成功企業から見るKPI設計の例は?職種別・業界別の具体例も紹介

2022.10.28
成功企業から見るKPI設計の例は?職種別・業界別の具体例も紹介

近年、効率的な事業目標達成の方法として注目されている「KPI」は、国内外の大企業が社内の業績評価システムとして採用しています。しかし、実際にはどのように設定され、効果をあげているのでしょうか。自社に取り入れる前に、KPI設定の実例を知りたいという方も多いでしょう。

この記事では、KPIとは何かを混同されがちな「KGI」「KFS」との違いと合わせて解説するとともに、成功企業のKPI設計の例や職種別・業界別の具体例も紹介していきます。KPIの事例を知りたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。

事例から見る「失敗しない」KPI設定

KPIを設定するためには、まず社内の課題や現在不足していることを明確にするプロセスが非常に重要です。

会社の数だけ異なるKPIがあるので、同業他社のKPIをそっくりそのまま真似をしても上手く運用できません。そのため、まずは自社の現実を正確に分析する必要があるのです。自社の分析を行ってから、KPIによって業績に良い効果をもたらした企業の実例を参考にしつつKPI設定を行っていくのが良いでしょう。

ビジネスモデルや企業の規模、事業内容など、自社に似ている企業のKPIはどのように設定しているのかを知りたいという方のために、さっそく紐解いていきましょう。

そもそもKPIとは?

KPIは英語のKey Performance Indicatorの略で、日本語では重要業績評価指標という意味です。簡潔にいうと、最終目標(KGI)を達成するためにプロセスが適切に実行されているかを定量的に管理・評価する指標となります。

いきなり最終的な目標であるKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)だけを設定して「これを目指しましょう」といわれても、社員は何から始めて良いのかが具体的に分かりません。場合によっては、困難な目標を達成しないと評価されないのかと士気が下がってしまう可能性もあるでしょう。

しかし、KPIを設定していれば、最終目標を達成するためにどのような段階を踏んで行けば良いのかが目に見えて分かるようになります。目標を日々のタスクに落とし込めれば、「まずは何から行うべきなのか」がはっきりして、効率的に仕事を進められるでしょう。

また、最終的な目標に向けた過程もしっかりと評価してもらえるとなれば、社員のモチベーションアップにもつながる効果が期待できます。

KPIを設定する目的

各社員や、各チームごとに達成すべき目標を立ててしまうと、それが結果的に会社の成長や売上の向上につながらなくなってしまうということが起こり得ます。そこで重要なのがKPIの設定です。KPIを設定すれば、社内全体の方向性を統一できます。

KPIは、会社として達成すべき最終目標(KGI)を最初に設定し、そこからブレイクダウンする形で中間目標(KPI)を決めるので、方向性がブレることが無いのです。各部署、各チームで細かな行動KPIは異なっていても、見据える方向は同じという理想的な形が実現できます。

また、全体での評価基準が明確になるため、社員もどのように頑張れば評価してもらえるのかが分かりやすく、モチベーションの向上が期待できるでしょう。社員全員が協調性を持って高いモチベーションで仕事に取り組めれば、企業としての成果も期待できるでしょう。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: ban_wp_kpi_アニメA.gif

成功企業に学ぶ!KPI設計の事例

それでは、実際にKPIを取り入れて成功した大企業の事例を見ていきましょう。今回は、下記の5つの企業を紹介していきます。

  • ビズリーチ
  • Amazon
  • メルカリ
  • チームスピリット
  • SHIFT

1社ずつ、詳しく解説していきます。

ビズリーチ

ビズリーチは、企業から人材に直接アプローチする「ダイレクトリクルーティング」という独自のシステムが特徴的な求人サービスです。

ビズリーチを運営する「ビジョナル」はHRMOS事業も行っており、ビズリーチ事業、HRMOS事業ともに売上は年々上昇しています。上がり幅は近年やや落ち着きぎみですが、安定して上昇傾向にあるようです。

ビジョナルの事業では、「資本のKPI」と「効率のKPI」という2種類のKPIがあります。資本のKPIは、「そのKPIが増えていくと、それに伴ってコストが増えていくKPI」です。一方、効率のKPIは逆で「そのKPIが増えても、それに伴ってコストが増えていかない(いきづらい)KPI」です。

ビジョナルの事業の成功は、この2つのKPIがあることによるバランスの良さが鍵となっています。

詳細は「時価総額1,500億円の大型上場!ビズリーチのKPIはどうなっている?」の記事で解説しています。

Amazon

いわずと知れた大手ショッピングサイトのAmazonですが、2002年の営業黒字化以降も営業利益は低水準で推移している一方で、営業キャッシュ・フローは飛躍的に増加しています。

