営業でKPIが重要な理由は?設定方法や事例で分かりやすく解説
2021.11.10
企業が目標を達成するために必要とされるKPIですが、KPIは営業でも重要といわれています。この記事では、営業でKPIが重要視される理由について詳しく解説していくので、営業でKPIの導入を検討している方は、ぜひご覧ください。
また、営業で設定されるKPIの例、KPIの導入による営業担当者へのメリットなども合わせて紹介していきます。
営業におけるKPIとは
まず、営業におけるKPIとはどういったものなのかを見ていきましょう。ここでは、KPIとは何か、KGIとの違い、などについて説明していきます。
KPI
KPIは「Key Performance Indicator」を略したもので、日本語では重要業績評価指標という意味です。簡単にいうと、企業の最終目標を達成するために実行するべきプロセスを指します。
最終目標を到達するための進捗度合いを図るために活用されて、営業のKPIでは営業の訪問件数や営業売上などが設定されるケースが多い傾向です。KPIは具体的に設定すればするほど、最終目標の達成までの道筋が具体的になります。
KPIとKGIの違い
KPIとKGIを勘違いされる方も多いですが、KGIは「Key Goal Indicator」の略で、企業の最終目標を指します。KPIはKGIにたどり着くまでの過程にある中間地点で、KGIは結果となる最終地点です。
例えば、「今年度末までに売上高を120%にする」という目標がKGIだとすれば、目標を達成するために「訪問件数を◯件増やす」、「顧客単価を一人当たり◯円まで上げる」などのプロセスがKPIとなります。
KPIとKGIはセットで使われることが多く、先にKGIを設定して後からKPIを設定するのが一般的です。
営業でKPIが重要視される理由
営業でKPIを導入して管理することによって、今まで営業担当者一人ひとりが個人の仕事として行ってた営業活動が、営業部門全体の活動となります。例えば、営業管理を一元化してノウハウを共有できれば、営業部門全体の営業効率アップが期待できるでしょう。
また、サブスクリプション型サービスが増えている昨今では、顧客との関係の確立が大切です。利用する顧客とのより良い関係を築くためには、適切なタイミングでのアプローチやサポートが重要なので、営業部門全体での営業管理がさらに重要視されています。
KPIの設定方法
営業でKPIが重要視される理由について理解したところで、KPIの設定方法について見ていきましょう。KPIの設定は主に以下の3ステップで行われます。
- KGI(目標)を設定する
- 自社の営業プロセスに合わせてKPIを決める
- KPIツリーを作成する
それでは、ステップごとに解説していくので、参考にしてみてください。
KGI(目標)を設定する
KPIを設定する際には、まず先にKGIを設定しましょう。KGIは、数値で具体的な目標を設定するのが大切です。
例えば、「売上を上げる」という曖昧なKGIではなく、「前年度よりも月間の売上を1,000万円上げる」といった、明確な数値で設定するようにしましょう。
また、KGIを設定したら、社員全体に共有するようにしてください。社員にも共通の認識を持ってもらうことで、社員同士が同じ熱量を持って業務に取り掛かれるようになるでしょう。
自社の営業プロセスに合わせてKPIを決める
KGIの設定が完了したら、次に自社の営業プロセスに合わせてKPIの設定を行います。KGIを今一度深く掘り下げて、目標を達成するためにはどのようなタスクが必要なのかをできるだけ明確にして、KPIを設定してください。
KPIは具体的な数値で設定して、達成の基準を社員全員が理解できるようにしましょう。営業部署全体で達成していくことで社員のモチベーションややる気の向上につながり、KGI達成の実現に近づきます。
KPIツリーを作成する
KPIを設定したら、次にKPIツリーを作成します。KPIツリーとは、目標達成を実現するためのタスクをツリー状に分解して、目標にたどり着くまでの道筋を可視化して一目で分かりやすくするフローチャートです。
KPIツリーを作成するとタスクの進捗なども分かりやすくなります。どのタスクが遅れているのかを早期に把握できるため、遅れている根本的な原因を見つけやすいです。遅れを早期に発見できればリカバリーも行いやすくKPIやKGIの達成もスムーズになるでしょう。
営業で設定されるKPIの例
KPIの設定方法について解説しましたが、ここからは営業で設定されるKPIの例について解説していきます。
KPIで主に設定されるKPIは以下の通りです。
- 訪問件数
- 営業売上
- 成約率
- 顧客単価
- リードタイム
