営業管理とは|見るべき項目や管理方法を詳しく紹介
2022.10.11
営業管理とは、文字通り営業活動を管理することで、営業職を行っていく上では欠かせないものです。では、そんな営業管理はどのように行っていけば良いのでしょうか。
この記事では、営業管理で見るべき項目や具体的な方法、効率的に行うポイントなどを解説していきます。営業管理の方法でお悩みの方は、ぜひ記事を参考にしてみてください。
営業管理とは
営業管理とは、営業職の社員が行っている営業活動をいくつかの項目で管理し、営業活動の実績を数値化・分析することで、企業の営業力を高めることです。営業管理を適切に行っていけば効率の良い営業活動ができて、営業の目標達成、ひいては企業の売上直結につながります。したがって、営業管理の向上が企業の成長に影響を与えているといっても過言ではありません。
では、営業管理とは具体的にどのようなことをしていくのか。まずは、営業管理で見るべき項目について見ていきましょう。
営業管理で見るべき項目
営業管理の概念について解説しましたが、営業管理にはどのような項目があるのでしょうか。営業管理を高める上で見るべき項目について、具体的に解説していきます。
- 目標管理
- 顧客管理
- 案件管理
- 行動管理
- スケジュール管理
- 人材育成管理
以下、それぞれ見ていきましょう。
目標管理
目標管理とは、立てた目標に対する達成度や進捗具合を確認することです。現在の営業職としての能力に対し、立てた目標が低すぎてないか、または高すぎてないかを確認します。
そこで、営業職の個人の目標から少し上のレベルを設定し、営業職としての成長を促すのが目標管理の目的です。低すぎたり高すぎたりする目標の設定は、営業職のモチベーションを落とす可能性があるため、営業管理を束ねる管理職と十分に話し合いをして、努力をして頑張れば達成できる目標設定をする必要があります。
顧客管理
顧客管理とは、顧客先での商談や顧客が利用したサービス、購入した商品などの販売履歴、進捗状況を管理することです。顧客管理が確立できていないと、顧客データから適切なサービスや商品を提供できず、営業力が低下してしまうでしょう。
また、近年は顧客のデータだけではなく、顧客との関係性も管理する「顧客関係管理」にも注力することが大切です。顧客関係管理(CRM)を行う上では、CRMツールを用いて顧客に関する情報を管理するのがおすすめといえます。CRMツールの詳細については後述するので、ぜひ記事の後半までご覧ください。
案件管理
案件管理とは、商談が決まってから契約になるまでの状況を管理することです。案件管理が営業管理の項目になった背景には、営業職が個別で案件を抱えていたものの、顧客と営業担当の関係性が不透明だったという点が挙げられます。
関係性が不透明な状態で案件管理を担当の営業職に任せていると、商談が破断になった場合などに、破断の原因が不明のまま周知されず消えてしまう可能性があります。そこで、組織で案件管理をして、破談になったり契約に至ったりした要因を分析し、ノウハウを蓄積することで営業力の向上につなげるのです。
行動管理
行動管理とは、営業職の行動を数値化して管理することです。営業職は、顧客先の企業を訪問するような外出が多く、個人の行動を管理しにくいのが課題でした。そこで、営業職の営業活動を数値化し管理する行動管理を取り入れ、営業力向上のために数値化と分析を行うのです。
行動管理で確認される具体的な例として、顧客へのアポイントメント、コール、訪問、商談の数などがあります。これらの項目に関する実績を収集してデータ化し、分析することで、どの点が優れていて、どこに課題があるかが分かるようになるのです。また、成績の良い営業職の行動管理も共有できるようになり、営業職全体のレベルアップも図ることができます。
スケジュール管理
スケジュール管理とは、営業職の現在および今後のタスクをスケジュールで管理することです。例えば、商談がある日や営業をする日、営業職の新人の営業や商談をサポートをする日など、いつどこで何が行われるかを可視化すれば、今誰が何をしているかを把握しやすいです。
スケジュール管理ができていないと、顧客はもちろん、社内の関係者にも迷惑をかけてしまいます。そのため、商談前の移動時間は多めに確保するなど、余裕を持ったスケジュールを立てることが大切です。適切なスケジュールを各営業担当者がきちんと組めているかをチェックするプロセスも取り入れるようにしましょう。
人材育成管理