その秘密は、Amazonの「資金のKPI」にあります。「キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)」と呼ばれるもので、「会社が原材料や商品の仕入などへ現金を投入して在庫になり、それを販売してから最終的に現金化されるまでの日数」を示した指標です。このCCCが小さいほど資金効率は良いといえます。

AmazonのCCCは驚くべきことに、平均しておおよそ「マイナス30日程度」です。計算上では、商品の仕入れ代金を支払う約30日前には商品の代金をもらっているということになります。

これによって、製品が売れれば売れるほど、資金が多く手に入るサイクルを実現しています。多くの企業は「売り上げのKPI」に傾倒しがちな中、このAmazonのKPI成功例は貴重な指標となるでしょう。

詳細は「Amazonの資金KPIが本当にすごい!」の記事をご参照ください。

メルカリ

メルカリもAmazonと同様に、資金のKPIで成功を収めています。メルカリの場合は、購入者が支払った代金がメルカリに入金され、そこからメルカリの手数料を差し引いた残金が出品者に支払われます。このとき、一時的にメルカリに入金される金額が貸借対照表上、預り金として計上され、これが2021年6月期第2四半期末時点では101,765百万円あります。

この預かり金をCCCに当てはめると、預り金の回転日数は約45日になります。これによって、取引成立後に購入者からメルカリへ数日で入金される一方で、そのお金をメルカリが出品者に対して支払うのは約45日後になるのです。このことを、「運転資本がマイナス」の状態といいます。

Amazonとは手法が異なりますが、事業拡大をすればするほどお金が増えるという点では近いモデルといえるでしょう。Amazonやメルカリが取り入れていることから、ビジネスモデルを作り上げる際の資金のKPIの重要さが分かります。

詳細は「メルカリの秀逸なビジネスモデルをKPIで紐解く」でご覧いただけます。

チームスピリット

チームスピリットは、勤怠管理や経費精算などをまとめて1つのツールで管理できるクラウドサービスを提供しています。現在、1,600社36万人以上の顧客に利用されています。

主要なKPIは、

  • 契約ライセンス数
  • ライセンスARRの推移
  • 解約率
  • 契約社数 ARPA

となっています。

チームスピリットの場合は勤怠管理ですが、SaaSビジネスにおいてはこのようなKPIが非常に有効であることが分かるでしょう。

詳細は「勤怠管理SaaSを展開する「チームスピリット」のKPI」の記事で説明しているので、ぜひ参考にしてみてください。

SHIFT

第三者ソフトウェアテスト事業を主軸に運営しているSHIFTですが、新興ITベンダーの中では、めざましい急成長を続けています。

2025年に売上高1,000億円を目指す「SHIFT1000」に向けた目標事業KPIは、

  • エンジニア数を11,000人に拡大
  • 営業人数は140人で、1人あたり売上は7億円
  • 顧客数は3,000社、そのうち1,300社がアクティブで顧客単価は800万円
  • 人事部門についても100名(1人あたり35名採用)
  • エンジニアDBへの登録数は30万人でエンジニア単価は90万円

となっています。

その他、行動量KPIも開示されているのですが、注目すべきはKPIそのものの内容ではなく、高い目標を因数分解し日々の行動目標レベルまで落とし込みデイリーで進捗を追うことを可能にしているKPIマネジメントです。

詳細は「急成長を続ける「SHIFT」のKPI」からご覧いただけます。

【職種別】KPI設計の具体例

ここからは、職種別のKPI設計の具体例を解説していきます。下記の3つの例を見ていきましょう。

  • 営業
  • マーケティング
  • 総務

それぞれ、KPIを設定するメリットと合わせて紹介します。

営業

営業職でKPIとして設定されることが多いのは、売上高や商品の成約数です。数字として明確に目標としやすい反面、現状の正しい分析が求められます。

その他には、

  • 代金回収率
  • 顧客単価
  • 解約件数
  • クレーム数

なども効果的なKPIとなるでしょう。

営業でKPIを設定するメリット

営業職の場合は、チームとしての成果ではなく、個人のKPIが設定できるというメリットがあります。デイリーやウィークリーでの結果を出すことで、大きな目標に向けた過程をきちんと評価されるので、社員のモチベーションが上がりやすいでしょう。

ただし、真逆の効果をもたらす場合もあります。個人のKPIを設定するにあたって、現状や課題を無視した無理な数字を設定してしまうと、社員の士気を下げる原因となるので注意しましょう。

