スタートアップ企業が失敗する理由TOP3、失敗しないための方法とは
2022.01.26
現代では誰でも簡単に起業できるようになりましたが、必ずしもうまくいくとは限りません。スタートアップ企業は生存率が低く、失敗してしまう企業も多い傾向です。では、失敗の理由にはどんな内容が挙げられるのでしょうか。
この記事では、スタートアップ企業が失敗する理由TOP3から失敗しないための対策まで、詳しく紹介していくので、ぜひ参考にしてください。
スタートアップ企業が失敗する理由TOP3
まだ世に出ていない新たなビジネスモデルを開発する企業のことを、スタートアップ企業といいます。誰もが簡単に起業できるようになった現代では、ユニークな事業や画期的なアイディアをビジネスとして行っていきたいと思ったら起業できますが、実際に事業を成功させて企業として成長しているのは一握りです。
生存率が低いスタートアップ企業は、どのような理由で失敗しているのでしょうか。ここでは、スタートアップ企業が失敗した理由TOP3について詳しく解説していきます。
- 市場ニーズがない
- 資金不足
- 組織のマネジメントができていない
その他の理由についても紹介していくので、見ていきましょう。
市場ニーズがない
自分ではユニークで画期的なアイディアだと思っても、市場ニーズがなければもちろん事業は成功しません。特に、スタートアップ企業はビジネスモデルの開発から始めるので、市場ニーズの有無を判断することが難しいです。無駄な努力を続けて、最終的に失敗に終わったという事例も多数存在します。
そうならないためにも、思い付きだけで行動するのではなく、ある程度の計画性を持って顧客目線で考えることが重要です。
効果的な方法として、自分やともに起業したメンバーの意見だけではなく、第三者の意見も取り入れることをおすすめします。先にスタートアップ企業を設立して成功した人、スタートアップ企業への投資経験がある投資家は、有益な情報と知識を提供してくれるはずです。
資金不足
資金不足はスタートアップ企業の失敗理由として2番目に多くなっています。どんなに魅力的な商品・サービスを提供している企業でも、設立当初は売上を伸ばすのが難しく、資金が減っていく日々が続くものです。
手持ちの資金が少なくなってきた場合には資金調達を行う必要がありますが、スタートアップ企業の場合は資金調達できるほどの業績と将来性がありません。資金不足が続き、オフィスの家賃や光熱費などの固定費、社員に対する給料も払えなくなったとなれば、倒産の選択を取らなければいけない場合もあるでしょう。
こうならないために、会社を設立する段階で余裕を持った資金を準備し、売上が伸びなかったときの対策まで考えておくことが重要です。
組織のマネジメントができていない
創設当時のメンバーが不適だと、組織のマネジメントがうまくできないという企業も少なくありません。組織のマネジメントができないと適切な事業運営が難しい状態となり、失敗につながります。
どういった事業を展開するかによって必要なマネジメントは異なりますが、適切なメンバー編成で事業を展開・拡大することが成功のポイントです。途中で事業の主力メンバーが抜けてしまった場合は、新たな人材を調達する、体制を見直すなど適切な行動を取りましょう。
組織のマネジメントをうまく行うためには、専門的な知識を持つ人やビジネスを成功させた経験がある人からアドバイスをもらうと良いです。
その他の理由
スタートアップ企業の失敗理由TOP3は、「市場ニーズがない」、「資金不足」、「組織のマネジメントができていない」の3つが挙げられますが、他の理由で失敗した企業はもちろんたくさんあります。その他の理由としてどんなものがあるのか、詳しく見ていきましょう。ここでは、以下の3つの理由について解説していきます。
- 競合企業に負けた
- 価格設定を間違えた
- ビジネスモデルがない
これらの理由にも注意すべきなので、しっかり確認して参考にしてください。
競合企業に負けた
新たなビジネスモデルの開発というと、競合企業が一つもないというイメージがあります。しかし、知らないだけで先に同じ事業内容で起業した会社があった、大手企業が新規事業として同じような事業を始めたなど、競合企業が存在する可能性もあるでしょう。
先に起業した会社が事業を軌道に乗せたことで事業競争に負けた、大手の信頼であっという間に新規事業が普及したとなれば、戦うのが難しくなります。しかし、自分の会社にしかない魅力があって、それを全面的にアピールできるのであれば、まだ成功の可能性はあるでしょう。競合企業が出てきた場合は、慌てず冷静に戦略を考えることが重要です。
価格設定を間違えた
スタートアップ企業にとって、価格設定は今後の成功を左右するポイントになります。ある程度の売上を狙いたいから、価格を高く設定したいという人も多いでしょう。しかし、顧客の目線で考えて、手に取りたいと思うような価格でなければ当然売上は伸びません。逆に、低価格で提供できても、そこに至るまでの支出を超える売上にならなければ売上はマイナスです。
