オロで設定している主なKPIと独自で行っているPGIとは

2022.09.07
オロで設定している主なKPIと独自で行っているPGIとは

企業のビジネス状況を正しく把握するのは容易ではありません。その助けとなる指標がKPIですが、企業の規模や業種、サービスの内容などによって用いられるKPIの種類はさまざまです。そこで、今回は株式会社オロが公開しているKPIについて詳しく紹介します。

オロの事業内容や近年の業績、さらに公開されている情報の中から重要視されているKPIやその活用について説明しているので是非最後までご覧ください。

オロの会社概要

会社名株式会社オロ
所在地本社〒153-0063 東京都目黒区目黒3-9-1 目黒須田ビル
代表取締役社長川田 篤
設立1999年1月20日
資本金1,193百万円

オロの事業内容

オロはデジタルマーケティングの分野において、顧客企業のマーケティング戦略の策定から実際の運用サポートまで、総合的なソリューションを提供しています。実際には以下の3つの事業を展開しており、デジタルの活用がますます推進される現在において、ニーズを捉えた事業を行っているといえるでしょう。

  • クラウドソリューション
  • マーケティングコミュニケーション
  • スタートアップ(新規事業)

それぞれの事業について、解説していきます。

クラウドソリューション

クラウドソリューション事業では以下の2つの製品を取り扱っています。どちらもクラウドベースのサービスであり企業の業務効率化や経営をサポートするツールです。

クラウドERP 「ZAC」

ERPとはエンタープライズ・リソース・プランニングの頭文字をとった略語であり、一般的には企業活動を行う上で必要な経営資源を効率的にマネジメントすることを目的とした手法のことです。

ZACはクラウド型のCRPパッケージであり、案件別もしくはプロジェクト別の収支管理を中心とした機能を有しています。プロジェクト開始前の予算計画から開始後の原価・仕掛け計算や損益マネジメント、さらに予実差異分析など重要な基幹業務をサポートする機能が豊富です。BIツール機能も搭載しており、部門別のPLや売上予測、作業時間分析などの生産性分析結果をダッシュボードに表示でき、グラフによって重要な指標をモニターできます。

外部連携機能で他の会計システムや給与システムからデータを統合することによって、KPIなど経営に重要な指標を随時把握可能です。

Reforma PSA

本サービスはITやweb、広告業界などのクリエイティブ業界に最適化された案件管理システムです。営業担当と経理などのバックオフィスの業務の重複や後戻りを減らし横断的で効率的な業務管理を実現します。

また、案件毎に原価を自動計算するなど、集計作業の工数を削減することが可能です。収集されたデータや指標から経営レポートをワンクリックで出力でき、経営のスピーディな意思決定につながります。

マーケティングコミュニケーション

企業が提供する製品やサービスと消費者をつなぐための効果的なマーケティングコミュニケーションを行うサポートをしています。特徴としては、下記の通りです。

  • 過去データからインサイトを取得し効果的なプロモーションの展開
  • データドリブンCRMによるLTV向上
  • クリエイティブ・メディア戦略によるマーケティングROI向上
  • クロスメディア戦略によるブランドエンゲージメント向上
  • データ活用基盤の導入やCMS/webサービス導入のサポート

また、デジタルを活用したグローバル化を支援し、中国や東南アジア諸国のマーケットでより多くの人たちに価値を届けるためのサポートを行っています。具体的には、海外に向けたSNSの運用や広告配信サポート、EC支援などです。

もう1つ、デジタルマーケティングに不可欠なサービスとしてSEOや広告分析、SNS競合などの対策を行うツール「SEMRUSH」も販売しています。

スタートアップ(新規事業)

スタートアップ事業では、2つのサービスを提供しています。

1つは、企業が複数のSaaSを契約している際にその管理を効率化するためのツールである「デクスコ」です。契約状況やアカウントの利用数などを一目で分かるように管理し、無駄な契約契約や確認作業の削減、セキュリティリスクの低減などの目的で利用されます。