- 利益率
- 解約率
- 新規顧客数
営業でKPIの設定を考えている方は、ぜひ例を参考にしてみてください。
訪問件数
営業で会社の利益を伸ばすには、訪問件数を増やすことが重要です。しかし、ただ訪問件数を増やせば良いというわけではなく、「成約が見込める訪問件数」を増やさなければ意味がありません。
自社が取り扱っている商品やサービスのターゲット層が若者なのに、年配の方に営業を行っても高い効果は得られないでしょう。「成約が見込める訪問件数」を増やすためには、自社商品やサービスのターゲット層に一致している人に対して、積極的に訪問するようにしてください。
営業売上
個人営業売上でなく全体の営業売上をKPIとして設定すれば、営業のノウハウや知識などを共有しながら、目標達成に向けて営業部門全体で協力できます。個人のスキルだけに頼ることがなくなるため、個人個人の売上を目標として設定するよりも売上の向上が見込めるでしょう。
成約率
成約率も営業でKPIとして設定されやすい項目です。訪問件数をただ増やしても、成約件数を増えなければ企業の売上アップは期待できません。
100件訪問したとしても、成約件数が1件の場合は成約率が1%となってしまいます。訪問件数でも紹介しましたが、商品やサービスのターゲット層に沿った「成約が見込める訪問件数」を増やせば成約率の向上につながるでしょう。
顧客単価
顧客単価とは、成約した顧客一人ひとりの単価のことです。成約件数が同じでも、顧客単価が違えば売上は大きく変わります。
営業活動が行える時間は限られているため、できるだけ利益が得られる商品やサービスを成約した方が、売上の向上が見込めるでしょう。
しかし、近年多くなってきているサブスクリプションサービスの場合は、単価が高い商品やサービスを販売した方が良いとは限りません。サブスクリプションサービスでは継続的な購入の方が利益が出やすいため、高い価格のサービスを短期間で解約されてしまうより、少し価格が安くても長期間利用してもらえる方が高い利益が期待できます。
商品やサービスの販売方法や特徴に合わせてKPIを設定しましょう。
リードタイム
リードタイムとは、実際に顧客に営業をかけてからその顧客が商品やサービスを受注するまでの期間を指します。このリードタイムが短ければ短いほど、効率の良い営業ができているという証拠です。
リードタイムを設定することで、今まで受注までにどのくらいの時間がかかっていたのかを確認できて、その期間を短くするために意識して行動できます。短期間で成約ができれば他の見込み顧客への営業にかけられる時間が増えて、結果的に会社全体の売上の向上につながります。
利益率
利益率もKPIには欠かせない設定の一つです。利益率とは、売上に対する利益の比率で、企業がどのくらいの利益が得られているのかを指します。利益率には複数の種類がありますが、営業部門にもっとも関係が深いのは営業利益でしょう。
営業利益は、売上から人件費や商品原価などを差し引いた金額です。利益率をKPIとして設定すれば、「人件費や広告費を削減すべきなのか」、「売上のさらなる向上を目指すべきなのか」といった方針を決めやすくなるでしょう。
解約率
解約率は、特にサブスクリプションサービスで設定されやすいKPIです。顧客がサービスを継続して契約していればいるほど安定的な売上が得られるサブスクリプションサービスでは、いかに解約率を下げられるかが重要視されています。
解約率は、契約している顧客の中でどのくらいの人数が解約をしているのかの指標となるカスタマーチャーン、解約がどのくらい売上に影響しているのかの指標となるレベニューチャーンの2種類が参考になるでしょう。
カスタマーチャーンは「解約数 ÷ 契約顧客数」、レベニューチャーンは「(サービスの単価×解約数)÷ 売上」で求められます。
新規顧客数
新規顧客数は文字通り、新たに獲得した顧客数で、営業マンにとって重要なKPIの一つです。新たな顧客の流入はどの商品やサービスでも必要で、営業にとっては切っても切り離せません。
KPIの導入による営業担当者へのメリット
営業のKPI設定の方法や事例を解説してきましたが、ここからはKPIの導入による営業担当者のメリットについて紹介します。
営業担当者がKPIの導入によって得られるメリットは、主に以下の2点です。
- 改善点が分かりやすくなる
- 周囲への情報共有がしやすい
それでは、一つずつ紹介していきます。
改善点が分かりやすくなる
KPIの導入により、営業担当者は改善点が分かりやすくなるというメリットがあります。営業活動の精度や効率などは客観的に判断するのが難しいですし、なかなか自分で把握できません。
