上振れた。
- Webリード数については、CVRの実績は着地見込み通りとなったが、クリック数が着地見込に対して大幅に下振れた。
ということがわかります。
KPIツリーに出てくるすべてのKPIについて、着地見込に対して実績がどうだったのかという分析をして、今後の着地見込の精度向上に取り組んでいきましょう。
また、先ほどの例は、4月6日週次会議を前提にしていますが、4月13日週次会議、4月20日週次会議、4月27日週次会議と、週を追うごとに着地見込の精度は上がっていくはずで、そのようになっているかを時系列を追いながら検証していくとなお良いでしょう。
繰り返しになりますが、基本的には週を追うごとに着地見込の精度が上がっていき、最終週の週次会議での着地見込はおおよそ実績通りになっていることが理想的です。
週次会議を効率化する
毎週の週次会議で、先ほどのようにKPIツリーに沿って進捗確認しながら着地見込を確認し、計画に対して未達成になりそうなKPI中心に、改善策やリカバリー策を議論し、決定します。
その会議で、こういったやりとりはないでしょうか?
管理部長)
今の売上の着地見込は64,000千円となっていて、計画65,000千円に対して1,000千円未達成になりそうです。
その原因は、テレアポ数の進捗状況が悪く、今のところ、着地見込も9,000社で、計画10,000社に対して1,000社も未達成になりそうであることが大きな原因の1つです。
社長)
営業部長、テレアポ数の進捗状況が悪い原因は何だ?
営業部長)
・・・(考え中)・・・
おそらく、先月からずれ込んだ商談に、日中時間を費やしてしまっていて、テレアポに時間を費やせていないんだと思います。
管理部長)
しかし、商談数の進捗が上振れているというわけではなく、おおよそ予定通りなので、その他の理由があるのではないでしょうか?
営業部長)
・・・(考え中)・・・
もう一度詳細を確認します。
社長)
その上で、原因と対策を再度考えて報告してくれ。
このようなやりとりになってしまっていませんでしょうか?
問題点をいくつかピックアップしてみましょう。
- 社長に原因を聞かれてから営業部長がその場で考えているため、その考えている間、他のメンバーは待っていないといけないので時間がもったいない。
- 原因を聞かれてその場で考えているため、推測で話してしまって、事実に基づかない正しくない原因を報告してしまっているかもしれず、そうだとすると、出席メンバーの中で誤った共通認識ができてしまって、誤った経営判断をしてしまう恐れがある。
- 原因があやふやだったので、せっかく主要メンバーが集まっているのに、対策について議論したり、今後のアクションプランについて意思決定したりできなかった。
このようになってしまう大きな原因としては、
- 今月の売上着地見込が1,000千円の未達成になりそうで、その原因の1つにテレアポ数が大幅に1,000社も未達成になりそうであることを営業部長はその会議に出席して初めて知った。
ということが挙げられます。
その場で初めて知って、その場で問いただされ、その場で答えざるを得なかったので、先ほどのような問題が起きやすくなります。
その対策としては、KGIの達成状況と、それに伴う各KPIの達成状況を、会議の事前に全出席者が認識して、自らが責任を負っているKPIについて、
- 達成しているならばその原因
- 未達成ならばその原因と今後の対策
を事前に事実データを確認しながら考え、準備した上で会議に臨むことです。
また、毎週の週次会議ではこのようなことも起こってないでしょうか?
社長)
先週、テレアポ数のリカバリー策をいくつか決めたと思うけど、何だったっけ?
営業部長)
1つは●●で、もう1つは●●で、あともう1つは、たしか、●●だったと思います。
社長)
そうか、、もう1つくらいあったような気がするけど、なかったっけ?
「たしか」というのがちょっと曖昧で心配になりますよね。
「他にもあった気がする」というのも気持ち悪いままですよね。
もしくは、このような会話はないでしょうか?
社長)
たしか、半年くらい前に、テレアポ数が計画を大幅に上回った時があた気がするんだけど、いつだったっけ?
営業部長)
えーっと、そうですね、ありましたね。いつだったでしょう・・・
社長)
あれは何でだったっけ?
