SaaSの主要KPI【MRR】とは?概要や計算方法を分かりやすく解説
2022.12.08
SaaSの主要なKPIとして設定されることも多いMRR。では、MRRは具体的にどのような意味があるのでしょうか。
この記事では、MRRとは何か、MRRの種類、MRRが重要な理由などを解説していきます。MRRの計算方法なども紹介するので、MRRをKPIに設定したいという方は、ぜひ参考にしてください。
また、SaaS事業はこのビジネスモデル特有の指標を数多くモニタリングする必要があります。KPIや経営数値の予実を管理をするにもエクセルでは煩雑になりやすい領域のため、そのような課題を解決するためにScale CloudではKPI管理プラットフォームをご提供しています。
>Scale Cloudのサービス紹介資料ダウンロードはこちら
MRR(Monthly Recurring Revenue)とは?
MRRとはMonthly Recurring Revenueの略で、日本語では「月次経常収益」と訳されます。簡単にいうと、「毎月決まって発生する売上」という意味です。MRRは毎月決まって発生する売上のみが対象となるのが特徴で、初期費用や追加導入費用、コンサルティング費用などは含まれません。
一般的に、MRRはサブスクリプション型ビジネスで重視されることが多い傾向です。それは、MRRがビジネスの安定性・成長性を知る指標になる、現状のビジネスや企業としての課題を把握するための材料になることなどが理由として挙げられます。
小売業などとは異なり、サブスクリプション型のビジネスはサービスの売り切りではなく、顧客の継続利用によって発生する利益を積み上げていく形です。そのため、収益全体のMRRの割合が高ければ高いほど事業が安定しており、成長性も高いと判断できます。
こういった理由から、投資家などがスタートアップ企業などに投資を行う際の指標としても、MRRは注目されています。
MRRの種類
MRRには主に、以下の4つの種類があります。
- New MRR
- Expansion MRR
- Contraction MRR
- Churn MRR
ここでは、それぞれのMRRの特徴を解説していきます。また、それに合わせてMRRに含まれないものについても解説していくので、見ていきましょう。
New MRR
New MRRとは、その月に獲得した新規顧客によってもたらされるMRRです。サービスを開始して間もない段階では、特に注視すべき指標であるとされています。すでに獲得している顧客が追加で購入・契約をした場合などは含みません。
Expansion MRR
Expansion MRRは、プラン変更などで下位プランから上位プランへアップグレードしたことによって、前月よりも取引額が増えた既存顧客から得られるMRRのことを意味します。Expansion MRRは、ある程度顧客が増加してきた際に注視されるMRRです。
Contraction MRR
Contraction MRRはExpansion MRRの反対で、上位プランから下位プランなどによって前月より課金額が減った既存顧客から得るMRRです。Downgrade MRRと呼ばれることもあります。
Churn MRR
Churnは、「Churn Rate」という解約率を表す指標にも使われている単語で、解約や退会という意味になります。Churn MRRも文字通り、当月にサービスを解約した顧客から得たMRRです。
MRRに含めないもの
MRRには主に4つの種類がありますが、全て月次で発生するものになります。そのため、特定の月にのみ突発的に発生した収益などはMRRに含めまれません。具体的には、以下のような売上は含まれないものとなっています。
- 初期導入時の一時的な売上(初期費用)
- アップセルやクロスセルによる単発の売上
- コンサルティング売上
- 一括課金による売上
あくまでも、継続的に毎月発生する収益をMRRとして考えると覚えておきましょう。
SaaSの主要なKPIとして設定されることも多いMRR。では、MRRとは具体的にどのような意味なのでしょうか。
この記事では、MRRとは何か、MRRの種類、MRRが重要な理由などを解説していきます。MRRの計算方法なども紹介するので、MRRをKPIに設定したいという方は、ぜひ参考にしてください。
MRRが重要な理由
MRRが重要とされる理由はさまざまですが、理由としては以下の3つが挙げられます。
- ビジネスの成長を確認できる
- 将来予測に役立つ
- バリュエーションのベースになる
なぜMRRが重要とされるのか、詳しく見ていきましょう。
ビジネスの成長を確認できる
サブスクリプション型のSaaSビジネスの場合、継続的に利益が可視化できるMRRは、1つのビジネスの成長度合いを確認できる大切な指標になります。Bessemer VPのKristina Shen氏によると、特にSaaSビジネスの状態を経営レベルで見るときに重要な視点は以下の3つです。
- Growth -成長性はどれくらい高いのか?
