経営計画とは|種類や作成する流れ、作成後の活用方法を解説
2022.10.03
「企業でKPI管理をしたいけど、どのように行えば良いのか分からない」と思っている方は少なくないでしょう。この記事では、KPIとは何かという基本的な情報から、KPI管理におけるポイントやKPI管理の例について紹介していきます。
KPI管理に便利なKPI管理ツールについても解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
KPIとは
KPI(Key Performance Indicator)とは、「重要業績評価指標」と訳され、組織の目標を達成するための重要な指標を意味します。一言で例えるならば、最終目標(KGI)に行き着くための中間目標のことです。KPIを設定すれば、チームや部署の現状を把握しやすくなります。
例えば、メールマガジンの中に商品購入のリンクを挿入して、そのリンクから商品の購入を目指す場合、購入までのプロセスにおいて大切な「開封率」や「リンクのクリック率」に目標値を設定した状態がKPIです。
このように、企業では最終ゴールの目標を達成するために、細かくKPIを設定し、KPIの状況がどうなっているのかを管理します。そんなKPIを企業に取り入れて管理していきたいという人のために、KPI管理のポイントを見ていきましょう。
KPI管理におけるポイント
部署やチームで最終目標を達成するために、KPI管理をするのは大切なことです。しかし、管理をする際にはいくつかのポイントがあります。ここでは、KPI管理における主なポイントを3つ紹介します。
- 企業全体で取り組む
- 量だけでなく質にも注目する
- 業務を最適化する
それでは、それぞれ説明していきます。
企業全体で取り組む
まず、KPI管理は企業全体で取り組むことが大切です。KPIを設定することで、部署やチームの現状・課題を数値で明確化できるようになり、ゴールを達成するための状況が把握しやすくなります。
どの部署のKPIがどのくらい達成していないか、逆に大幅に達成が見込まれているKPIはどれかなど、現状を数値で詳しく把握できるため、必要な経費や人材の調整が無駄なく行えるのです。その結果、企業の生産性が向上し、テクノロジーやグローバル化が発展した複雑なビジネス環境にも対応できます。
量だけでなく質にも注目する
KPI管理では、「売上〇%アップ」のように量的指標に注目しますが、量を増やすことだけを意識するのではなく、成約率などの質にも注目することが大切です。
例えば、売上だけに注目していると、「売上は上がったものの営業の質が低下してしまった」といった事態につながる可能性があります。月額制のサービスを提供している場合、「契約自体は取り付けられているが翌月にすぐに解約されてしまう」という状態では意味がありません。
そのため、量だけでなく質にも注目して成果を出していくように意識しましょう。
業務を最適化する
最後に、KPI管理で重要なのが、業務を最適化することです。KPIは設定すれば完了というわけではありません。KPIを設定したら社員同士で共有し、定期的に分析をして見直しながら、KPIの修正なども検討しつつ管理していかなければいけないのです。
KPIの設定や管理自体は紙などのアナログな手法で行えますが、工数がかかってしまい手間が増えてしまいます。KPIを管理することによって本来の仕事に影響が出てしまわないように、KPI管理を行う際には、KPI管理ツールなどを活用しながら効率的に行っていきましょう。
KPI管理ツールとは
KPI管理ツールとは、KPIを達成するための必要項目が記載されていて、適宜記載をしていくだけで管理できるテンプレートのことです。必要項目の例として、具体的なKPIやKPIを達成するためのTodoの入力、担当者、進捗などが挙げられます。
これらの項目以外に、自社特有の入力項目が必要ということであれば、追加をしながら運用をしていくことも可能です。ツールを確認するだけで社内でのKPIの共有も簡単になるので、自社に適した形にカスタマイズしながら分かりやすいシートを作成していきましょう。
KPI管理ツールを利用するメリット
それでは、KPI管理ツールを利用するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
ここからは、KPI管理ツールを利用する主なメリットを3つ紹介します。
- 報告や共有の手間が省ける
- コミュニケーションツールとしても活用できる
- 進捗を一目で把握できる
以下、それぞれ詳しく説明していきます。
報告や共有の手間が省ける