人材育成管理の目的は、営業職の営業での質を上げることです。営業担当者の能力や経験を把握し、先輩のサポートを受けつつ、少しずつ難しい商談に挑戦していけるようにします。
また、プレゼンテーションで見せる資料を分かりやすく作るために研修を受ける機会を作るのも人材育成管理の1つです。
さらに、営業職の中でもトップの成績を収めている方が、新人や若手にノウハウを伝えるのも重要です。このように、営業職個人の能力を上げていくには、人材育成管理が欠かせません。
営業管理を行うメリット
営業管理についてそれぞれ詳しく説明してきましたが、営業管理を行うことでどのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、営業管理の主なメリットを3つ紹介していきます。
- 営業活動をデータとして管理できる
- 業務の効率化が期待できる
- 数値化されて分析しやすくなる
それでは、それぞれ説明していきます。
営業活動をデータとして管理できる
多くの顧客と商談を行う営業活動では、膨大な情報を扱わなければいけません。そのため、顧客情報をデータで一元管理しないと、情報が交錯してしまい、営業の質が低下して商談が失敗になる可能性が高くなります。
営業活動に必要な顧客情報をきちんと管理し把握できていれば、ニーズやデータの分析によって商談の成功につながりやすくなるのです。
また、データとして管理することで、1人の営業担当者だけが情報を把握するのではなく、上司や同僚も顧客の情報を入手できます。営業活動をデータで管理すれば、属人化が防げて、上司や同僚もサポートがしやすいという点もメリットです。
業務の効率化が期待できる
また、業務の効率化が期待できるのも営業管理をする上でのメリットです。営業の現場では、顧客の担当者に連絡しても不在だった、商談や会議のために多くの資料を準備しなければいけなくなったなど、非効率な時間を費やすケースも珍しくありませんでした。
しかし、営業管理を詳細に行えば、顧客のスケジュールをきちんと把握できる、情報を営業管理ツールで一元に管理して資料準備の時間を減らせるなど、効率化を進められるようになります。非効率な業務は、営業職にとってモチベーションを下げる要因の1つなので、営業管理を取り入れるメリットは大きいといえるでしょう。
数値化されて分析しやすくなる
営業管理を取り入れれば、営業職の状況を数値化して分析できます。例えば、案件の進捗や商談の内容から売上の予測ができますし、そこからさらに売上を伸ばすための戦略を考えることも可能です。
また、案件の進捗がスムーズに行われていない場合は、数値化されたデータによって詳細な進捗状況が一目で把握できるだけでなく、何が原因で遅れが発生したのかをチームで把握するのも容易になります。
具体的な営業管理の方法
ここからは、営業管理でよく使われている具体的な方法を紹介していきます。営業管理で主に活用されているのは、「Excel」と「CRM/SFA」です。それぞれメリットとデメリットがあるので、確認してみましょう。
Excel
Excelで営業管理する方法は、利用におけるライセンスの認証をしていればすぐに扱える点、営業担当者に合わせて自由に管理表を作成できる点などがメリットです。
また、近年はExcelとほぼ同じ機能が使えてクラウドで管理できる、Googleスプレッドシートの使用も増えています。スプレッドシートのメリットは、管理されたページに他の社員がアクセスしていても同時更新が可能なことです。一方で、デメリットとして、案件管理や行動管理の場合、顧客によっては更新する回数が増え、他のシステムのデータと顧客データを紐づけするのが難しい点などが挙げられます。
もしExcelで営業管理をする場合、管理しているデータに入力漏れがないかをチェックしたり、担当に促したりする体制が必要です。
CRM/SFA
Excel以外の営業管理をする方法として、CRMとSFAも挙げられます。CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客管理システムのことです。CRMでは、営業活動における売上や利益に貢献する顧客のデータを詳細に管理できて、顧客にリピート購入や新規商品の購入をしてもらうために役立ちます。
一方でSFA(Sales Force Automation)は、営業活動支援システムのことです。SFAには、商談やスケジュールの管理、報告書の作成や共有、営業時間の分析といった営業活動を支援するための機能があります。
