KPIダッシュボードとは?業務別の例や作成手順もまとめて紹介
2021.10.30
KPIを導入するのにダッシュボードを活用したいと思っている企業は多いでしょう。
この記事では、KPIダッシュボードとはそもそも何なのか、KPIダッシュボードを活用するメリット、職種別のKPIダッシュボードの例などを紹介していきます。
企業でKPIを導入したい、KPIダッシュボードの活用方法を知りたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
KPIダッシュボードってそもそも何?
KPIダッシュボードの活用方法を紹介する前に、まずKPIやKPIダッシュボードとはそもそも何なのかを詳しく紹介していきます。
KPIとは
KPIは「Key Performance Indicator」の略で、日本語では「重要業績評価指標」と訳されます。組織の目標を達成するまでに必要なタスクを具体化して達成度や進捗を明確にする指標です。
KPIと間違えられやすい言葉として、KGIというものがあります。 KGIは「Key Goal Indicator」の略で、日本語では「重要目標達成指標」です。企業や組織が最終的に達成すべき指標という意味で、KGIというゴールへの過程としていくつかのKPIを経由すると考えると分かりやすいでしょう。
KPIダッシュボードとは
KPIダッシュボードは、KPIをより簡単で効率的に行うための方法です。KPIはアナログで管理することも可能ですが、データの管理や社内共有に手間がかかるので、現在はビジネスツールを活用するのが主流となっています。
KPIダッシュボードは、さまざまなシステムに散らばっているデータをまとめて一元管理して、進捗率や達成度合いを簡単に確認できるビジネスツールです。経営者・役員・一般社員まで広く利用できるため、業務内容などの共有も簡単にできます。
タスクやスケジュールの管理がしやすいことから、戦略提案や意思決定もスムーズに行いやすいというのもメリットです。
KPIダッシュボードを活用するメリット
KPIダッシュボードはビジネスにおけるKPI設定において役立つツールですが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、KPIダッシュボードのメリットを3つ紹介します。
- 企業が抱えている問題を分析して解決できる
- 各部署のKPI情報が常に更新される
- データに基づいた戦略を立てられる
KPIダッシュボードはどのような点が魅力とされているのか、見ていきましょう。
企業が抱えている問題を分析して解決できる
KPIダッシュボードの大きなメリットとしては、企業が抱えている問題を分析して解決に導けるという点です。
KPIダッシュボードは部門別や目標別などで情報管理ができるため、今抱えている問題に関係するデータをすぐに調査できます。また、目標に対して今どの段階にあるのか、優先すべき業務は何か、問題解決のために効果的な事項は何かをすぐに判断できるというのもメリットです。
問題とその原因をすぐに分析して確認できて、即座に解決へ導けます。
各部署のKPI情報が常に更新される
KPIは目標や達成度の共有が重要ですが、KPIダッシュボードではリアルタイムで情報が更新されて、組織全体に共有できます。
情報伝達の遅れによる業務や認識のすれ違いなどが起こる心配がなく、全てのユーザーが共通したデータを元に業務を進められるのが大きなメリットです。
どこの部署がどのタスクまで進められているのか、タスクが予定より遅れているチームはあるか、遅れている場合はどこをフォローすれば予定通りに進められるのかなどを、すぐに確認できます。
データに基づいた戦略を立てられる
以前までは、勘や経験を元に企業戦略を立てるのが一般的とされていましたが、現在ではその手法で企業経営を行っていくのは難しいでしょう。
KPIダッシュボードを活用すればビジネスに必要な情報を一括管理できるため、管理した情報を分析したデータを元に戦略を立てられます。企業データを元にロジカルな戦略を立てられれば、迅速な意思決定ができるだけでなく、戦略立案で失敗するリスクを軽減することが可能です。
【職種別】KPIダッシュボードの例
KPIダッシュボードのメリットについて解説しましたが、ここからは実際にKPIダッシュボードを活用する際の事例を職種別に紹介します。
- 財務
- マーケティング
- 人事
それぞれの例について、詳しく見ていきましょう。
財務
財務でKPIダッシュボードを活用する場合は、収入や利益、収入構成などの企業の財務状況をまとめて表示すれば、ビジネスの全体像を把握できます。特に収益が得られる部門や業務などを分けて管理できるため、高い精度で分析することが可能です。
分析したデータを元にすれば、組織目標や経営戦略に沿った目標を立てられます。無駄な情報を削ぎ落として、時間やコストを無駄にせず効率的にKPIの設定ができるでしょう。
マーケティング
マーケティングは特にデータ分析が重要となるため、KPIダッシュボードの活用がおすすめです。
マーケティングでKPIダッシュボードを活用する際は、サイトの訪問数やユーザーのアクティブ率、コンバージョン率などのデータが役立ちます。
