KPI設定に役立つフレームワークは?設定方法や注意点などをまとめて解説
2021.11.01
KPI設定はフレームワークを利用することで、分析や設定が行いやすくなります。しかし、フレームワークはどのように活用すれば良いのか、どんなフレームワークを利用すべきなのかが分からないという方も多いでしょう。
そこで今回は、KPIの設定方法やKSF・KPIに役立つフレームワークなどを初心者にも分かりやすく紹介していきます。KPI設定にフレームワークを活用したいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
KPIの基本情報
KPIとは、目標へ向かうための中間目標のことを指します。KPIを最終目標に合わせて設定することにより、企業の掲げる最終目標を達成するためにはどんなタスクをこなすべきなのか、どこまで達成しているのかが具体的になるのがメリットです。
また、目標が明確になって、チームや部署ごとの方向性が統一しやすくなるのもKPI設定を行うメリットといえるでしょう。
KPI
KPIとは、目標へ向かうための中間目標のことを指します。KPIを最終目標に合わせて設定することにより、企業の掲げる最終目標を達成するためにはどんなタスクをこなすべきなのか、どこまで達成しているのかが具体的になるのがメリットです。
また、目標が明確になって、チームや部署ごとの方向性が統一しやすくなるのもKPI設定を行うメリットといえるでしょう。
KGI
KGIとは、簡単に説明すると自社の最終目標を指します。
基本的に最終目標であるゴール(KGI)を設定後、ゴールに向けて細かいKPIを設定することでより効率的に目標を実現することが可能になります。
KSF
KSFは重要成功要因とも呼ばれており、意味としては事業の目標を達成するために必要な要因となります。
KSFで競合企業の参入や市場の動向、自社の強みなどの外部要因と内部要因を把握することで、より具体的な戦略立案が可能です。また、KSFを明確にすれば数年後の事業計画書の立案もしやすくなるため、新しい新規事業に取り組みやすくなります。
KPIの設定方法や事例を紹介
続いて、KPIの設定方法や事例を以下の項目の順にご紹介してきます。
- KGIを決める
- KSFに落とし込む
- KPIを設定する
それでは早速ご紹介していきます。
KGIを決める
事業戦略やマーケティングにおいて、KGI設定は効率的に目標を達成するために有効な手段です。
KGIを決める場合は、より具体的に設定する必要があります。例えば、企業の利益を上げたい場合、ただ利益を上げることを最終目標にしても意味がありません。例えば、「2年後の利益率を今年度よりも20%上げる」など、期間や数値を明確に設定しましょう。
具体的なKGIを設定することで、達成の目安が分かりやすくなり、高い成果が期待できます。
KSFに落とし込む
KSFでは、KGIとKPIがつながりやすくなるように、目標を達成するために必要な要因を挙げていきます。
先ほどの紹介した「2年後の利益率を今年度よりも20%上げる」というKGIの例を参考にすると、「オンラインサイトのSEO強化」、「顧客を増やす」、「広告費を削減」などがKSFとして抽出されるでしょう。
KSFは内部要因だけに限らないため、市場調査なども行って外部の要因も検討するようにしてください。
KPIを設定する
KGI・KSFを設定したら、最後にKPIの設定を行います。
先ほど落とし込んだKSFを元に、どのくらいの数値目標を立てれば効率的に最終目標を達成できるのかを考えながら、より現実的なレベルで数値を設定しましょう。
例えば、「◯ヶ月以内にサイトのコンバージョン率を◯%上げる」というように、KPIもKGIと同様に明確な期間と数値を決める必要があります。KPIを設定したら、最終的にKGIと結びつくようになっているかも確認しておきましょう。
KSF設定に役立つフレームワーク
KGIやKSF、KPIの設定方法について理解したところで、KSF設定に役立つフレームワークを紹介していきます。
KSF設定に役立つフレームワークは、主に以下の5つです。
- 5F分析
- 3C分析
- SWOT分析
- PEST分析
- バリュー・チェーン
それぞれのフレームワークについて解説していくので、KSF設定を行う際の参考にしてみてください。
5F分析
5F(ファイブフォース)分析は、競合企業や業界全体の状況を明らかにして、自社が業界内で生きていくために必要な対処法や改善策などを分析するフレームワークです。
5F分析では、5つの視点から企業の脅威を分析していきます。
- 新規参入の脅威
- 売り手の交渉力
- 代替品の脅威
- 買い手の交渉力
- 既存の競合他社との競争
この1つひとつを把握できれば、自社または競合他社の現在の状況が明らかになり、自社が業界内で生きていくために必要な対処法や改善策などを練ることが可能です。
企業が今以上に成功するためには、現在の事業を拡大させる、もしくは新しい事業を展開する必要がありますが、どちらの方法でも競合要因となる外部環境を把握する必要があります。
5F分析を行えば、将来的に事業を続けるにあたってどのような脅威があるかを事前に把握できるので、具体的な脅威に対して対策を立てやすくなるでしょう。
3C分析
3C分析とは、マーケティングの環境分析を行うフレームワークです。以下の3つの視点を元にそれぞれを分析して戦略を考えます。
- Customer(顧客・市場)
- Competitor(競合)