CRMもSFAのどちらも、高速な分析と正確な結果を得やすい点がメリットです。しかし、初期費用がかかるのと使い方に慣れるために時間がかかるのが難点です。
営業管理を効率的に行うポイント
最後に、業務管理を効率的に行うポイントについて説明します。具体的に業務管理を効率的に行う方法は以下の3点です。
- 自社に適した方法に最適化していく
- 評価基準を明確にする
- ワークフローを作成する
それでは、詳しく説明していきます。
自社に適した方法に最適化していく
営業管理を効率的に行う上では、他社でうまくいった方法が自社でうまくいくとは限らないという点に注意してください。なぜなら、そもそもの企業としての目標や職場環境が違いますし、営業担当の能力なども異なるからです。
自社で考えた営業管理では、最初はうまくいかない可能性もあるでしょう。そのため、試行錯誤を繰り返してうまくいく方法を探すことが大切なのです。他社から学んだ良い方法をそのまま取り入れるのではなく、試行錯誤して改善を繰り返しながら、自社に適した方法に最適化していく必要があります。
評価基準を明確にする
管理職の方は、評価基準をどうするのかを明確にするのが大切です。営業の種類などによって、成約率や新規顧客獲得数などの結果だけを見る評価基準を設定する場合もあれば、架電のコール数やアポイントメントした数などのプロセスを重視する評価基準をつける場合もあるでしょう。
評価基準を詳細に決めておくと、営業をする側もやるべきことが明確化し、課題となる項目も見つけやすいため、営業力向上につながります。管理する側も基準があれば評価しやすいので、評価基準を曖昧にしないというのは組織にとっても重要なポイントです。
ワークフローを作成する
ワークフローを作成することで、営業を正確かつ効率的に進められます。営業担当者がワークフローを考えずに独自の考えで営業をすると、成約までの効率が悪くなってしまう可能性があります。また、独自のやり方で進めていると、営業活動が属人化しやすいというのも問題点です。
したがって、営業におけるワークフローを作成して、効率的な営業の進め方をマニュアル化するだけでなく、営業を進める上での問題点を見つけ出して解消しておく必要があります。営業の部署全体で成績を向上させるためにも、ワークフローを作成し、営業職全員がワークフローの内容を把握しておくことが重要なのです。
まとめ
営業管理を導入するメリットは、営業活動をデータにして業務の効率化と営業力向上に役立てられるという点です。営業管理では、下記の6つの項目に注目するようにしましょう。
- 目標管理
- 顧客管理
- 案件管理
- 行動管理
- スケジュール管理
- 人材育成管理
営業管理を行う方法としては、ExcelやGoogleスプレッドシートなどが挙げられます。しかし、より本格的に行うなら、CRMやSFAといった専用のツールを用いたほうが、詳細かつ簡単に顧客や営業方法を分析できて、営業に役立てられます。
営業管理の導入は企業の売上にも直結するため、営業管理をしっかりと行うことが結果的に経営の安定化にもつながるのです。
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監修者
広瀬好伸
株式会社Scale Cloud 代表取締役社長
プロフィール
京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて600社以上の事業に関わる。
公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。
株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKY社外役員。
成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。
講演実績
株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。
論文
特許
「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)
アクセラレーションプログラム
OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。
取材実績
著書
note
- 資金調達力の向上
- 信頼の獲得
- 人材確保で優位
- 株価の売買
- 準備時間・コストの確保
- 上場へのプレッシャー