ユーザーローカルではどんなKPIを重要視している?主なKPIを紹介
2022.08.17
KPIを設定したいけど自社に適したKPIが分からないという方もいるのではないでしょうか。そういった際には、自社と似たビジネスモデルの会社や企業規模が近い会社を参考にしてみると良いです。
この記事では、ユーザーローカルの会社概要や事業内容、主なKPIなどをまとめて解説していきますので、ぜひご覧ください
ユーザーローカルの会社概要
会社名 | 株式会社ユーザーローカル(User Local, Inc.) |
所在地 | 〒141-0032 東京都品川区大崎2丁目11番1号 4階 |
代表取締役 社長 | 伊藤将雄 |
設立 | 2005年9月 |
ユーザーローカルの事業内容
ユーザーローカルでは、ビッグデータ分析システムの研究開発、人工知能チャットボットの運用など、さまざまな事業を行っています。ここでは、代表として下記の4つの業務内容について詳しく解説していきます。
- User Insight
- Social Insight
- Media Insight
- AIチャットボット
その他にも、AIテキストマイニングやAIコメントシステム、画像認識などのサービスを提供していますが、ここでは上記の事業内容を見ていきましょう。
User Insight
User Insightは、サイトの流入数やCVRを改善することでサイトの価値を最大化させるアクセス解析ツールです。
上位表示されているサイトやユーザーが求めている情報を分析してユーザーの動きを可視化し、サイトの改善点を抽出していきます。これによって、より効率的にアクセス解析とUI/UXの改善ができるようになるのです。メディア、EC、広告、SaaSなどのさまざまな場面で役立つツールといえます。
さらに、User Insightは通常のアクセス解析だけでなく、 ヒートマップによるユーザー行動の可視化も可能です。 PC・スマホ・タブレットユーザーの分析にも対応しており、幅広い媒体が使用されている現代においておすすめのアクセス解析・UI/UX改善ツールです。
Social Insight
Social Insightとは、SNSユーザーのリアルタイムな動向を把握できる解析ツールです。ツールの特徴としては、RTキャンペーン・ハッシュタグキャンペーンの自動化、複数のSNSアカウントへの予約投稿、投稿までの承認フローの管理、SNSアカウントの一括比較、キャンペーンの反響調査などが挙げられます。
利用できる主なSNSの種類は、Twitter・フェイスブック・Instagram・TikTok・LINE・YouTubeなどです。
個人や法人のメディアにアクセスをしてくるユーザーの年齢・性別・地域などを把握して解析できるだけではなく、ユーザーの興味やアクセス状況なども可視化できます。ユーザー1人1人を深読みすれば効果的なマーケティングの実現につながるため、Social Insightは近年のデジタルマーケティングには欠かせないツールといえるでしょう。
Media Insight
Media Insightとは、ニュースサイトなどのメディア運営に特化した記事コンテンツ分析ツールです。自社や競合の記事へのSNSでの反響を数値で自動集計、検索・SNS・ニュースアプリなどのチャネル別の流入数調査、SNS反響とPVの相関の分析、記事コンテンツそのものの分析などが可能で、さまざまな利用方法があります。
新聞社やテレビ会社、出版社、人材派遣会社など、さまざまな分野で活用されているサービスです。
AIチャットボット
サポート業務用チャットボットは、社員・顧客からの問い合わせを削減できるサービスで、その特徴は大きく分けて下記の3つです。
①圧倒的な低価格
- サポートやカスタマイズを無料で提供
- 有人チャットやAPI連携も従量課金なし
②高性能な会話エンジン
- 自然言語に特化したAIにより高い回答率を実現
- 自己解決を促す聞き返し機能を実装
- プログラミング不要で簡単に改善可能
③専任チームが成功をサポート
- チャットボットの構築を専任の担当者が代行
- 業界や利用シーン毎の成功事例をもとに最適な運用方法や改善点を提案
- 問い合わせの数を50%以上削減した実績
サポート業務用チャットボットは、社内の問い合わせ対応・カスタマーサポート・問い合わせ対応の業務削減ができます。それによって、社員の生産性・満足度の向上、オペレーターの残業時間の削減、顧客のニーズに合わせた製品またはサービスの改善などが期待できるのです。
ユーザーローカルの市場規模
引用:ユーザーローカル 2022年6月期 第2四半期 決算説明資料
ユーザーローカルが提供しているサービスは、メーカーから金融機関まで、さまざまな業界で活用されています。官公庁でも使用されているという点から、いかに重要なサービスかが分かるでしょう。導入社数は2,000を超えており、大企業から中小企業まで幅広く導入されています。
ユーザーローカルの業績推移
ユーザーローカルでは、2017年から売上高、営業利益、当期純利益ともに好調に数値を伸ばし続けています。型コロナウイルス感染症の影響もほとんどなく、抜群の収益性で安定した売上をキープし続けている状態です。このままの数値が継続できれば、今後の成長率にも期待できるでしょう。
今後の展開
ユーザーローカルでは今後の展開として、下記の3つを挙げています。
- 自社AIアルゴリズム拡充
- 既存サービスへのAIアルゴリズム実装
- 課題解決に向けたAIサービスの新規開発
これまでに提供しているサービスのさらなる強化と新たなサービスの開発の両方を進めていく方針となっているため、新たな顧客を獲得するきっかけとなるでしょう。新しく開発するAIサービスは、データ分析や人工知能の技術を活用したサービスとなっており、SDGsを目標に掲げながら進めているようです。近年注目されているSDGsにも取り組んでいることから、より注目されるのではないでしょうか。
ユーザーローカルの事業戦略
ユーザーローカルはデータ分析や人工知能の技術を活用してあらゆる課題を解決し、誰もが自動化・効率化メリットを受けられる社会を目指しています。ユーザーローカルでは「AI × ビッグデータ × SaaS」を実現できるのが自社の強みとしており、具体的な内容としては以下の5つが挙げられます。
- 世の中が求めるサービスの提供
自社開発ツールによってユーザーの行動をチェックしながら、世の中のニーズにあったサービスを作り出す。