- Efficiency -事業の効率性はどれくらい高いのか?
- Retention -顧客の継続性(ロイヤリティ)はどれくらい高いのか?
投資家を含めたステークホルダーも、この3つの視点に注目しているといわれています。
さらに、3つの中でも一番最初に注目されるのが成長性で、その成長性を表すときにもっとも重要なKPIの1つがMRRです。MRRは月次で数値を把握できるので、MRRの推移を追っていくことで、短期間でのSaaSの成長率を把握できます。
そのため、MRRは投資家や株主などがスタートアップ企業へ投資を考える際にも注目されるポイントです。
また、MRRを使えば、契約期間が異なるSaaSであっても、同じ指標で収益パフォーマンスの確認や比較ができます。
将来予測に役立つ
SaaSビジネスは月額でサービス利用料が決まっていることが多いビジネスモデルで、MRRは契約期間中は毎月売上を計上できるので、将来の予測をしやすい数値といえます。
つまり、SaaSの契約期間は、毎月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月とまちまちですが、その契約における契約更新時のチャーンレートを加味すれば、今後の1年間の売上見込みを計算しやすいということです。さらに、事業計画やキャッシュフローの予測を立てるのにも役立ちます。
バリュエーションのベースになる
ビジネスの成長を確認できる、将来予測に役立つことなどから、MRRは企業価値評価のベースになることが多い傾向です。
多くのSaaS企業が、エクイティファイナンスによる資金調達を必要とします。MRRはその際のバリエーション算定の基礎数値になるため、資金調達を必要とするSaaS企業にとっては重要です。
4つに分類して紹介したMRRですが、企業のフェーズによって注視されるMRRは異なります。創業後から発展途中の段階であるアーリーステージは、新規顧客が重要なのでNew MRRが注目されます。その後、次第に企業が成長していくにつれて、Expansion MRRやContraction MRR、Churn MRRが重要視されるようになっていくのが一般的です。
MRRの計算方法
MRRの計算方法には、基本的な計算方法と契約期間が複数ある場合の計算方法で分けられます。それぞれの計算方法を解説していくので、参考にしてみてください。
基本的な計算方法
MRRは基本的に、下記の計算式で算出できます。
MRR = 月額利用料金 × 顧客数
プランが複数ある場合などは、プランごとに計算してから合算します。例として、次の2種類の料金プランがあった場合の計算式を見ていきましょう。
- ライトプラン :月額10,000円
- ベーシックプラン:月額30,000円
そして、各プランそれぞれ5社ずつユーザーがいたとすると、計算式は以下の通りです。
MRR = 10,000円 × 5社 + 30,000円 × 5社 = 200,000円
また、MRRはARPU(ユーザー平均単価)、ARPA(アカウント平均単価)、ARPUU(課金ユーザー平均単価)を使用して表現することも可能です。
- MRR = ARPU × ユーザー数
- MRR = ARPA × アカウント数
- MRR = ARPPU × 課金ユーザー数
先ほどの例であれば、以下のような計算方法です。
MRR = ARPU 20,000円 × ユーザー数10社 = 200,000円
この計算方法は、契約方法が複数ある場合には当てはまらないので、その場合には次の計算方法を参考にしてみてください。
契約期間が複数ある場合の計算方法
年間で契約するプランと月間ごとに契約するプランがあるなど、サブスクリプションの契約期間が複数ある場合には、MRRの計算は少し複雑になります。
年間契約なら「料金プラン ÷ 12 × 顧客数」、半年契約なら「料金プラン ÷ 6 × 顧客数」と、月額に直してから顧客数をかけて算出してください。そして、最終的に全てのプラン、全ての契約期間の顧客分の合計をすることで、MRRを算出できます。
以下で、具体的な例を見ていきましょう。
- 月契約 :料金12,000円、ユーザー数10社
- 半年契約:料金66,000円、ユーザー数5社
- 年契約 :料金120,000円、ユーザー数2社
上記のような契約内容の場合、計算方法は以下の通りです。
MRR = 12,000円 × 10社 + 66,000円 ÷ 6ヶ月 × 5社 + 120,000円 ÷ 12ヶ月 × 2社 = 195,000円
契約期間が複数ある場合には、こちらの計算方法で算出してください。
正しいMRRを計算するためのポイント
MRRの計算は、契約期間が複数ある場合などは複雑になってしまいます。そこで、正しいMRRを計算するためにはどのようなポイントに気を付ければ良いのかを詳しく解説していきます。