しかし、KPIを導入して定量的に見られるようになれば、自分の営業活動の精度や件数、効率などを客観的に把握することが可能です。そのため、営業実績を上げるための明確な改善方法が見つかります。
また、他の営業マンの行っているプロセスと比較していけば、どのくらい差があるのかが具体的な数値で見えるため、どのように改善していけば優秀な営業マンに近づけるのかといった判断もしやすくなるでしょう。
周囲への情報共有がしやすい
KPIによって周囲への情報共有や管理がしやすいというのは、営業マネージャーにとって大きなメリットですが、営業マンにもメリットがあります。
営業マンはその日の営業状況を上司に報告しなければいけない機会も多いです。営業状況が良ければ問題ないとは思いますが、毎日営業状況が良い人はほとんどいません。
営業状況が悪い場合でも上司に報告しなければいけないというのがストレスになってしまう営業マンは少なくないでしょう。KPIを導入すればわざわざ上司に報告する必要がなく、チームや部署全体で情報共有しながらお互いにフォローができるため、営業マンの負担を減らす効果も期待できます。
営業部門のKPI設定にはScale Cloud
営業部門のKPI設定には、ぜひScale Cloudをご活用ください。Scale Cloudは事業全体の数値の可視化が可能で、部署内での共有も簡単にできるKPIマネジメントツールです。
「WILL GROUP」・「Serverworks」・「INNOVATION」・「LRM株式会社」など、さまざまな企業での導入実績があり、継続率97%という高い実績を持っています。
そんな高い実績を持つ理由は何なのか、Scale Cloudの特徴を見ていきましょう。
事業全体で簡単にKPIを共有できる
Scale Cloudでは、事業全体で簡単にKPIの共有が可能です。
部署ごとにバラバラになっていたデータを自動的に集約・統合できます。データを一括管理すれば必要な情報をいつでも簡単に見つけられて、作業を効率化できるでしょう。さらにKPIの進捗管理なども行いやすく、進捗が遅れているKPIを素早くリカバリーできます。
企業やチームごとの課題を分析して改善できる
Scale Cloudでは達成状況が悪いKPIの通知機能などもあって予実のズレが瞬時に分かるので、問題や課題を見つけやすいです。課題をすぐに発見できれば分析すべき部分も分かりやすく、すぐに策を練って改善につなげられます。
また、Scale Cloudのシナリオフォーキャストという機能では、現在の計画のままで最終目標を達成できるのか、着地見込みはどうなるのかなどをボタン一つで予測可能です。今後の予測ができればKGIも達成しやすいでしょう。
まとめ
今までの営業は、営業担当者一人ひとりが個人の仕事として営業活動を行なっていたため、営業成績が営業担当者のスキルによって大きく左右していました。しかし、KPIを導入して管理すれば、営業活動は営業部門全体の仕事となり、部門全体でノウハウを共有しながら協力して行うことが可能です。
さらに、営業担当者は、自分の営業活動の精度や効率を客観的に判断して改善方法が見つけやすくなる、周囲への情報共有がしやすく成績が思わしくないときに上司に報告するストレスがなくなる、といったメリットがあります。
営業では、訪問件数や営業売上、成約率、顧客単価などがKPIとして設定されやすいです。営業でKPIの設定・管理をするなら、事業全体で数値を管理しながら簡単に共有できるScale Cloudを検討してみてください。
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監修者
広瀬好伸
株式会社Scale Cloud 代表取締役社長
プロフィール
京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて600社以上の事業に関わる。
公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。
株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKY社外役員。
成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。
講演実績
株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。
論文
特許
「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)
アクセラレーションプログラム
OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。