多くのスタートアップ企業は、提供するサービスや商品自体の価格ばかり考えてしまいます。ですが、固定費や広告宣伝費、人件費を削ることで資金の流出を抑えて、価格の様子を見るというのも一つの手段です。
この方法を取れば、一度失敗してもまだ資金が残っているので、立て直せる可能性があります。価格設定以外の支出などにも目を向けながら、柔軟に考えましょう。
ビジネスモデルがない
ビジネスモデルがないと、中長期的なビジネスプランが立てにくい、課題に対してどのような対処を取るべきか分からないといった問題が発生しやすいです。具体的な対処を取れないまま倒産し、結果的に失敗してしまった事例も数多く存在します。
ビジネスモデルがない中で成功していくなら、類似の事例を探す、優秀な人材がモデルケースを作るなどといった方法を取ると良いでしょう。
クローズしてしまった海外のスタートアップ企業の事例
スタートアップ企業が失敗する理由について解説しましたが、ここからはクローズしてしまった海外のスタートアップ企業の事例を3つ紹介します。他の企業のクローズ原因を分析することで、自分で起業する際に同じ失敗をしないように対策ができるでしょう。
ARGYLE
BtoBマーケティングを支援する、ソーシャルメディアツールの提供を行っていたARGYLE。2010年から2014年の4年間事業を継続した後にクローズしました。
クローズ理由としては、資金不足により必要人員が確保できなかった、大手競合他社と渡り合えるほど競争力がなかった、などが挙げられます。また、ソーシャルメディアツールとして致命的なポイントとして、大手SNSのAPI使用の変更に対応できなかったなどの理由もありました。
この企業のクローズ理由は、前項で説明したスタートアップ企業が失敗する理由に該当する部分が多いので、典型的な事例ともいえるでしょう。
OPTIER
企業向けに顧客との取引をモニタリング・分析するクラウドソフトの提供を行っていたOPTIER。2005年から2014年の9年間事業を継続した後にクローズしました。
スマートフォンの爆発的な普及でモバイルベースのアプリが主流となったことで、顧客のトレンドをさまざまな媒体から集めなくてはいけなくなりましたが、OPTIERでは顧客のトレンドを収集する対応に遅れたことなどが失敗の理由として挙げられます。
その他にも、企業への浸透率が低かった、同じようなサービスをOPTIERのシステムより早く処理できる会社が出現した、などもクローズの理由です。
クローズした時期を見ると、急速な技術開発や新しいシステムが多数登場した時期と重なるため、こういった時代背景も原因の一つと考えられます。
RDIO
検索やシェア機能に力を入れた音楽配信サービスを提供していたRDIO。2008年から2015年の7年間事業を継続した後にクローズしました。
クローズの理由として、広告なしの有料月額プランのみを提供していたことで広告ありの無料ストリーミングサービスの拡大に押された、適切なマーケティングができず在籍人材に問題があった、システムデザインにこだわりすぎてその他の面に目を向けられなかったなどが挙げられます。
無料ストリーミングサービスに関しては、広告ありの無料ストリーミングサービスにも挑戦しましたが、他のサービスがすでに浸透していたことで軌道に乗らなかったようです。乗り遅れてしまうと、先に提供していたサービスよりも優れている、もしくは独自性があるようなサービスでなければ勝つのが難しいので、顧客のニーズなども把握しながらサービスを提供しましょう。
スタートアップ企業が失敗しないためには
ここまで、スタートアップ企業が失敗する理由や実際の事例を紹介してきました。では、そのような失敗をしないためにはどうすれば良いのでしょうか。ここからは、失敗しないための対策を3つ解説していきます。
- 複数リスト①
- 複数リスト②
- 複数リスト③
一つずつ詳しく見ていきましょう。
市場ニーズを把握する
スタートアップ企業で事業を成功させるためには、市場ニーズを把握して人々が必要とするサービス・商品を提供することが重要です。市場ニーズを把握するためには、下記の4つの分析方法を活用すると良いでしょう。
- 複数リスト①
- 複数リスト②
- 複数リスト③
それぞれの分析方法について解説していきます。
3C分析
Customer(市場・顧客)、Company(自社)、Competitor(競合)の分析を総称して3C分析といいます。
外部環境の市場・顧客と競合、内部環境の自社を分析の対象とすることが可能で、事業計画やマーケティング戦略を決定する際に用いられる手法です。それぞれの分析によって成功要因の発見につながり、スタートアップ企業の進むべき方向性を明確にできます。
