freeeとマネーフォワードのKPI比較
2021.03.04
自社KPIだけではなく他社のKPIはどうなっているのか、という声に応えていきます。
今回は、freee株式会社と株式会社マネーフォワードのKPIを比較してみたいと思います。
マネーフォワード社のKPI詳細については、こちらも合わせてご覧ください。
freee株式会社が2月10日、2021年6月期第2四半期(2020年7〜12月)決算を発表しました。
まずはハイライトから。
freeeハイライト
- 売上高は46.1億円(前年同期比50%増)に増収
- 営業利益は△6.9億円(前年同期△9.9億円)に縮小
- ARRは92.7億円(前年同期比49.9%増)と大幅増額
- 有料課金ユーザー数は24.5万社(前年同期比36.8%増)に増加
- ARPUも37.8千円(前年同期比9.5%増)と上昇
freee主要KPIの推移
ARRと売上高
同社が最重要KGIと位置づけるARRは、大幅に拡大(前年同期比49.9%増)して92.7億円となり、ほぼ100億円を達成する水準にまで積み上げられています。
また、売上高についても、同様に大幅に拡大(前年同期比51.3%増)して23.9億円となっています。
有料課金ユーザー企業数とARPU
大幅に拡大しているARRを因数分解すると、「有料課金ユーザー企業数 ✕ ARPU」となります。
まず、有料課金ユーザー企業数は、個人及びSmallセグメントを中心に安定的に増加し、前年同期比36.8%増の245,003件となっています。
次に、Midセグメントはセールスサイクルの長期化が継続しているものの順調に成長したことに加えて、個人セグメントにおける料金プラン改定等の影響もあり、ARPUは着実に成長し、前年同期比9.5%増の37,849円に着地しています。
有料課金ユーザー企業数とARPUの両面で成長した結果として、ARRの大幅拡大につながっていますね。
ちなみに、先月1月14日に2020年11月期通期の決算発表を行った株式会社マネーフォワードのBusinessドメインにおける指標と比較してみるとこうなります。
- 有料課金ユーザー企業数
freeeは24.5万社に対して、マネーフォワードは14.2万社。
- ARPU
freeeは3.7万円に対して、マネーフォワードは4.3万円。
解約率
2020年6月期の12ヶ月平均解約率は1.6%となっています。
UI/UX䛾改善、既存機能の強化、カスタマーサクセスの強化といった施策により継続的な改善を実現しています。
ちなみに、各社の計算方法や計算期間が異なるため単純比較はできませんが、上記のfreerの解約率1.6%に対して、マネーフォワードの2020年11月期の12ヶ月平均解約率は1.5%と推定されます。
執筆(2021年2月24日)時点での両社の時価総額は、freeeが5,746億円に対して、マネーフォワードが2,168億円となっています。
両社ともにマザーズにおける時価総額の上位に位置しており、今後ますます両社の事業拡大が楽しみです。
※各グラフは同社の決算説明資料から抜粋
SaaSビジネスにおける主要KPIについては、他にもまだたくさんあります。
下記、どの企業でも必ず確認するKPIについてまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
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監修者
広瀬好伸
株式会社Scale Cloud 代表取締役社長
プロフィール
京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて600社以上の事業に関わる。
公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。
株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKY社外役員。
成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。
講演実績
株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。
論文
特許
「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)
アクセラレーションプログラム
OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。