また、顧客の連絡先や購入履歴などを管理できるCRMや、自社に興味がある見込み顧客への施策実行に役立つMAなどの、マーケティングに関するデータを統合することも可能です。
マーケティングに関する膨大なデータを一括にまとめられるだけでなく、分析や可視化もしやすくなります。データ分析はマーケティングの必須事項なので、データ分析を効率良く行えるようになれば業務全体の負担も軽減できるでしょう。
人事
人事でKPIダッシュボードを活用する場合、出退勤や有給取得状況、残業時間などの社員に関するデータを可視化できます。
また、社員の年齢分布や人員増減数、退職者推移なども把握できるので、なぜ退職者が多いのか、若い年齢層が少ない理由として考えられる原因は何かなどの人事に関する問題点をすぐに見つけることが可能です。
問題点とその解決方法が分かれば、社内の環境改善にも役立ちます。新たに人材を採用する際の参考にもできるでしょう。
KPIを設定する方法
ここまでは、KPIダッシュボードのメリットや事例を紹介しましたが、実際にKPIダッシュボードはどのように利用するのか知りたいという人も多いでしょう。
しかし、KPIダッシュボードの作成方法について解説する前に、まずはKPIの設定方法について紹介していきます。KPIの設定方法は、主に以下の3つの手順で行うようにしてください。
ゴール(KGI)を設定する
KPIは中間目標のようなものなので、まずはゴールとなるKGIを設定しましょう。業種などによってKGIは異なりますが、例えば、営業なら売上高や成約率、マーケティングならサイト流入数やコンバージョン率などが設定しやすいです。
KGIは数値などでできるだけ具体的に設定する必要があります。「売上高を上げる」という不明瞭な目標だと目標達成の基準が分からず、その過程に当たるKPIも設定しにくいです。
KGIは「◯ヶ月以内に売上高を◯円上げる」といったように明確に示して、人によって認識の違いが生まれてしまうといったリスクをなくしましょう。
現状とゴールを比較して差を具体的に把握
KGIを設定したら、今の状況とどれくらい差があるのかといった部分に注目してください。
現状とゴールにどれくらいのギャップがあって、それを埋めるためにはどんなタスクをこなしていく必要があるのか、いつまでにどの業務を行っておかなければいけないのか、などを把握する必要があります。
部署やチームでそれぞれ検討していくと、より具体的で明確なKPIを設定しやすくなるでしょう。
SMARTを元にKPIを設定
KGIを設定したらKPIを検討していきます。KPIは誰が見ても分かりやすい内容であり、KPIを行っていくことでKGIに辿りつくように設定しなければいけません。
KPIは「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Act(改善)」の4つで構成されているPDCAのサイクルで行っていきましょう。KPIを設定しても、業務を行っていくうえで実行が難しくなったりする場合もあるため、状況に応じて改善していく必要があります。
また、KPIを設定する際には、「SMART」を意識すると設定しやすいです。
SMARTとは
SMARTとは、以下の5つの単語の頭文字を取った言葉となっています。
S:Specific(明確性)
「Specific」は「明確性」を意味しています。KPIは組織内で共有する必要があるため、誰が見ても理解できるようにしなければいけません。また、見る人によって認識に違いが生まれてしまうような不明瞭な内容で設定するのも控えましょう。
KPIが明確でないと、達成基準はどこなのか、どの業務を優先するべきなのか、いつまでに終わらせる必要があるのか、など、社員の中で疑問が生まれてしまいます。疑問を抱えた状態ではスムーズに業務を進められません。誰でも一目で理解できるKPIを設定するようにしてください。
M:Measurable(測定可能)
「Measurable」は「測定可能」を意味しています。KPIでは目標にどこまで近づいたか、どれくらいのタスクが残っているのかを確認するので、具体的な数値があると分かりやすいです。
数値で進捗管理ができれば達成度もすぐに見えてきますし、思うように達成できていない場合もどれくらい達成できていないのかといった判断がすぐにできます。どれくらい遅れているのかが分かればリカバリーもしやすいでしょう。
A:Achievable(達成可能)
「Achievable」は「達成可能」という意味合いです。目標を設定する際は高い目標にすることも重要ですが、あまりにも高すぎると現実味がなくなって、目標を達成しようという意欲が薄れてしまいます。
KPIはあくまでも目標であって夢ではないので、達成可能な範囲で設定してください。KPIを手の届く範囲で設定すれば、メンバーも目標に向けて進めようという意欲が高まり、モチベーション向上にもつながります。
R:Related(関連性)
「Related」は「関連性」を意味しています。KPIはKGIへの過程なので、KGIに関連していなければ意味がありません。