KPI管理ツールを利用することで、報告をするための資料を作成しないといけなかったり、KPIを複数人に共有する際に誰に報告したのかが分からなくなってしまったりといった手間がなくなります。
例えば、報告の際には、「目標まではあとどのくらいか」「進捗が遅れている場合はどのくらい遅れているのか」などを把握しておかなければいけません。しかし、KPI管理ツールを使用していれば、進捗状況が一目で分かりますし、その情報を報告・共有するのも簡単です。
KPI管理ツールは複数人が同時に閲覧できて、変更内容もリアルタイムで反映されます。そのため、わざわざ報告や共有をしなくても、ツールを見てもらうだけで情報がそのまま共有できるのです。
コミュニケーションツールとしても活用できる
KPI管理ツールはコミュニケーションツールとしての役割も果たします。いつでも誰でも入力・閲覧ができるのでチーム内での資料共有なども簡単ですし、ミーティングなども情報を共有しながらスムーズに行うことが可能です。
特に、近年では、新型コロナウイルスの蔓延に伴って日本でもリモートワークが普及しました。しかし、リモートワークでは対面のときのようにコミュニケーションをスムーズに取ることができないという人も少なくないでしょう。いつでも状況を把握できるKPI管理ツールは、リモートワークでのコミュニケーションにおいても欠かせない存在です。コミュニケーションツールとしての役割を果たせるKPI管理ツールは、コミュニケーションの質を上げるためにも効果的といえます。
進捗を一目で把握できる
KPI管理ツールでは、現状を入力する項目を作って誰でも閲覧できるようにすれば、進捗をすぐに把握できます。チームメンバーがすぐに現在の進捗が把握できれば、業務が遅れている際に周囲がすぐにフォローできて、軌道修正がしやすいです。
KPI管理ツールを導入していないと、上司は部下の進捗状況を把握するのに時間がかかってしまいますし、業務の進捗の確認が遅れて納期直前に遅れに気が付くことになる可能性もあるでしょう。したがって、KPI管理ツールの導入でマネジメントの効率化も期待できます。
ツールごとのKPI管理方法
ここまで、管理ツールのメリットについて解説しましたが、KPIの管理に役立つツールは複数存在します。それぞれ管理方法に特徴があるので、ここで詳しく見ていきましょう。主なKPI管理ツールの例としては、以下の4つが挙げられます。
- 表計算ツール
- SFA/CRMツール
- BIツール
- 目標管理ツール
それでは、それぞれ詳しく説明していきます。
表計算ツール
KPIの管理をする際に導入しやすいのは、ExcelやGoogleスプレッドシートのような表計算ツールです。ライセンスの認証をしていればすぐに扱える、すでに導入している場合が多いなどの理由から、多くの企業が取り入れています。
表計算ツールを活用するメリットは、すでに導入しているツールを活用できるので習得が早く、KPI管理が誰でも簡単に行えるという点です。また、Goolgeスプレッドシートに関しては、インターネット環境があれば、多くの人が一斉に現状の確認や変更ができます。
SFA/CRMツール
営業やマーケティングの部署でKPI管理を行う際には、SFA/CRMツールを用いるのが効果的です。
SFA(Sales Force Automation)とは「営業支援システム」のことで、営業部署の商談件数や受注件数などをリアルタイムで把握できます。
一方のCRM(Customer Relationship Management)は、「顧客関係管理」を意味しています。顧客となる会員の情報や利用履歴などを一元管理できて、会員に対してメリットがある情報を提供するような、最適なアプローチを可能にするのを目的にしたシステムです。
これらのツールは、営業やマーケティングの部署ですでに使用しているという企業も多いため、KPIの管理にも使用しやすいでしょう。
BIツール
BIツール(Business Intelligence)とは、企業に蓄積された大量のデータから必要な情報を抽出して分析できるツールです。時代の変化に伴って人々の要求や行動は多様化し、ビジネスも複雑化しているため、「今、何が売れるのか」「何を求めているのか」を把握しにくくなっています。そのような現状の中、人々の大量のデータを集めたものから、知りたい事項だけを集計して、自動でグラフを作成してくれます。BIツールは大量のデータから分析を測れるのでKPIの管理も容易で、KPIを俯瞰して見ることができます。
目標管理ツール
目標管理ツールを導入すると、目標の意識づけがしやすく、目標達成率が上昇します。目標までの進捗状況の管理などができるので、KPI管理の際に活用している企業も多い傾向です。