営業部長)
たしか・・・
先ほどの例であれば先週の話なのでまだ記憶にあるかもしれませんが、この例のようにさらに過去のことになり、それが6ヶ月前にもなってくると、さらに曖昧になってしまいます。
このような曖昧な状況の中で議論を進めたり何かしらの意思決定をするのはちょっと危険かもしれません。
もっと問題なのは、そもそも先週(または過去)の振り返りがなされないまま、今週の議論が進んでいってしまうことです。
こういったことが常態化すると、議論しっぱなり、言いっぱなし、決めっぱなし、になってしまって、PDCAがうまく回らなくなってしまう恐れがあります。
そこでぜひ議事録を取っておきましょう。
- KPIごとの達成・未達成の原因と対策
- KPIごとに取り組んだ内容とその結果
といったことをしっかりと残しておくことでノウハウがしっかり蓄積されていくはずです。
そして、
しっかりと振り返りをしながら議論を進めることを徹底する
ことで、チームとして、会社として、しっかりとPDCAを回していくことができます。
部門間の連携を密にする
- 個人個人のKPIは結構達成しているけど、チームとしてのKGIが達成できていない。
- チーム・部門としてのKPIは結構達成しているけど、事業全体のKGIが達成できていない。
というようなことはありませんか?
たとえば、
- 営業チーム内の、AさんとBさんはKPIを達成しているけど、Cさんは達成できてなくて、チーム全体の売上目標は未達成になってしまった。
- マーケティングチームとインサイドセールスチームのKPIは達成しているけど、フィールドセールスチームのKPIが達成できず、事業全体の売上目標が達成できなかった。
といったような状況です。
ビジネスの現場においては、セールス・マーケティング・経営管理など、部署ごとにKPIを個別に管理していて、部署ごとの部分最適な経営になってしまっているケースが多く見受けられます。
- セールスチームは、SFA(営業支援システム)やエクセルなどを使って営業のKPIを追いかけている。
- マーケティングチームは、MA(マーケティング支援システム)、GoogleAnalytics、スプレッドシートなどを使ってマーケティングのKPIを追いかけている。
- 経営管理チームは、財務会計システムや予算管理システムを使って会計データや予算データの管理をしている。
次の図で考えてみましょう。
この時点の着地見込だと、リード数が計画に対して70社足りない見込です。
内訳を見ると、インサイドセールスチームのテレアポリード数は10社、マーケティングチームのWebリード数は60社、それぞれ足りない見込です。
それぞれのチームが部分最適なマネジメントを行なって、それぞれの目標値(インサイドセールスチームは計画200社、マーケティングチームは計画660社)だけを追いかけてしまったとしましょう。
両チームともに最善を尽くし、結果として、インサイドセールスチームは計画通りにテレアポリード数を獲得できたけれども、マーケティングチームは挽回はしたもののWebリード数は30社の未達成に終わったとします。
そうなると結局、リード数というKPIは達成されていないままです。
その結果、フィールドセールスへのリード供給量が計画通りにいかず、最終的に当月の売上(KGI)は計画に対して未達成になってしまったとします。
これが、それぞれのチームが、それぞれのチームの目標ばかりを追いかけてしまった結果です。
つまり、部分最適なマネジメントの弊害です。
ではどうすれば良いでしょうか?
大切なことは、すべてのチームが、部分最適ではなく全体最適な目線で考え、行動するということです。
たとえば、
- インサイドセールスチームに少し余裕があるのであれば、計画よりも30社多くテレアポリードを獲得することで、マーケティングチームをリカバリーして、全体としてのリード数の目標を達成しよう。
- インサイドセールスチームにも余裕がないので、リード数が計画未達成になりそうなことを踏まえた上で、フィールドセールスの方で成約率や顧客単価を計画よりも上振れさせる施策を考えよう。
といった具合に、チームを横断して、協力し合いながら、最終目標である売上を全チームで達成するということが重要です。
繰り返しになりますが、部分的なKPIが達成されていたとしても、最終的なKGIが達成できていなければ、結果としては「目標未達成」です。
それを、全チームの全員が意識する必要がありますし、意識するだけではなく、先ほどの図のように、全チーム状況、事業全体の状況が、全チームに共有されていて、共通認識が持てる状態を作っておくことが大切です。
つまり、
- 各部署のKPIを集めてKPIツリーとしてまとめる
- 各部署が自部署のKPIだけではなくKPIツリーを使って全体のKPIの状況を理解する
- 全体の目標を達成するために部門横断的にリカバリー策を考えて行動する
ことが大切ですね。
全部署の全員が、KGIという同じ目標に向かって連携し合いながら、全員で目標を達成していくことが重要です。
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監修者
広瀬好伸
株式会社Scale Cloud 代表取締役社長
プロフィール
京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて600社以上の事業に関わる。
公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。
株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKY社外役員。
成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。
講演実績
株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。
論文
特許
「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)
アクセラレーションプログラム
OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。