KPIを設定する際には、必ずその先にKGIがあるようにしてください。KGIと関係のないKPIを設定してしまうと、順調にKPIを達成していったのに肝心のKGIに辿りつかないということになりかねません。
KGIを先に設定して、そこまでの中間目標としてKPIを設定するようにしましょう。
T:Time-bounded(期限設定)
「Time-bounded」は「期限設定」という意味で、文字通り、KPIには期限を設定する必要があります。
KPIに期限を設定しないと、いつまでに終わらせれば良いのか分からず、他のタスクとの優先順位があやふやになってしまう可能性が高いです。他の業務ばかり優先して肝心のKPIが達成できないということにもなりかねないので、必ずいつまでに終わらせるのかを明確にしておきましょう。
また、期限が明確に決まっていれば、その期限に間に合いそうにない場合も周囲の協力などを得やすくなります。
KPIダッシュボードを作成する手順
KPIの設定方法について理解したところで、KPIダッシュボードの作成手順について見ていきましょう。KPIダッシュボードの作成は、以下の3ステップで行います。
- データに接続してダッシュボードを新規作成
- レイアウト設計
- グラフやアニメーションで視覚的に分かりやすく
それぞれの工程で解説していくので、ぜひ参考にしてください。
データに接続してダッシュボードを新規作成
KPIダッシュボードの作成には、まず必要なデータを一括化するために、データに接続します。ダッシュボードではExcelやCSV、Txtなど、さまざまなデータを取り込んで活用できるので、業務に必要な情報をまとめることが可能です。
接続ができたらダッシュボードがデータを読み込みます。その後KPIダッシュボードを新規作成しましょう。
レイアウト設計
KPIダッシュボードを新規作成したら、空白のキャンバスに必要な要項を追加します。データがすぐに伝わるように、データの種類などに応じてグラフや表などでレイアウトを行ってください。
ダッシュボードの種類によってはグラフなどのレイアウトをサポートしてくれる機能も搭載されています。
グラフやアニメーションで視覚的に分かりやすく
レイアウトが完成したら、さらに分かりやすくなるようにグラフや表を調整します。グラフと一言でいっても、折れ線グラフや円グラフ、棒グラフなど、種類はさまざまです。また、他のデータと連携させながらグラフの色の調整などを行うとさらに見やすくなります。データによっては、地図などで表現することも可能です。
KPIマネジメントツールならScale Cloud
KPIマネジメントツールの導入をお考えの方は、Scale Cloudを検討してみてください。Scale Cloudは企業全体の数値をまとめて可視化して管理できるだけでなく、今優先すべきタスクがすぐに分かるため、業務に無駄が生じることがありません。
また、バラバラに管理しているデータを一元管理できるので、企業全体のデータ分析や予測を行えます。今どこの部署で問題が起こっているのか、タスクが遅れている部署はあるか、なぜ遅れたのかといった分析や、改善するためにはどこをリカバリーすれば良いのか、どの部署がサポートできるのかなども即座に判断することが可能です。
Scale Cloudは誰でも直感的に操作できるように使いやすい仕様になっているので、企業全体に共有しなければいけないKPIの運用にぜひ役立ててください。
まとめ
KPIは、目標達成までに必要なフローを具現化して進捗や達成度を明確にする指標です。KPIダッシュボードはそんなKPIをより効率的に行うためのツールで、データの一元管理や企業内でのデータ共有を簡単に行えます。
KPIダッシュボードを活用することで、企業が抱えている問題を分析して解決できる、各部署のKPI情報がリアルタイムで更新される、データに基づいた戦略を立てられるといったメリットがあります。
KPIダッシュボードの活用を検討している方は、ぜひScale Cloudをご検討ください
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監修者
広瀬好伸
株式会社Scale Cloud 代表取締役社長
プロフィール
京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて600社以上の事業に関わる。
公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。
株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKY社外役員。
成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。
講演実績
株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。
論文
特許
「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)
アクセラレーションプログラム
OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。