- Company(自社)
基本的な流れは、まずCustomer(顧客・市場)の分析を行い、顧客のターゲットやニーズ、市場の動向などを把握します。
その後、Competitor(競合)の分析によって、業界の競合となる会社の状況や顧客ニーズをチェックしてください。最後にCompany(自社)の分析を行い、自社の現状の把握と競合との比較を行います。
3C分析は、市場・顧客・ニーズ・自社を分析して、最終目標に向かうためのKSFを発見し、進むべき方向性を決めることが目的です。
SWOT分析
SWOT分析は、外部環境と内部環境のそれぞれで企業の強いと弱みを分析して、戦略の立案やマーケティングに役立てるフレームワークです。以下の4つの視点から、分析を行います。
- Strength(強み)
- Weakness(弱み)
- Opportunity(機会)
- Threat(脅威)
SWOT分析の基本的な流れとしては、まず外部要因であるOpportunity(機会)とThreat(脅威)の分析を行い、自社にとって危険となる要素や環境変化、顧客やニーズの変化を分析します。
その後、内部要因であるStrength(強み)とWeakness(弱み)を分析して、自社商品やサービス、運用経験などを競合他社と比較していけば、課題を明確化や戦略の立案などが可能になるでしょう。
PEST分析
PEST分析は、経営戦略やマーケティングにも使用される、外部環境を分析するためのフレームワークです。以下の4つの視点から分析を行っていきます。
- Politics(政治的要因)
- Economy(経済的要因)
- Society(社会的要因)
- Technology(技術的要因)
PEST分析を行うことによって、外部環境の影響で将来的に自社に生じるであろう問題に備えるための戦略を組み立てられます。
例えば、自動車業界でPEST分析を行う場合、「将来的にガソリン車が廃止される可能性がある」、「若者の車離れが進んでいる」などの外部要因から、「自動車以外の新しい移動手段を確立する必要がある」といった分析が可能です。
バリュー・チェーン
バリュー・チェーンとは、製品の製造や開発、物流、販売、などのすべての活動を連鎖的に捉える考え方です。それぞれの活動がどのくらいの付加価値を生み出しているのかを、以下の4つの観点から分析していきます。
- Value(価値)
- Rareness(希少性)
- Imitability(模倣可能性)
- Organization(組織)
VRIOを元に内部要因の分析を行い、自社の強みや弱みを明確に把握できれば、KSFの抽出も行いやすくなります。
KPI設定に役立つフレームワーク
フレームワークを元にKSFの分析を行ったら、続いてはKPIの設定を行っていきましょう。ここでは、KPI設定に役立つフレームワークを6つ紹介します。
- SMART
- ベーシック法
- 三点セット法
- HARDゴール
- ランクアップ法
- ベンチマーク法
それぞれのフレームワークの特徴を1つずつ解説していくので、KPI設定にフレームワークを活用したいという方は、ぜひご覧ください。
SMART
SMARTは、目標達成のフレームワークにおけるもっとも定番な手法の1つです。以下の5つの単語の頭文字から付けられた名前で、それぞれがKPIを設定する際に重要な事項を表しています。
- Specific(明確性)
- Measurable(測定可能)
- Achievable(達成可能)
- Related(関連性)
- Time-bounded(期限設定)
KPIでは、「社内で共有した際に社員全員が理解できる明確な内容か」、「具体的な数値で測定ができるか」、「組織で協力をすることで達成できる目標か」、「KGIと関連した内容になっているか」、「KPIを完了させるまでの期限が設定されているか」を意識して設定しなければいけません。
SMARTを元にKPIを設定することによって、より丁寧なアクションプランを生み出せます。
ベーシック法
ベーシック法は名前の通り、基礎的な目標設定方法です。基本的なフレームワークだからこそ重要なので、KPI設定の際には活用してみましょう。ベーシック法は、以下の4項目から構成されています。
- 目標項目
- 達成項目
- 期限設定
- 達成計画
目標項目を設定する際には、「向上・強化」、「改善・解消」、「維持・継続」、「創出・開発」4つのタイプがあります。どれか1つに絞って設定しても良いですし、それぞれのタイプごとに設定するのも良いでしょう。
設定した目標項目に合わせて、達成項目・期限設定・達成計画を検討してください。
三点セット
三点セット法は、ベーシック法よりも詳しく設定するフレームワークです。名前の通り、3つの項目を具体的にしていくことで目標設定ができます。
- テーマ
- 達成レベル
- 達成手段
テーマは企業が達成する事柄です。KGIなどは数値などで明確に設定する必要がありますが、三点セットのテーマは理論的な数値でなくても構いません。達成レベルで具体的な目標を定めます。
その後、目標を達成するためには何を行えば良いのかを、達成手段で検討していくことで、よりスムーズな目標達成が実現できるでしょう。
HARDゴール
HARDゴールは、近年注目を集めている比較的新しい目標設定のフレームワークで、SMARTよりも感情に結びついているのが特徴的です。HARDゴールは、以下の4つの単語の頭文字から名付けられています。
- Heartfelt:「心の底から」達成したいと思う目標