マーケティング

マーケティング職の主なKPIは以下です。集客の数字だけではなく、サービスの質も問われる項目を設定することでバランスの良いKPIとなるでしょう。

  • 新規顧客獲得数
  • 顧客満足度
  • リピート率
  • 直帰率

また、マーケティングと一言でいっても多くの職種があります。職種によっても最適なKPIは異なるため、職種に合わせてKPIを設定するようにしましょう。例えばwebマーケティングでは、

  • PV数(ページビュー数)
  • CVR(コンバージョン率)
  • 顧客単価

などもKPIとして設定されることが多いです。

マーケティングでKPIを設定するメリット

マーケティング業では、KPIを設定することでKGI(最終目的)達成に向けた逆算がしやすくなる点が大きなメリットです。KGIの売上金額に達しなければ、顧客単価から必要な客数を算出し、プランを立てられます。

また、KPIの達成率から、マーケティング施策の不足点や改善点を見出すこともできます。現在の施策の強みと弱みを視覚化すれば、よりKGI達成の道筋が具体的になるでしょう。

総務

総務などの間接部門は、営業のような業績にそのまま反映される結果が出る業務ではないため、評価が難しいとされています。しかし、総務の仕事もKPIを設定することが可能です。

人事部門であれば、

  • 採用人数とコスト
  • 採用後の離職率
  • 研修の満足度
  • 研修コスト

などがKPIとなります。こちらも、採用人数だけ、研修の回数だけといったKPIとするのは避けましょう。数だけではなく、業務の質やどのような結果がもたらされたのかを評価できるKPIを設定することが大切です。

総務でKPIを設定するメリット

総務は、業務の評価が難しいという理由で評価基準自体が曖昧になっているケースも多いです。そのため、KPIを設定することで、評価基準が明確になるというメリットがあります。社員の業務に対する意識やモチベーションが良い方向へ変化することが期待できるのです。

また、総務というチーム全体での目標も統一され、組織力も向上するでしょう。

【業界別】KPI設計の具体例

ここまでは、職種別でのKPIの実例を紹介しました。では、業界別ではどのようなKPIが設けられているのでしょうか。下記の4つの業界を例として見ていきましょう。

  • SaaS業界
  • 製造業
  • システム開発
  • 物流

KPIを設定するメリットも合わせて紹介していきます。

SaaS業界

近年盛り上がりを見せているSaaS業界では、KPIの設定はなくてはならないものとなっています。SaaS業界ではSaaS KPIと呼ばれ、広く浸透しています。SaaS KPIは、「成長性」「効率性」「顧客継続性」の3つの柱で成り立っており、それぞれの代表的なKPIは以下の通りです。

成長性

  • MRR(月間定額収益)
  • MRR成長率
  • ARR(年間定額収益)
  • CMRR(1年契約等、長期の契約により将来的に確約されているMRR)

効率性

  • LTV (顧客生涯価値)
  • CAC( 顧客獲得単価)

顧客継続性

  • チャーンレート (解約率)
  • ネットリテンションレート(売上継続率)
  • 平均継続月数

サブスクリプションサービスの要となる、顧客の獲得と継続に重きを置いていることが分かります。

SaaS業界でKPIを設定するメリット

SaaS業界において、KPIは特に重視されています。理由は、収益のシュミレーションが立てやすく、経営の加速や減退に直結するためです。これはKPIを導入するメリットでもあります。

先ほど紹介した実例の通り、SaaS業界は事業の結果が数値で見やすい業種であるといえるでしょう。KPIの体系がSaaSビジネスに合っているのです。今では、SaaSビジネス自体がKPIありきとなっています。

製造業

製造業においても、KPIの設定は有効です。

主なKPIは、

  • 総合設備効率
  • ライン編成効率
  • 稼働率
  • 不良率
  • 事故発生件数

などが挙げられます。

製造業では、特にKPIツリーによる問題解決が効果的に行われています。現在の現場が抱える問題を頂点とし、問題解決のための行動をブレイクダウンしてKPI化することで、効率的かつ現実的な解決につなげられます。

製造業でKPIを設定するメリット

製造業では、多くの作業員が同時進行で業務にあたるため、業務の状況や細かな問題点などが見えづらい傾向にあります。それを可視化できるのが、KPI導入の大きなメリットでしょう。

製造業の現場では、些細な問題や課題が、結果的に大きく効率性・安全性に影響を与える可能性があります。KPIを設計して実際に稼働し、達成率を分析することで、これまで見えてこなかった意外な問題点や改善点に気づき、大きなトラブルの芽を事前に摘み取れるのです。