もう1つのサービスが、営業資料や製品カタログなどを顧客ニーズに合わせて最適化する「Preco」というツールです。保有する資料を一元管理でき、配布した電子資料の情報をトラッキングし、どのページを読んだのかなどの情報を把握できます。製品の仕様変更などで資料の内容を編集したい場合にも、抜けや漏れなどで生じる情報の不一致を防ぐことも可能です。

オロの市場規模

引用:2022年12月期 第二四半期 決算説明資料

オロの2022年第二四半期の決算状況を見ると、全体の売上高は29億円でそのうち約17億円がクラウドソリューション事業、約12億円がデジタルトランスフォーメーション事業(マーケティングコミュニケーション)が占めています。

クラウドソリューションのターゲット企業は約44,000社であり、2030年までに累計3,000社への導入を目指しています。2021年までの導入企業数は1,183社となっています。

オロの業績推移

2020年12月期2021年12月期2022年12月期
売上高(百万円)4,8775,530
営業利益(百万円)1,5802,027
当期純利益(百万円)64.6987.96

引用:オロ 財務情報

オロの売上収益は過去順調に伸びており、2022年12月期も順調に推移しています。

引用:2022年12月期 第二四半期 決算説明資料

また、事業別の売上高を見ると特にクラウドソリューション(CS)事業の伸びが顕著に見られます。

クラウドソリューションの成長をけん引しているのはストック型ビジネスモデルを持つクラウドERPのZACです。つまり、システム保守やクラウド環境の提供または契約の月額サー

ビス料による影響が大きいでしょう。

今後の展開

ZACサービスの契約数は下図のように年々増加しており、新規契約数の順調な増加と既存顧客との取引が拡大していることに起因しています。

引用:2022年12月期 第二四半期 決算説明資料

今後も働き方改革や会社運営の効率化が求められる時代背景の中、クラウドソリューション関連サービスのニーズはますます高まってくることが予想されます。

オロではKPIの他に独自指標の「PGI」を開発

オロでは事業の状況を管理するためにさまざまなKPIを利用していますが、通常のKPIの他に、独自のPGI(Project Goal Indicator)という独自の指標を設定しています。

デジタル広告では、これまでの一般的な指標では広告の効果が見えにくい傾向です。例えば、店舗への来店促進を目的に広告を出してクリック率を計測しても、目的に沿った直接的な効果は測れないことになります。PGIはこれを改善し、効果を可視化できるデジタル広告の導入を可能にしました。,

独自のフレームワーク「Quatro Analytics」を採用

近年のデジタル化の推進により、マーケティング領域においてもデジタルデータが活用されています。この流れは今後ますます強くなることが予想されますが、データの活用は容易ではありません。特に、データを扱う人材の不足は一層厳しいものになるでしょう。

そのような中、オロではマーケティングプロモーション以下の4つの要素で分析を行うことで、データドリブン型のプロモーションを計画・実行し、高い効果を達成するとしています。

  • 施策
  • KPI
  • コンテンツ
  • パフォーマンス

順番に見ていきましょう。

Data Analytics

企業の製品やサービスの売上データや顧客行動に関するデータ、検索トレンドデータやSNSなどのデータを活用して顧客ニーズを分析し、企業のマーケティングプロモーションの目的やターゲットを明確化し、最適な戦略立案をサポートします。

Plan-KPI Analytics

SNS上に存在するデータやKOLの属性情報などのデータ分析から、最適なKPIの設定をアドバイスし、それぞれのKPIの精度を向上させていきます。

Creative Analytics

過去の動画やバナーなどのコンテンツ閲覧に関するデータやキャッチコピーなどのデータを分析し、効果的なクリエイティブコンテンツの作成を実現します。

Performance Analytics

ここでは、実行したプロモーション施策のパフォーマンスを分析し、将来に向けた改善策を導きます。具体的には、設計したKPIの数値を分析して要因となるポイントを明確化するのです。この中でBIツールなどが活用されます。

