KPIとPLを長所/短所で比較しました

2021.03.04
KPIとPLを長所/短所で比較しました

今回はちょっと基本に立ち返り、KPIとPLの長所/短所を比較しながら、有効に活用する方法について書いてみました。

 

プロセスマネジメント

PL

1月の結果が出てくるのが2月になってからです。つまり、もう結果が出てしまっているので結果論なんですよね。

ということは、もちろん、1月の月中の進捗管理と言ったプロセスマネジメントには使えません。

KPI

多くのものがデイリーまたはウィークリーで数値が出てくるので、1月の結果が出る前に、結果に至る月中のプロセスマネジメントにも使えます。

 

情報の粒度

PL

売上高という勘定科目の中を見ても、顧客数や顧客単価、さらには成約率や商談数といった詳細な情報はわかりません。つまり、PLの情報は粒度が粗く、それだけでは詳細がわかりにくいのです。

言い方を変えれば、「売上実績が予算に対して90%だった」といっても、PL情報だけではその原因がわからず対策がたてられないですし、「営業利益率がいま5%なのでもっとあげよう」といっても、何をすればいいのかイマイチわかりづらいですよね。

KPI

情報の粒度が細かく、ビジネスの状況が詳細にわかります。「売上実績が予算に対して90%だった」といったときでも、顧客数が足りなかったのか、それとも顧客単価が低かったのかといったように原因がすぐにわかるので、対策も立てやすいですよね。さらに、顧客数が足りなかった原因も、商談数が足りなかったのか、成約率が低かったのかといったように、どんどん詳細に深堀りしていけるので、何をすればいいのかがはっきりします

 

直感的な理解度

PL

簿記といった専門知識がないと読み解くのに苦労します。

KPI

専門知識がなくてもだれもが直感的に理解しやすいです。

 

事業全体の透明度

PL

情報の粒度が粗いものの事業全体の状況が一覧できます。

KPI

営業部は営業のKPI、マーケティング部はマーケティングのKPIといったように、部門ごとにバラバラに管理していてサイロ化しているので、事業全体を俯瞰してみようと思えば、各部門のKPIを集約して一覧できるようにしないといけません。

 

信用情報

PL

デットファイナンスの与信判断に利用される。

KPI

いくらKPIがよくても財務情報が悪ければファイナンスは難しいでしょう。つまり、デットファイナンスにおいてはKPIは信用情報になりにくいのです。

 

 

以上のように、財務情報(PLなど)非財務情報(KPI)には一長一短があるので、これらを統合して活用することで「いいとこ取り」できます。

具体的には、統合のファーストステップとして、PLをKGIとしてKPツリーをつくってみるといいでしょう。

そうすることで、PLとKPIのつながりや、部門ごとのKPIのつながりが一覧できるので、PLとKPIの長所を活かして短所を補う活用ができると思います。

 

KPIツリーの作成方法については、ぜひ次の資料をダウンロードして参考にしてください。

 

プロセスKPIと事例-入門編-

KPIツリーの作り方とメリット-実践編-

 

 

執筆者

広瀬好伸
株式会社Scale Cloud 代表取締役社長

プロフィール

京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて600社以上の事業に関わる。

公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。
株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKY社外役員。

成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。

講演実績

株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。

論文

『経営指標とKPI の融合による意思決定と行動の全体最適化』(人工知能学会 知識流通ネットワーク研究会)

特許

「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)

アクセラレーションプログラム

OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。

取材実績

日本経済新聞、日経産業新聞、フジサンケイビジネスアイ、週刊ダイヤモンド、Startup Times、KANSAI STARTUP NEWSなど。

著書

『飲食店経営成功バイブル 1店舗から多店舗展開 23の失敗事例から学ぶ「お金」の壁の乗り越え方』(合同フォレスト)

Twitter