目標達成ツールにもさまざまな種類がありますが、多くのツールはリモートワークに対応できるよう、クラウドで管理できるようになっています。さらに、Slackなどのチャットツールと連携しているものもあり、コミュニケーションツールとしても活用しやすいシステムです。
業界ごとのKPI管理の例
KPIの管理におけるポイントなどを解説しましたが、実際にどのように管理をしていけば良いのかまだ悩んでいるという人もいるのではないでしょうか。ここからは、業界ごとのKPI管理の例を紹介していきます。
- 飲食
- 小売
- SaaS
自社のビジネスに近い業界のKPI管理を参考にしながら、導入してみてください。
飲食
飲食業界で設定されることが多いKPIは、「原価率」「予約数」「クチコミ数」などです。原価率の高いものばかりが売れていては商売になりませんし、予約の数が多ければ多いほど売上は安定します。また、クチコミは売上に直接影響はしませんが、新規のお客さんの行動に大きく影響を与える重要な要素です。
飲食業界は仕入れの保存が長くないため、廃棄することも多く、資金の減少が早くなりやすいです。したがって、これらのKPIの管理をしっかりと行って、早めに業務の改善をすることが大切といえます。
小売
小売業で設定されるKPIとしては、「一人あたりの購入単価」「一人あたりの購入数」「値引き率」などが挙げられます。一人あたりどのくらい購入しているのか、一人あたり何点くらい購入しているかの把握は小売店にとってとても重要です。
どんな商品がどのくらい購入されているのか、同じ商品を複数購入されているのか、複数の品目を購入されているのかによって、小売店が取るべき行動が変わってきます。
また、定価から割引して販売をする場合、定価に対してどれくらい割引したのか、その割引率によってどのくらい購入数が上がったのかを管理しておくと、利益率の改善につながるでしょう。
SaaS
最近では、サブスクリプションでサービスを提供しているSaaSのビジネスモデルが増えてきました。そんなSaaSにおける重要なKPIとして挙げられるのは、「MRR」「LTV」「チャーンレート」などです。
SaaSは継続的にサービスを利用してもらうことで安定した利益率を実現するため、毎月の決まった利益を表すMRRが重要なKPIとして設定されやすい傾向にあります。また、LTVもSaaSビジネスで注目されやすいKPIです。顧客が契約してから解約するまでに自社に対してどのくらいの利益をもたらしてくれたのかを表します。
顧客にできるだけ長く契約してもらいたいSaaSビジネスにおいては、解約率をKPIに設定している企業も多いです。解約率を下げることでLTVの向上も狙えます。
まとめ
KPI管理においては、量だけでなく質にも注目し、業務の最適化を図りながら企業全体で取り組むことが重要です。
業務の最適化を図るためには、KPI管理ツールの導入が効果的といえます。コミュニケーションの質の向上が狙えるだけでなく、進捗状況をすぐに確認できて報告の手間が省けるなど、手間や時間の削減につながります。
KPI管理ツールの導入を検討している方は、ぜひ「Scale Cloud」をご検討ください。Scale Cloudは、KPIツリーを用いて各部署やメンバーのKPIが事業全体とどうつながっているかが分かるため、優先的に改善すべきKPIをすぐに把握できて、KPI管理をスムーズに行えるようになるでしょう。
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監修者
広瀬好伸
株式会社Scale Cloud 代表取締役社長
プロフィール
京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて600社以上の事業に関わる。
公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。
株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKY社外役員。
成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。
講演実績
株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。
論文
特許
「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)
アクセラレーションプログラム
OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。