- Animated:目標達成後の「活気ある」姿のイメージ
- Required:目標達成のために「必要とされている」スキルや能
- Difficult:「困難」な目標設定
HARDゴールに従って目標を設定する場合は、H→A→D→Rの手順で指標を確認していきます。
ランクアップ法
ランクアップ法は、確実に成長させるための目標設定のフレームワークです。以下の6つの切り口から目標項目を検討します。
- 改善:マイナスな部分を改善する
- 代行:自分よりレベルが高い仕事を代行する
- 研究:テーマを研究する
- 多能化:新しいスキルを習得する
- ノウハウの普及:自分のスキルや経験をノウハウ化する
- プロ化:プロレベルになるまでスキルを高める
ランクアップ法では特定の分野に特化した目標設定が可能で、ベーシック法と組み合わせることでより効果的に目標を設定できです。
ベンチマーク法
ベンチマーク法は目標設定の際に、ベンチマーク(基準)となる対象を設定するフレームワークです。将来的な理想の姿を挙げることで、その理想を超えるための目標を設定しやすくなります。
ベンチマーク法を行う場合は、以下の流れで目標設定を実践していきましょう。
- ベンチマークの設定
- 対象の情報を収集・分析
- 目標設定
- 検証
自分や自社が超えたい対象をベンチマークとして設定し、対象に関する情報を収集して分析を行います。
分析結果を元に目標を設定していきますが、この目標設定の際にはベーシック法などを用いるのがおすすめです。目標を設定したら、活動を進めていきながら対象に近付けているかをチェックしましょう。
対象に近付けていない場合は、目標設定や活動内容に問題がある可能性があるので、どう改善していけば良いのかを検証してください。
KPI設定に欠かせない「KPIツリー」の考え方
KPIツリーは、自社の大きな目標達成に向けて必要な指標をKPIに落とし込みながら1つひとつ分解し、ロジックツリーで整理したものを指します。
ロジックツリーとして整理すれば、最終目標を達成するためにはどのようなKPIを設定すれば良いのかを可視化することが可能です。
また、KPIツリーを細かく設定すると、問題を発見しやすくなる、問題の原因を特定しやすくなる、チーム全体でどのような行動をとれば良いかが分かりやすくなるというメリットがあります。
そのため、自社の最終目標に向けたKPIの設定をする場合、KPIツリーで「見える化」した状態で設定するのが望ましいといえるでしょう。
フレームワークをすべて網羅してKPI設定をするのは難しい!
これまで、さまざまなフレームワークを紹介してきましたが、フレームワークをすべて網羅してKPI設定するのは難しいです。
さらに、KPIやKGI、KSFを設定するのに慣れていない場合は、フレームワークへの落とし込みやKPIツリーの作成にも、一々時間がかかってしまいます。KPIの作成や進捗確認に時間がかかって本来の業務に支障をきたしてしまっては意味がありません。
そんなときには、KPIツールを活用すれば簡単にKPIの設定や分析、進捗管理を行えます。
Scale Cloudでは、KPIデータや財務データなどを自動で集約・統合できるため、KPIの共有もスムーズです。さらに、KPIツリーでの可視化やKPIの進捗管理も簡単に行えます。初心者でも直観的に操作できるため、目標達成やKPIの設定も容易です。
まとめ
KPIは目標へ向かうための中間目標で、最終目標であるKGIや目標達成のために必要な要因であるKSFと合わせて、企業の目標を設定するために活用される目標設定方法です。
KPIはフレームワークを活用することで、スムーズに設定ができるようになります。KPI設定に役立つフレームワークは、以下の通りです。
- SMART
- ベーシック法
- 三点セット法
- HARDゴール
- ランクアップ法
- ベンチマーク法
また、KPIツリーを作成すれば、達成すべきKPIや今達成しているKPIの見える化ができます。問題を発見しやすくなる、原因を解明しやすくなるといったメリットもあるので、KPIを設定する際にはKPIツリーを作成するのがおすすめです。
KPI設定やKPIツリーの作成方法については、ぜひ下記資料を参考に実践してみてください。
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監修者
広瀬好伸
株式会社Scale Cloud 代表取締役社長
プロフィール
京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて600社以上の事業に関わる。
公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。
株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKY社外役員。
成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。
講演実績
株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。
論文
特許
「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)
アクセラレーションプログラム
OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。