正しいMRRを計算するためのポイントは以下の5つです。
- 値引き(ディスカウント)を考慮する
- トライアル期間を含めない
- 専門的なサービスや他の単発の収益は含めない
- 異なる契約期間は月額に直してから計算する
- 支払遅延分も含める
それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
値引き(ディスカウント)を考慮する
値引きをしているサービスでMRRを計算する際には、値引き前の正規料金で計算するのではなく、値引き後の金額で計算するようにしましょう。例えば、最初の1年間だけ50%の値引きをする場合には、正規料金である月額50,000円ではなく、値引き後の月額25,000円で計算します。
そして、値引き期間が終了した後は正規料金で計算するようにしてください。こうすることによって、金額のズレを最小限に減らせます。
トライアル期間を含めない
トライアル期間をMRRの計算に含めるとMRRの値が増加するため、誤って高い解約率を算出してしまいます。あくまでも、MRRに含めるものは毎月の継続的な収益なので、単発の利益とみなされるトライアル期間の収益は含めないようにしましょう。
専門的なサービスや他の単発の収益は含めない
前述の通り、MRRは毎月発生する収益を換算するものなので、追加費用や初期費用などの、毎月発生しない収益はMRRに含めないようにしてください。MRRとその他の収益は区別しておきましょう。
異なる契約期間は月額に直してから計算する
先ほども解説しましたが、異なる期間の計算を通常の計算方法で行うと、正しいMRRを算出できません。年間契約、半年契約、3ヶ月契約など複数のプランがある場合には、それぞれの料金を月額に直してからMRRを算出しましょう。
支払遅延分も含める
支払遅延や延滞が発生した場合にも、MRRに含めて計算します。遅延や延滞が起きても契約自体は継続しているため、毎月の収益としてMRRで計算するのです。誤ってこれらの収益を区別して計算しないように注意してください。
MRRが活用されるシーン
ここまで、MRRについて詳しく解説しましたが、MRRは具体的にどのようなシーンで活用されるのでしょうか。ここでは、MRRが活用されるシーンを紹介していきます。
投資家としての指標
先ほども少し解説した通り、MRRはビジネスの成長性が数値で分かることから、投資家が投資の判断をする際にも注目される指標です。どのMRRに注目されるのかは企業の成長フェーズによって異なりますが、
投資家にとってプラスの印象になりやすいのは、「New MRR」「Expansion MRR」が大きく、「Downgrade MRR」「Churn MRR」が小さい状態の企業です。自社の成長フェーズなども考慮しながら、最適なMRRを目指すようにしましょう。
SaaS Quick Ratioの算出
SaaS Quick Ratioとは、SaaSビジネスの成長率を測る指標のことです。MRRが月ごとの成長率を測るのに対して、SaaS Quick Ratioは企業が継続的に収益を得られるかどうかを測る指標となっています。
SaaS Quick Ratioの計算式は下記の通りです。
(New MRR + Expansion MRR)÷(Downgrade MRR + Churn MRR) = SaaS Quick Ratio(%)
この数値が4以上であれば、ビジネスの成長性が好調であるといえます。
MRRを増やすならまずMRRを分析する
冒頭でも紹介した通り、MRRは以下の4つに分類されます。
- New MRR
- Expansion MRR
- Contraction MRR
- Churn MRR
吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。月末時点でのMRRは、上記の4つも含めて計算します。計算式は以下の通りです。
月末MRR = 月初MRR + New MRR + Expansion MRR – Contraction MRR – Churn MRR
この式での月初MRRとは、前月末のMRRを意味します。
New MRRは、当月に新規獲得した顧客のMRR、Churn MRRは当月に解約した顧客のMRRなので分かりやすいですが、Expansion MRRとContraction MRRは分かりにくいという人もいるでしょう。
ここでは例として、Expansion MRRとContraction MRRについて、解説していきます。
- ライトプラン :月額 10,000円、1月末時点のユーザー数5社
- ベーシックプラン:月額 30,000円、1月末時点のユーザー数3社