システム開発

システム開発業でのKPIの具体例は以下です。

  • エラー件数
  • 標準化率
  • テスト完了件数

システム開発業において重要視されるのは、製品の品質と納期の遵守です。それらを管理するのに、KPIは非常に効果的であるといえるでしょう。求めるクオリティと納期のバランスが悪いと、大きなトラブルとなってしまいます。KPIを用いて、デイリーで開発者の進捗を追うことで、早い段階からトラブルを回避できるのです。

システム開発でKPIを設定するメリット

システム開発業でKPIを設定するメリットは、納期とクオリティのバランスを保持できるというのがとても大きいです。

システム開発の現場では、開発を進めるにつれて納期の遵守が困難になっていき、一部の機能や品質を諦めざるを得なくなるということが珍しくありません。KPIを設定するのは、ただスケジュール管理を厳しくするのではなく、機能面や品質面も担保しながらスケジュールを守ることにもつながります。

物流

物流も、SaaS業界のように独自のKPIがあります。それは「物流KPI」と呼ばれ、主に「コスト・生産性」「品質・サービス」「物流・配送条件」の3つの柱で成り立っています。

それぞれのKPI具体例をご紹介します。

コスト・生産性

  • 保管効率
  • 一定の数量あたりの物流コスト
  • 庫内作業の人事生産性
  • 実働率
  • 実車率(実車距離÷走行距離)

品質・サービス

  • 棚卸差異
  • 誤出荷率
  • クレーム発生率

物流・配送条件

  • 出荷ロット
  • 配送頻度(配送回数÷営業日数)
  • 出荷指示遅延件数

物流管理が適正かどうかを判断するのには、KPIが有効です。多くの物流会社がこのようなKPIを設定し、それぞれの要素の達成率をデータ化して分析することで、サービス品質の向上やボトルネックとなっている工程の改善などを行っています。

物流業界でKPIを設定するメリット

物流業におけるKPI設定のメリットは、製造業と同様に、現場が抱える課題などの現状を可視化できる点です。また、それらの課題が抽象的で共有しにくいという難点も、KPIという指標を使って数値化することで、誰が見ても分かりやすくなります。

数値化されれば公平に評価できるため、現場で働く人員のモチベーションアップも期待できます。

KPIの設定方法

具体例を見たところで、実際のKPIの設定方法を解説していきます。重要なのは、3つのステップを遵守することです。

  1. KGI(最終目標)を設定する
  2. KSF(成功要因)を設定する
  3. KPI(中間目標)を設定する

各ステップごとに、詳しく解説していきます。

1.KGI(最終目標)を設定する

まず初めに、売上や利益といったKGI(最終目標)を決めます。この最終目標よりも、すぐに着手できるKPIに目がいきがちですが、常にKGIを意識することが重要です。次のステップに進む際にも、このKGIから方向性がズレてしまわないように注意しましょう。

2.KFS(成功要因)を設定する

KGIを設定したら、それを達成するためのKFS(成功要因)を設定します。自社の現状を正しく分析し、競合他社との差別化をはかれるポイントを理解した上でのKFSにすることが大切です。

ここでKGIとKFSがしっかり連結していないと、焦点がズレたKPI設定を招く要因になってしまいます。常にKGIを意識しながら分析をするようにしましょう。

3.KPI(中間目標)を設定する

KGI、KFSが決まってから初めてKPIを設定していきます。まずは事業KPIを設定し、それを達成するための行動KPIを決めるといったブレイクダウンが一般的です。

ここまでの細分化のことを「KPIツリー」とも呼びますが、その名の通り太い枝から細い枝へと分かれていく様子を想像しながら行うと設定しやすいでしょう。KPIがリスト化できたらまず、KGIという一番太い枝につながらないKPIが無いかを確認してみてください。

KPI設定のコツ

KPIの設定には、いくつかのコツがあります。その1つが、KPIの指標を目的と達成水準のワンセットで考えることです。

例えば、エラーが多い工程のエラーを少なくしてロスを無くす、というのは目的です。これをKPIとするのではなく、「エラーが多い工程のエラー率を15%未満にする」という達成水準を必ず付随させます。

先ほど紹介したKPIの具体例も、ほとんどが数値で達成水準を決められる指標となっています。この「〇〇%未満」という数値を適正に設定するには、正確な社内状況の分析が求められます。全てがKGIにつながっていることを意識しながら、KPIを設定してみましょう。

KPIを設定する際の失敗例

KPIの設定は、目標達成までの効率化に効果的であるというメリットもありますが、その反面失敗のリスクも大きいです。また、KPI、KGIといった言葉だけが一人歩きしてしまい、本質から離れてしまうというケースも発生しがちです。ここからは、KPIを設定する際の失敗例を見ていきましょう。KPIを設定する前に、確認してみてください。