- アルゴリズムを強化する好循環
利用者が増加していくことでデータの量や種類が増えて、より高い精度のAIによって分析力が向上する。それによってサービス品質・お客様満足度向上とともに、さらなる利用者の増加を目指す。
- テック人材の確保
大学院卒のエンジニアが多く在籍する、平均年齢28歳という若い組織で研究開発を実施していく。
- ビッグデータ・AIの開発研究
自社AIアルゴリズムの拡充・既存サービスへのアルゴリズム実装・AIサービスの新規開発を推進しています。
- 高い収益性に基づく安定成長
幅広い企業を顧客基盤とした高い収益性とローコストオペレーションにより、創業以来連続成長を実現しています。
今後予測される国内生産人口の減少に対応するため、 データやAIを利用して生産性の向上や自動化を目指した活動をしているのが、ユーザーローカルの事業戦略と強みです。
ユーザーローカルが公開しているKPI
ここからは、ユーザーローカルが公開しているKPIの中から1部抜粋して紹介していきます。下記の2つのKPIについて解説していくので、どのような推移になっているのか、参考にしてみてください。
- サービス導入件数
- 社内AIエンジニア比率
それぞれ見ていきましょう。
サービス導入件数
引用:ユーザーローカル 2022年6月期 第2四半期 決算説明資料
ユーザーローカルではさまざまな分野のサービスを提供しており、サービスの増加に合わせて導入件数も順調に増加しています。さらに、上記の図を見てみると、既存のサービスの利用者も増加し続けていることが分かります。今後も新たなサービスの提供を目指していることを考えると、さらなる導入件数の増加が期待できるでしょう。
社内AIエンジニアの比率
引用:ユーザーローカル 2022年6月期 第2四半期 決算説明資料
ユーザーローカルでは社内AIエンジニアの比率70%を実現しました。AI技術の進展や社会実装ニーズに対応するため、AIエンジニアの採用と社内教育を強化しています。具体的な内容としては、AIアルゴリズムの研究開発を促進・開発したアルゴリズムの既存・新規サービスへの実装です。今後もサービス強化や新規サービスの開発を続けていくためには人材の補強が欠かせないので、順調に事業を成長させるための下準備が完成しているのでしょう。
ユーザーローカルの主なKPI
ユーザーローカルが公開しているKPIを抜粋して紹介しましたが、ここからは、ユーザーローカルが設定している主なKPIについて解説していきます。
- MRR
- チャーンレート
- ユニットエコノミクス
順番に見ていきましょう。
MRR
引用:ユーザーローカル 2022年6月期 第2四半期 決算説明資料
MRRは月間の経常収益を表す数値ですが、ユーザーローカルでは公開されていないため、年間の経常収益を表すARRのグラフから解説します。ARRの数値は年々上昇を続けているため、MRRの数値も右肩上がりに成長を続けていると考えられるでしょう。
MRRについて詳しく知りたい方は、「SaaSの主要KPI【MRR】とは?概要や計算方法を分かりやすく解説」の記事からご参照ください。
チャーンレート
ちなみにチャーンレートというのは、”解約率”のことで、顧客がサービスを解約する割合を示すものです。場合によっては解約率ではなく”顧客離脱率”や”退会率”と表記していることがあります。ユーザーローカルではチャーンレートの数値を公開していません。しかし、サービス導入件数が順調に右肩上がりになっている点を考えると、解約件数も低い水準をキープしていると考えられます。
チャーンレートについては、「SaaSの主要KPI【チャーンレート】とは?種類や目安を解説」の記事で説明しています。
ユニットエコノミクス
ユニットエコノミクスとは、その事業が健全性を図る重要な経営指標で、SaaSビジネスでは投資家がユニットエコノミクスを見てユニット(事業または顧客)の単位あたりの採算性を評価するものです。
ユニットエコノミクスから最適なマーケティングコストを導き出せれば、コストをかけて顧客獲得を加速させるのか、はたまたコストを抑えての顧客獲得にしなくてはならないのかが判断しやすくなります。
ユーザーローカルではユニットエコノミクスの数値を公開していません。しかし、安定的な成長水準を見ると、ユニットエコノミクスの数値も健全といえるのではないでしょうか。
ユニットエコノミクスについては、「SaaSの主要KPIと【ユニットエコノミクス】とは?計算方法や目安を紹介」の記事からご覧いただけます。
まとめ
ユーザーローカルは、ビッグデータとAI技術を駆使してビジネスを成功に導いてくれるサービスを豊富に取り扱っている会社です。「高齢者社会」ともいわれている現代において、日本の社会構造的な課題への対処を行い、データやAIを利用して生産性の向上や自動化を目指しています。
今後予測されている国内生産人口の減少に対応するために、ユーザーローカルはさまざまな業種や業務に対応できるサービスを日々実現させているのです。
そんなユーザーローカルの成長の基盤となっているのがKPIで、ユーザーローカルでは主にMRR、チャーンレート、ユニットエコノミクスの3つを設定しています。
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監修者
広瀬好伸
株式会社Scale Cloud 代表取締役社長
プロフィール
京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて600社以上の事業に関わる。
公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。
株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKY社外役員。
成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。
講演実績
株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。
論文
特許
「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)
アクセラレーションプログラム
OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。