オロの主なKPI

それでは、次にオロで用いられている主要KPIを見ていきましょう。オロでは、主に下記3つのKPIが用いられます。これらはサブスクリプション型のビジネスを展開する企業の中で用いられることが多く、将来に渡って収益を安定的に増加させるために、適切に現状を把握する目的で利用されます。

  • MRR
  • チャーンレート
  • ユニットエコノミクス

これらについて詳しく見てみましょう。

MRR(Monthly Recurring Revenue:月間経常収益)

サブスクリプション型のビジネスモデルでは、毎月定期的に発生する収益を表すMRRに注目する場合が多いです。

オロの公開資料には直接MRRやARRの言及はありませんが、上述したようにオロのクラウドソリューションサービスの新規契約数は毎年順調に増加しているため、MRRやARRは伸びていると推測できます。つまり、サブスクリプション契約の増加によって毎月安定的な収益を得ているといえるでしょう。

MRRについては、「SaaSの主要KPI【MRR】とは?概要や計算方法を分かりやすく解説」の記事をご参照ください。

チャーンレート

引用:2022年12月期 第二四半期 決算説明資料

チャーンレート(Churn Rate)は契約した顧客の離脱状況を示す指標であり、解約率として表されていることも多いです。下図は、オロのクラウドソリューションサービスの解約率を示しています。図を見ると、主力サービスのZACの解約率は0.5%以下と非常に低い数値を維持していることが分かるでしょう。解約する顧客は非常に少なく、新規獲得顧客の増加によって収益は拡大していると推測できます。

チャーンレートについては、「SaaSの主要KPI【チャーンレート】とは?種類や目安を解説」の記事からご覧いただけます。

ユニットエコノミクス

ユニットエコノミクスは「1顧客当たりの経済性・採算性」を示す重要な指標です。この指標を求めるためには、LTV(Life Time Value : 顧客生涯価値)とCAC(Customer Acquisition Cost : 顧客獲得コスト)を算出する必要があります。

ユニットエコノミクスは、1顧客から得られる生涯収益を表すLTVを、新規1顧客を獲得するために費やされるコストを表すCACで割ることで算出可能です。

オロの資料にはユニットエコノミクスの数値はありませんが、顧客当たりの平均利用額や平均利用年数は上記の指標を見る限り増加しているでしょう。その結果、LTVも増加しているのではと予想できます。

また、CACは顧客獲得コストが不明なので具合的な数値として算出できませんが、基本的に新規顧客が増えるほどCACは小さくなります。過去の顧客数トレンドと将来予測を鑑みると、CACはより小さくなることが予想されるため、ユニットエコノミクスの数値は大きくなるでしょう。

ユニットエコノミクスについては、「SaaSの主要KPIと【ユニットエコノミクス】とは?計算方法や目安を紹介」の記事で解説しています。

まとめ

オロはデジタル化が推進される社会において、企業の抱える課題の解決をサポートするサービスを展開し、特にデータ活用を推進して業務の効率化や効果的なマーケティングをサポートするサービスを有しています。

そして、サブスクリプション型のビジネスにおいて重要な解約率を低い数値で維持しながら、新規顧客数の獲得に成功しています。不確実な要素が多く適切にビジネスをマネジメントすることが難しい現在において、オロのビジネスは良好な成果を出しているといえるでしょう。

監修者

広瀬好伸
株式会社ビーワンカレッジ 代表取締役社長

プロフィール

京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて600社以上の事業に関わる。

公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。
株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKY社外役員。

成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。

講演実績

株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。

論文

『経営指標とKPI の融合による意思決定と行動の全体最適化』(人工知能学会 知識流通ネットワーク研究会)

特許

「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)

アクセラレーションプログラム

OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。

取材実績

日本経済新聞、日経産業新聞、フジサンケイビジネスアイ、週刊ダイヤモンド、Startup Times、KANSAI STARTUP NEWSなど。

著書

『飲食店経営成功バイブル 1店舗から多店舗展開 23の失敗事例から学ぶ「お金」の壁の乗り越え方』(合同フォレスト)

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