この場合、1月末時点でのMRRは140,000円( = 月額 10,000円 × 5社 + 月額 30,000円 × 3社)です。
それが2月になって、ライトプランの3社がベーシックプランへアップグレードした場合には、2月のMRRは40,000円( = 月額 20,000円 × 2社)に増えます。このアップグレードによって増加する収益増をExpansionと呼び、これらを月単位で集計したものがExpansion MRRです。
反対に、2月になって、ベーシックプラン3社のうち1社がライトプランにダウングレードしたとすると、2月のMRRは20,000円( = 月額 20,000円 × 1社)減ります。このダウングレードによる収益減をContractionと呼び、月単位で集計したものがContraction MRRです。
New MRRの改善方法
ここからは、MRRの改善方法を種類別にそれぞれ解説していきます。まずはNew MRRの改善方法から見ていきましょう。New MRRの主な改善方法としては、顧客数を増やすことが挙げられます。
顧客数を増やす
とてもシンプルな方法なので、MRRの改善方法としてこの方法が真っ先に思い浮かぶ人は多いでしょう。顧客数を増やすためには、新規顧客を獲得する際にどの部分がネックになっているのかを分析し、改善するためのアプローチをすることが大切です。しかし、MRRを増やす方法の中ではコストがかかりやすい方法でもあるため、注意が必要です。
Expansion MRRの改善方法
次に、Expansion MRRの改善方法を6つ見ていきましょう。
- 料金を引き上げる
- 顧客単体からの収益を拡大する
- 段階的な料金設定にする
- 顧客によって異なる料金で提案する
- フリーミアムの提供をやめる
- 複数の契約期間の提供
順番に解説していきます。
料金を引き上げる
Expansion MRRを増加させる方法として、月額利用料金の引き上げがあります。しかし、値上げが原因で解約してしまう顧客も一定数発生するという点に、注意しなければなりません。
多少の値上げであれば、さほど多くの顧客を失うことはないかもしれません。抱えている顧客数が多ければ、解約した顧客の収益を値上げによる収益で穴埋めできる可能性もあります。料金設定が他社と比較してあまりにも低すぎる場合には、思い切って値上げをするのも合理的かもしれません。
顧客単体からの収益を拡大する
顧客単価が上がれば、必然的にMRRの増加します。例として、別の商品やサービス、または新たにリリースした他の機能などを追加購入してもらうクロスセルなどが挙げられるでしょう。また、1顧客におけるユーザー数を増やしてもらうのも有効です。
段階的な料金設定にする
aaSの中には、単一の料金プランのみを提供しているサービスもあります。その場合には、段階的な料金設定にすることで、顧客単価の上昇につながる可能性もあるでしょう。
一方で、使用量によって料金が増減するSaaSもあります。使用量による料金設定を行えば、顧客からの収益見込みの上限を取り払うことも可能です。SaaSの利用料金の上限設定や無制限のサービス提供などを行うと、収益のポテンシャルを減らしてしまうので、料金を設定する際には注意してください。
顧客によって異なる料金で提案する
企業相手にサービスを提供しているBtoBのSaaSサービスなどは、契約相手にとって契約可能な価格帯に合わせて、料金を提案する方法もあります。
顧客ごとに異なる料金を提案する場合にはまず、Webサイトには複数の価格帯を載せておく、機能のレベルによって料金が変わるというように表記しておく、価格帯をWebサイトに載せないなどの手法を取っておきましょう。
その上で、営業担当者が商談で契約相手から引き出せそうな料金を判断して、提案していきます。
フリーミアムの提供をやめる
フリーミアムとは、基本的なサービスは無料で提供し、より高度な機能を使いたい場合には有料で契約するといったビジネスモデルです。フリーミアムは新規顧客を呼び込みやすいというメリットがありますが、コストを回収することができません。
そのため、フリーミアムを提供し続けるのではなく、無料トライアル期間を設けるといった方法を選ぶと結果としてMRRの増加につながるでしょう。
また、トライアルに関しては以下のようなデータがあるため、SaaS製品を維持するサーバーコストなども節約できます。
- 「ID数」や「機能」よりも「期間」や「使用量」に制限をかけたトライアルの方がCVRが2倍も高くなる
- トライアルの使用期間が長くてもCVRは変わらない
詳しくは「Top 10 Learnings from the Redpoint Free Trial Survey」の記事をご参照ください。
