SaaSの高成長が続くマネーフォワードのKPI
2021.03.04
目次
決算情報
全社の2020年11月期の通期ハイライト
- 売上高、営業利益、EBITDAのいずれも予想レンジ内で着地
- 連結売上高は前年同期比+58%の113.2億円
- 売上総利益は前年同期比+76%の76.2億円
- EBITDAは△21.7億円。広告宣伝費除くEBITDAは12.0億円の黒字
- グループ全体のSaaS ARRは82.5億円に到達
- グループ全社の課金顧客数は42万を突破
同社は、
- クラウド会計ソフトなどを提供する「Business」ドメイン
- 個人向けサービスを提供する「Home」ドメイン
- 新たな金融サービスを創出するXドメイン
- 決済サービスやファクタリングサービスを提供するFinanceドメイン
といった4つの事業ドメインがありますが、売上高が前年同期比+75%の73.0億円と高成長が続く「Business」ドメインについて取り上げたいと思います。
Businessドメインの2020年11月期の第4四半期
4Q売上高は22.0億円と過去最高を記録し、前年同期比+78%と大きく成長
これは、『BOXIL』等を提供する スマートキャンプ社や『V-ONEクラウド』等 を提供するR&AC社をグループ会社化したことが大きいですが、それらの影響を除く法人向けのストック売上高も、前年同期比+41%と高成長を継続しています。
ARPA及び課金顧客数も着実に成長
ARPAは、法人 77,189円、個人事業主 11,821円で、個人事業主向けのARPAは前四半期比△1.4%と減少傾向にあるものの、法人向けのARPAが前四半期比 +2.9%と順調に増加し、全体としてのARPAは前四半期比+3.1%と順調に増加しています。
課金顧客数は、法人 69,713、個人事業主 72,501で、合計14万をを突破。
個別に見ても、法人の課金顧客数は前四半期比+6.4%、個人事業主の課金顧客数は前四半期比+4.0%と、両軸にともに順調に増加しています。
課金顧客の解約率は0.8%と更に改善
課金顧客ベースの解約率は0.8%で前四半期比0.3%の改善で過去最高の水準。MRRベースの解約率も△0.9%で前四半期比0.3%の改善と、着実に改善していっています。運用に乗ればほぼ解約にならないというのは本当に強いですね。
資料請求件数が2.7倍に増加
10月〜12月には大型マーケティングを展開。TVCMは、印象的な人形と明確なメッセージが特徴的で、その効果もあってオンラインでの資料請求件数が2.7倍に増加し、認知度向上と新規リードの獲得に大きく貢献しています。
以上、マネーフォワードのKPIについて見てきました。
実際はまだまだ詳細なKPIを日々追っていると思います。その点、いままではARPAと課金顧客数についてはここまで詳細には開示していませんでしたが、今回から開示されています。
今後、このようなKPIの詳細開示は上場企業全体に広がっていくと思いますし、そうなってほしいですね。
※各グラフは同社の決算説明資料から抜粋
今回は、SaaSビジネスにおける主要KPIについて触れてきましたが、SaaSビジネスに限らず、いまやKPIの活用が常識化していっています。
これからのKPIマネジメントについては「KPI資料」にまとめましたので、気になるものがあればぜひ参考にしてください。
関連記事
No posts found!
監修者
広瀬好伸
株式会社Scale Cloud 代表取締役社長
プロフィール
京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて600社以上の事業に関わる。
公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。
株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKY社外役員。
成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。
講演実績
株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。
論文
特許
「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)
アクセラレーションプログラム
OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。