PEST分析
Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の分析を総称してPEST分析といいます。
この4つはすべて自社を取り巻く外部環境であり、これらが現在または将来どのような影響を与えるか、把握・判断するための分析です。主に、経営戦略や海外戦略の策定、マーケティングを行う際に活用されます。
SWOT分析
Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4つの頭文字をつなげ、それぞれの分析を行うことをSWOT分析といいます。
この分析を行うことで、内部環境と外部環境両方のプラス要因・マイナス要因を分析し、今後の戦略やビジネス機会を導き出し、課題を明確にすることが可能です。スタートアップ企業においてこれらは重要なことであり、失敗を未然に防ぐことにもつながるでしょう。
ファイブフォース分析
競合各社や業界全体の状況と収益構造を明らかにし、自社の利益の上げやすさを分析するフレームワークが、ファイブフォース分析です。フォースとは日本語にすると「脅威」という意味になります。
つまりこの分析を行う目的は、自社が晒されている脅威を明確にし、競争優位性を探ることです。また、未経験の業界や新規参入市場での収益性の検討にも役立つため、スタートアップ企業に最も必要な分析といっても過言ではありません。
資金を無駄にしないために予実管理を行う
資金を無駄にせずに売上が上がるまで会社を持たせるには、予実管理を行うと良いでしょう。予実管理は、企業が予算と実績を管理することです。予算と実績を把握することで、企業が設定した経営目標を達成できるかをある程度判断できます。
もし、目標の達成が難しそうな場合には予実管理データを分析して問題点を透明化し、改善に向けた取り組みを始めましょう。スタートアップ企業の場合は課題を早急に発見しなければ、気付いたときに手遅れになっている場合もあります。数字という目に見える形で経営状況・財政状況を判断することができる点が予実管理の大きな特徴です。
組織をマネジメントする
スタートアップ企業が失敗する理由TOP3でもマネジメントに関する項目がありましたが、スタートアップ企業においてマネジメントはとても重要です。
そもそもマネジメントとは、企業の資金や事業のリスクを管理することで組織が活動する上での効果を最大化するための手法です。組織マネジメントでは、「人材」、「資金」、「商品(サービス)」、「情報」の4つの点を重視する必要があります。これらを有効に活用することで、組織効率を最大限高められるのです。
マネジメントを適切に行うためには、KPIやKGIを設定すると良いでしょう。KGIは企業が掲げる最終目標で、KPIはKGIを達成するための中間目標と考えると分かりやすいです。KGIやKPIを設定することで企業の方針が明確化して、行うべきタスクを効率的に進められます。
まとめ
ここまでスタートアップ企業の失敗理由、失敗しないための対策について詳しく説明してきました。思いついたアイディアから誰でも簡単に起業できる時代で、多くのスタートアップ企業が市場に参入しています。しかし、そんな多くのスタートアップ企業の中で生き残れるのはほんの一握りです。
一握りのスタートアップ企業の中に入るためには、市場ニーズの把握、予実管理、組織のマネジメントが重要となります。
KPIを設定すると、市場ニーズの把握や組織のマネジメントをスムーズに進めやすくなるので、ぜひ活用してみましょう。予実の精度も高められるので、ぜひ下記の資料を参考にKPIを取り入れてみてください。
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監修者
広瀬好伸
株式会社Scale Cloud 代表取締役社長
プロフィール
京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて600社以上の事業に関わる。
公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。
株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKY社外役員。
成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。
講演実績
株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。
論文
特許
「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)
アクセラレーションプログラム
OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。