複数の契約期間の提供
まずは1ヶ月と契約をお願いするのではなく、半年もしくは1年単位での契約をお願いすると、短期的なMRRが上昇します。月契約であれば翌月に解約されてしまいますが、年契約であれば1年間は解約されません。
もちろん、年契約でも契約終了後に解約されるのであれば先延ばしになるだけですが、その間に良いプロダクトを作ることができれば、年契約が終わる頃には解約されずに済むかもしれません。
Downgrade MRRの改善方法
次に、Downgrade MRRの改善方法を2つ紹介します。
- より高いプランにアップグレードしてもらう
- より安いプランへのダウングレードを防ぐ
1つずつ見ていきましょう。
より高いプランにアップグレードしてもらう
複数のプランを用意しているなら、より高いプランへアップグレードしてもらえるように、プランの違いやアップグレードのメリットを顧客にアピールしていきましょう。
複数のプランを用意している場合、顧客はそれぞれのプランの違いや特徴をしっかりと理解できていない場合が多いです。顧客が抱えている悩みが、実はアップグレードをすれば解決できる内容だったというケースもあるでしょう。
こうした顧客のためにヘルプページやチュートリアルなどを準備して、プランの違いを分かりやすく伝えていくことが大切です。チュートリアルなどが充実すれば顧客満足度も上がり、結果的に顧客の継続的なサービスの利用につながるでしょう。その結果、MRRの増加も期待できるのです。
より安いプランへのダウングレードを防ぐ
複数のプランを提供している場合には、安いプランにダウングレードされる可能性もあるので、できるだけダウングレードされないように努力する必要があります。
特に、プランの違いが分かりにくい場合は、顧客が「ダウングレードしたプランでも今まで通りの使用ができるのではないか」と思ってしまいます。こういった考えから、安いプランへのダウングレードが発生するのです。
ダウングレードを防止するためには、ユーザーサポートやオンボーディングを強化することが大切といえるでしょう。
Churn MRRの改善方法
最後に、Churn MRRの改善方法について見ていきましょう。Churn MRRの改善方法は、主に下記の2つです。
- 解約を減らす
- 顧客を取り戻す
それぞれ解説していきます。
解約を減らす
いくら新規顧客を獲得し続けたとしても、解約数が減らなければMRRは安定しません。そのため、MRRの増加には解約数を減らすことが重要なのです。
解約数を減らせれば、より早いスピードでMRRを成長させられるようになります。解約を防止するためには、オンボーディングやユーザーサポートの強化だけでなく、カスタマーサクセスの導入なども重要になってくるでしょう。
顧客を取り戻す
一度解約された顧客であっても、アプローチをしていけば再度利用してもらえる可能性もあります。新機能がリリースされたので紹介する、別のプランを提案してみるといったアプローチ方法が有効です。特に、新機能がリリースされたタイミングはアプローチをしやすいでしょう。
まとめ
MRRは日本語では「月次経常収益」と訳される言葉で、簡単に説明すると「毎月決まって発生する売上」です。MRRは主に、New MRR、Expansion MRR、Contraction MRR、Churn MRRの4種類があり、それぞれがビジネスの成長の確認や将来予測のために重要な指標となります。
しかし、SaaS事業ではさまざまな指標がKPIとして必要とされるため、主要なKPIを確認したいという方は、ぜひ下記の資料を参考にしてください。
関連記事
No posts found!
監修者
広瀬好伸
株式会社Scale Cloud 代表取締役社長
プロフィール
京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて600社以上の事業に関わる。
公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。
株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKY社外役員。
成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。
講演実績
株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。
論文
特許
「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)
アクセラレーションプログラム
OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。