KPIを設定しすぎてしまう

KPIを設定しすぎるというのは、よくある失敗例です。KPIは、あればあるほど効率的になるというわけではありません。KPIが細分化されすぎるとプロセスばかり注視してしまい、最終的なゴールを見失ってしまいます。

大切なのは、最終的に会社の売上が上がり、それが継続できる成長を遂げているかを常に意識することです。KPIを設定する際には、実際にそのKPIに沿って業務を行う社員の視点に立ち、広い視野でゴールを見通すよう心がけましょう。

KPIが本来の目的とズレている

KPIの設定数が適切だったとしても、その内容がゴールとズレていては意味がありません。この失敗を回避するためには、KPIツリーの作成が有効です。最終目標を頂点に立て、そこから因数分解をして、日々の行動までKPIを具体化していくというプロセスで行っていきます。また、設定された各要素は、現状をきちんと分析したデータの上で成り立っているというのも最低条件です。

この2つが守られないままKPIを設定してしまうと、最終的な目標と過程がズレるという失敗につながる可能性が高いでしょう。

「逆SMART」に当てはまる

KPIを設定する際に重視されるのが、SMARTです。SMARTとは、下記の5つの単語の頭文字を取ったもので、これらに当てはまらないものを逆SMARTといいます。

  • Specific:具体的
  • Measurable:計測可能
  • Achievable:達成可能
  • Relevant:関連性
  • Time-bound:期限

つまり、内容が曖昧、計測ができない、達成不可能、KGIとの関連性がない、期限が設定されていないKPIは不適切となります。KPIを設定してもうまくいかない場合は、逆SMARTに当てはまってしまっている可能性があるので注意してください。

まとめ

KPIを設定する際は、社員へのヒアリングなどを通して自社の現状を明確に把握することが何よりも大切です。他社が成功したKPIをそのまま設定すると、目標達成への回り道になってしまう可能性があります。

また、KPIを設定して各要素の達成率を分析すれば、事業を拡大して売上を伸ばしていく上で解決すべき課題や改善点が見えてきます。

しかし、効果的な手段であるがゆえに、その運用は容易ではありません。本記事で紹介した各上場企業のような成果を出したい方は、まずは自社のKPI設計から見直してみることをおすすめします。

下記資料にKPI設計のコツをまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。

監修者

広瀬好伸
株式会社Scale Cloud 代表取締役社長

プロフィール

京都大学経済学部卒、あずさ監査法⼈にてIPO準備や銀⾏監査に従事。
起業後、公認会計⼠・税理⼠として、上場企業役員、IPO、M&A、企業再⽣、社外CFOなどを通じて600社以上の事業に関わる。

公認会計士、 IPOコンサルタント、社外役員として計4度の上場を経験。
株式会社i-plug社外役員、株式会社NATTY SWANKY社外役員。

成長スピードの早い企業におけるKPIマネジメントやファイナンス、上場準備や上場後の予算管理精度の高度化といった経験を踏まえ、KPIのスペシャリストとして、日本初のKPIマネジメント特化SaaS「Scale Cloud」の開発・提供やコンサルティングに注力。
従来のマネジメント手法を飛躍的に進化させ、企業の事業拡大に貢献中。

講演実績

株式会社セールスフォース・ドットコム、株式会社ストライク、株式会社プロネクサス、株式会社i-plug、株式会社識学、株式会社ZUU、株式会社あしたのチーム、ジャフコグループ株式会社、トビラシステムズ株式会社、株式会社琉球アスティーダスポーツクラブなどの主催セミナー、日本スタートアップ支援協会などの経営者団体、HRカンファレンスなどのカンファレンス、関西フューチャーサミットなどのスタートアップイベントなどにおける講演やピッチも実績多数。

論文

『経営指標とKPI の融合による意思決定と行動の全体最適化』(人工知能学会 知識流通ネットワーク研究会)

特許

「組織の経営指標情報を、経営判断に関する項目に細分化し、項目同士の関連性を見つけて順位付けし、経営に重要な項目を見つけ出せる経営支援システム」(特許第6842627号)

アクセラレーションプログラム

OIH(大阪イノベーションハブ)を拠点として、有限責任監査法人トーマツ大阪事務所が運営するシードアクセラレーションプログラム「OSAP」採択。

取材実績

日本経済新聞、日経産業新聞、フジサンケイビジネスアイ、週刊ダイヤモンド、Startup Times、KANSAI STARTUP NEWSなど。

著書

『飲食店経営成功バイブル 1店舗から多店舗展開 23の失敗事例から学ぶ「お金」の壁の乗り越え方』(合同フォレスト)

Twitter